華蟷螂

そらみん

プロローグ 蟷螂の斧

埃臭い風が吹き灰色の空が人々を見下ろすこの村で、一人の少女が死体の山に立っていた。

彼女の名前は華蟷螂。白みがかった桃色の長髪を腰まで揺らし、まだあどけなさが残りつつも綺麗な顔立ちをしている。

彼女はその顔を憎悪にうずめ。

「とうちゃんの仇。かあちゃんの仇!」

そう言い放ち、手に持った彼女の背より大きな鎌を構えなおす。足元の死体を勢いよく蹴り、目の前にいる黒い男に向かって飛び出した。

――両親を殺したその男に向かって。

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