第20話

「遅くなりました」


勢いよく、バーの扉を開いた。


「ええ?零くん?」


実くんは、大変驚いている。


「誰ですか?その子?」


みかちゃんも驚いている。なんで?


「れれ、零くんの…か、彼女とか?ま、まさかね…」


実くん、なんかおかしい…


「え?はい、そうですが」


なぜそんなことを今聞かれるのだろうか?わからない。


「えー実さん!何言ってるんですか~?意味わかんない!」


「え?その声…あー!もしかして、宝之華ちゃん?」


「そーですよ!もう!」


「え!なんか、かわいいね」


「はぁ?どういうことですか?」


そうか、宝之華は今日モデルの仕事終わってそのままだったのか。いつもと違うから驚いていたのか。僕もそうでした。


「てゆーか!零さん彼女いたの!?」


は、みかちゃんには言ってなかったっけ?


「…はい」


「みかこ、零くんの彼女の宝之華ちゃんだよ!たこ焼き屋でバイトしてたんだ!」


「知らないし。聞いてないし。兄にも」


「ごめんみかこ!」


「みーくんだけずるい!零さん!いろいろ聞かせてください!」


「え、あ、いや…実くんによく聞いて下さい。その、食べ物はもうないんですか?」


「ごめーっん零くん!お客さんたちと食べちゃってもうない!」


そうか…。遅かったようだ。


「あ、でも!ケーキならある!…チョコ味なんだけどさ」


ちょっと寂しそうに、ホールケーキを持って来た。


「零くんは和風がよかったよね?」


「いえ、別に?なんで?」


「なんとなく」


なぜ?


「じゃあ宝之華ちゃんにあげる!」


「え!まじですか!ありがとうございます」


僕も貰ってよかったのですが、実くんは何を考えたんだろうか?

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