第58話 明るい成果
それから数日を要した。
アローニのロニーの自宅を、まずは掃除するところからである。
「さすがに半月も不在だったから、ホコリが……くしゅんっ!」
掃除を手伝っていた由佳は思わずくしゃみをする。
「マスクしないとだめね。ホコリが舞って仕方ないわ……」
レイチェルは苦笑いして言う。
ロニーがマスクをくれた。
不思議なことに、マスクも香ってくる。
「わぁ、これは?」
「ラベンダーの香りのエッセンスを、一滴付けておいたよ」
「ふふ、ありがとう」
レイチェルは笑顔でお礼を言う。
「正式に再始動できるのは、来週になりそうだなぁ……」
「そういえば、色々あるものね……」
「みんなに挨拶はほとんど初日に終わらせておいて良かったよ」
「次はシーナさんへの報告ね」
楓香が思いついたと言わんばかりに言う。
「そうだね。あとは、王室に報告書も出しておかないと」
ロニーは頭を抱えながら言う。
「繋がっていないはずの異世界に飛んでしまった、って理由があるから仕方ないよね」
レイチェルは苦笑いして言う。
「ロニー、いるかしら?」
「え? シーナさん!?」
「あの後、少し実験的にアローニとハーバティへの通行が可能か、調べてみたわ」
「それで、どうだったんですか……?」
シーナは含みのある笑顔で言う。
「今後、条件が合えばお互いを行き来することは可能ね。今、王室で鍵の錬成を急いでもらっているわ」
「そうだったんだ……。じゃあ、いつか彼らに会えるかな」
ロニーは少し寂しそうだが、少し嬉しそうに言う。
「会いに来たぞ、ロラント」
「そ、その声……!?」
ロニーとレイチェルは驚いて声の主を見る。
「彼が実験協力を申し出てくれたのよ。ハーバティとアローニの交流を図りたい、ってあの振り子を使って女王陛下へ手紙を送ってね。そしたら、彼らがアローニに来たいって言うから、招待第一号と第二号ってわけ」
「そうだったんだね!」
「それにしても、二人とも知り合い?」
「うん、ルーテは僕の従弟、ルークも血は繋がってないけど、大切な従弟さ」
ロニーは嬉しそうにルーテとルークを抱き締めた。
シーナは嬉しそうに微笑む。
そう、アローニとハーバティの交流は……。
始まったばかりだ!
≪完≫
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