5.俺、手紙を頂戴す

それはある日の休日のことだった…。


前日レアな新種のスライムを解体し、ルンルンしっぱなしの俺の元に手紙が届いたのだ。

レアな新種のスライムってのは魔鉱石食いの特性がある奴で、実家と反対方向にある魔境で狩られた魔獣だ。

魔境への討伐は基本的に皇国騎士団が担う。

ロロッシュちい兄さまがまた活躍したようで、報告書に記載されていた討伐数の多さに俺は笑った。

そして今回の討伐は皇帝陛下主導だったようだ。

どうやって狩ったのか一瞬分からない程良い状態のスライムの死体に、俺は敬愛を深めた。

やっぱ皇帝陛下万歳だ。

頼れる強さだ。

皇帝陛下が討伐した魔獣は本当に状態が良いので、今回解体作業員でラッキーって思った。

まぁロロッシュちい兄さまのも状態は良いけれど、比較になんないんだよなー。


そんな愉しかった解体作業を反芻、してたら手紙だ。

そう手紙だ。

寮にて休日を堪能していたらチャイムが鳴った。

出たらオートマタが居た。

胸に輝く黄金のエムブレムは剣の形だった。

造形は美。

真っ白なフレームに伏せられた目。

戦闘モードで開くんだっけ?

黄金の髪の毛が黒のフードから伺えた。

中性的な顔立ちのオートマタがやっぱり中性的な声で、


『人物認証。ロドム・ジニアス様確認。重要な書状をお届けに上がりました』


「…じゅ、よ?え?ど、何方様からでしょうか?」


分ってんのに聞いてしまった。

お手間とらせて申し訳ない。


『キグナス・ジュウモンジ皇帝陛下でございます』


うんですよね。

だって君は皇帝陛下専属オートマタ。

俺は差し出された手紙を受け取った。

そんでお疲れっすとドアを閉めようとしたが、足が挟まってて閉められない。


『主より開封の確認をと命じられております』


「あ、そうですか…じゃあ、え、封蝋…ナイフあったっけか?」


真っ白な封筒、真っ赤な封蝋、実にシンプルかつ上品な手紙をいつもの調子でばりっとやるのは気が引けた。

するとオートマタが『こちらでお開け致しましょうか?』と言ってくれた。


「お願いします」


『お預かり致します』


こんなに臨機応変な対応が出来るオートマタ、有るんだな。

民間企業所属のオートマタになら何度か会ったことがあるが、やっぱり皇帝陛下専属オートマタの性能は頭抜けて優れている。

皇帝陛下直々にメンテナンスしているって噂だが、本当だろうか。

腰から短刀を抜き、シュッっと開封してくれるオートマタ。

思わず拍手してしまう。

器用だ、すごい。


『…どうぞ、ご拝読の程を』


「あ、はい」


言葉じりに照れが混ざっている。

このオートマタ、個性があるぞ!

大発見だ。

と、興奮している場合ではない、皇帝陛下からのお手紙を読まねば。

ん、ところでなんで皇帝陛下からお手紙?

すごくあり得ない話だから現実味が無いまま、俺は手紙を読んだ。

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