第47話 従兄弟の話

ルーテはふと目を覚ます。

「ハハ……、また腹出して寝てるな」

ルークへと布団をかけ直す。

「う……うん……、もう……無理だって……」

「ん?」

「もう……、食べきれないよ……」

ルーテはルークの寝言に、微笑ましい気持ちになる。

「食い物に埋もれる夢でも見てるんだろうな」

よく見ると、ルークの顔をよく見ると、ほんのりよだれが出ている。


ルーテは、そっと下へと降りる。

水が欲しくなったのだ。


「あなた、やっぱり、ルーテには話してあげたいわ。ルークにだって、確かに知る権利はある。けど、一番はルーテを優先してあげて」

「だが、どちらにも知る権利はあるだろう……」

「父さん、母さん……?」

ルーテはまだ両親が起きていたことに驚いた。


「ルーテ……、起きていたのか?」

「たまたま目が覚めて、水をもらいに来ただけだ……」

「そうなのね……」

「やはり、話すべきか……」

父は観念したように言う。


「父さん、母さん、何となく予想はついている。話したくないなら、話さなくたって構わないよ」

「そう言うわけにはいかないわ。ねえ、あなた」

「ああ、私たちもしっかりと知らせておきたい」


ルーテは水を一杯飲んで、ソファに座る。

「じゃあ、聞かせて欲しい。もちろん、ルークも一緒の方が良いなら、明日だってかまわない」

「いや、構わない」

父ははっきりと言う。

「ルーテ、お前はモカの事をどこまで知っている?」

「えっと、異世界『アローニ』から迷い込んできて、父さんとの間に俺を宿して、俺を孤児院で生んだ、ってところだけだな」

「その通りだ」

「モカには姉妹がいるの。確か、上のお姉さんが子供を産んでいてね」

「その子供の名前が、『ロラント』というらしい」

「ロラント? うーん、俺の知り合いにはいないかな」

「いたら驚きよ」

母はからかうように言う。


「ロラントは、略称やあだ名で『ロニー』と呼ばれることが多いというのは、モカが言っていたことだが、心当たりはあるか?」

「……ロニー? ああ、知り合いにいる!」

「本名は知っているか?」

「いや、本名は知らない。というか、ロニーが本名だと思う……」

「そうか、なら違うかもしれない。だが、もしそれが本当なら、彼はお前の従兄弟かもしれないぞ」

その言葉に、ルーテは納得した。

あの夢の事を。

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