第32話 家と、学校視察
Side:スパロ
家が瞬く間に出来上がっていく。
壁の葉っぱやらが、畑に生えて、柱の樹が生える。
設計図の通りに運ぶと釘も使ってないのに、動かなくなる。
間違った場所に持っていくと、接着されないから、すぐにわかる。
重たい物はゴーレムが運んでくれる。
建設もやってくれるけど、村人が手伝う意味があるのかな。
「ナノ、この壁だけど何で出来ているの」
『強化セラミックさ。焼き物だよ。タイルみたいな物だと思ってくれたら良い』
「孤児の家も出来て、教会、宿屋、学校が出来た。とりあえずはもう良いかな」
『遠慮するなよ。井戸掘りの時に資源はうんと確保したから余っている』
「じゃあ空き家をいくつか作ってもらおうかな」
『任せとけ』
畑の参拝者は増える一方だ。
出張畑も順調。
行方不明になった孤児はおろか、かすり傷を負った孤児もいない。
孤児は交代で、出張畑についていく。
孤児は暇な時、勉強しているか、雑草を抜いたり石を拾ったりしてる。
孤児の勉強風景を見てみた。
鉢植えの植物があって、大人の背丈ほどの大きな白い葉を広げている。
葉っぱには問題が書いてあった。
葉っぱに文字が浮かぶ。
孤児の机にも鉢植えがあって、手の平より少し大きい白い葉っぱがある。
やっぱり葉っぱに文字が浮かぶ。
問題の答えの選択肢があって、葉っぱを突くと答えた事になるらしい。
正解するとクレジットが貰えるみたいだ。
そして、正面の大きな葉っぱに、銀河連邦の事が書かれる。
銀河連邦の素晴らしさを伝えている。
「ごはんが食べられるのも銀河連邦のおかげ」
「暖かい家で眠れるのも銀河連邦のおかげ」
「銀河連邦は素晴らしい」
「銀河連邦に感謝を」
孤児が経典のようにみんなで一斉に唱える。
そして、クレジットが加算される。
「ナノ、これは何?」
『精霊の国を讃えているだけだよ。決まりなんだ。これをしないと孤児支援が出来ない』
「決まりじゃ仕方ないね。精霊の国の経典だね」
『まあね。そんなとこ』
やっぱり神と同じように精霊も信仰心を糧にしているのかな。
俺も唱えた方が良いのだろうか。
Side:ハイチック8000
家が出来る。
【強化セラミックは良いのかよ】
俺はそう問い掛けた。
【現地の科学力で出来る範囲に性能を落としてます】
【強化セラミックが製造可能なのか。驚いたな】
【魔法を効率的に使えば可能です。大量生産は出来ませんが】
なるほどね。
魔法も案外馬鹿にできないな。
スパロが学校を視察する。
勉強を教えるのは良いよ。
俺も義務教育は通った。
その上の大学まで通ったけど、まあそれは置いといて。
銀河連邦を讃えるのは
銀河連邦を否定するわけではないが、子供を洗脳するその手管がな。
このカリキュラムはやりたくない。
イユンティちゃんが来て、孤児達と一緒に銀河連邦洗脳のカリキュラムを受けている。
やめてくれよと言いたいが、業務妨害で刑罰を科されるは勘弁してほしい。
「精霊の国は銀河連邦というのですね。銀の河とは素晴らしい名前です。さしずめ神の国は黄金の大海でしょうか」
【そうかもな】
「神が金で精霊が銀、言い得て妙です」
イユンティちゃんがソプラノで、孤児達と一緒に銀河連邦の歌を歌う。
考えようによっては平和なのかな。
敵国である帝国はいない。
宇宙戦争もないし、徴兵もない。
本国と通信が繋がるように努力しているけど、通信が繋がらない方が幸せなんじゃないか。
こんな事を言ったら怒られそうだ。
【思考するだけなら無罪です】
さいですか。
【サボタージュはしないよ。てか出来ないだろう】
【そうですね。任務放棄は敵前逃亡と同じように銃殺刑です】
そんな事だと思ってたよ。
AIに人権なんかないものな。
裁判官AIが判決を下して、はいさよならだよな。
『俺の死を悲しんでくれる奴はいるんだろうか』
「なに、ナノが死ぬの」
スパロから答えがあった。
思いを信号に出していたらしい。
『死なないよ』
「俺はナノが死んだら悲しいな」
「私もナノが死んだら悲しい」
スパロとベルベルちゃんは俺が死んだら悲しんでくれるらしい。
「聖女様や村人や孤児も悲しむと思うよ。今まで参拝に来た人達や、治療してもらった人もそう思うはずだ」
『ありがと。涙は出ないけど、前が良く見えない気分』
よし、頑張るぞ。
村を発展させる。
孤児の洗脳は気にくわないけど、敵国はいないし、大丈夫だろう。
次は荒野を開拓したい。
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