第42話 地雷ゲー厶 Will Be!!
「で? 私に頼みたいことって?」
「あー! これですこれ! お願いしますよ兄貴ぃ〜!」
そしてバッグから地図を取り出しまして〜。
「今、神器って言うのを探してて、で、どの場所にあるのかを表示してほしいだけなんですよぉー」
「神器? あまり分からないけど、やってみるよ? めいびー」
すると、地図の右上から徐々に数字が浮かび上がってくる。
お……おぉ。
びっしりと出てき過ぎて読めん。
「あー、じゃじゃ、こうやって〜」
ペンで縦横に線を引いてエリア分けをする。
「これでよろしゃす」
「任せてよ〜」
すると、地図に0.1.2.5という数字がそれぞれ現れた。
これが神器のある場所なんですな。
5って出てるのは地図のど真ん中……。ゲゲッ! 魔王軍が所持してるってことですか〜?
で、ケイン殿がいらっしゃる西の町には1の数字。確か鎌みたいなの持ってたからそれですな。
で、南東に2の数字。ミル殿が持ってる槍と……あと一つ隠れてるのかぁ。
んで、北の町、南の町、そして山やら森の中に1の反応が点在していますな。
てか、さっきまでいた砂漠には無いし。私たちの苦労は一体!?
と、一つ気づいた。
あっれれー? おっかしいぞー?
確か、ケイン殿が言っていたのは……。
『神器の数は全てで20。そして、必要なのは種類を問わず5つだ』
だったハズなんですがぁ〜。反応は全部足しても19個だけですな。何回数えても20個にはなりませんの。
ま、四捨五入すれば20デスし? 必要なのは5個だけなんで、問題ナッシング。
「それでは、この場所をメモしましょう」
そしてシオン殿がペンで数字を書き込もうとする。
「ちょちょ餅つけ、餅つけ。もうちょっと詳しくしましょうや」
そして、数字のあった場所をさらに細かく区切り、数字を出してもらって、さらに分かりやすくした。
まるで宝地図だな。浪漫ですなぁ。
「よし、これでおけ。お疲れ様でーす」
「これで役に立ったの?」
「はい、とても助かりました。感謝してもしきれません」
いやマジで。この能力チートすぎ、めっさ助かるぅ〜。
「ところで、お礼といってはなんですが、この部屋のお片付けをお手伝いさせてください」
「え? 片付け? 気にしないでよ〜? 私困ってないからさ〜」
「いえいえ、お手伝い"させてください"」
私はこのとき、言葉の真意というか、口調に違和感を感じましたね。いつもなら、させていただけないでしょうか、みたいに、相手に委ねる形はずなんですけども。少〜し強めの口調?
「ん〜、でもやっぱりいいですよ。この状態が一番落ち着くんで」
と言っても、シオン殿は笑顔のままでメイミたんの方を見ている……。
って! えぇぇぇ!?
シオン殿が……。糸目を解除して……。目を開いた!?
こんなの初めてだよぉ!?
シオン、キレた!! ってコト!?
「いやいや、本当にいいんですって! あまり気を遣わないでもらって……」
ギャァァァ!!! 地雷原でステップダンスしてるぅぅ!!!
「ヒィィーーー!! 掃除! 掃除しましょーー!!」
体と口が先に動いた。とりあえず普通の部屋に必要ないはずのない石を窓から外に放り出す。
「あーー!! 気に入ってた石なのに!! 酷いですーー!!」
「そこにあるんですから、また拾えばいいんですよ。とりあえず部屋の中を一度片付けてみましょう」
何故だろう、普通の人がこの喋り方だと丁寧に感じるケド、シオン殿がニコニコしながら言うとかなり怖いッ!!
「仕方ないです。お片付けやってみます。自分のためになるんですよね、めいびー」
「はい、それに楽しいですよ? お掃除。大聖堂にいた頃は毎日お掃除していました」
確かに、ああいうのってずっと綺麗なイメージある。
「じゃあ、とりあえず捨てるか捨てないかを決めないとですね〜」
すると、部屋に落ちているもの全ての上に数字が出てきた。
全部違う数字ですな?
「今表示してるのは、私に必要なものの優先順位です。下から4分の1は捨てちゃってください、多分残してるだけで要らないものなんで、めいびー」
思ったより思い切りがいい子だ。
「いえ、この量ですと2分の1です」
え!? シオン殿の口から信じられない言葉が!!
いつも肯定してばかりなのに、口にはしないだけで、ほぼ半分はガラクタ発言!
「えー……。そんなに捨てるんですか?」
「ここは一度、スッキリさせる必要があります。断捨離というものです」
「いやいやでも、物には魂が宿るといいますし?」
「そうなのですか? 私は聞いたことないですね」
私、異教徒だ。
「うぅ……。5分の2!」
「5分の3!」
「なら9分の4!」
「9分の5!」
「よし! それならいいでしょう! この際捨てちゃいましょう!」
えっと……。2分の1よりも多く捨てることになってるのには気づいているんでしょうかねぇ?
そうして、片付け開始しまして。あっという間にきれいになっちゃいました。
そして、リビングに再度集まり、お疲れ様会中高でございます、母上様も同伴で。
まさかシオン殿にこんなお掃除スキルがあったとは。あ、スキルっていっても、スキルじゃない方のスキルですな。
「キレイに、片付いたー! スッキリめいびー!」
亜種誕生。
「確かに! 気持ちよかったね!」
「それなら良かったです。多少強引にでも片付ける必要があると思いましたので。少し荒い言葉遣いになっていたかもしれません……」
「え? そうだったんですか? お母さんに比べたらすっごく丁寧でしたよ?」
シオン殿、自覚あったのですか。
「で、さっきから二人の上に浮かんでる数字はなんなの?」
お母様に言われて気づいたけど、確かにシオン殿の頭の上に1が浮かんでますな。
「カリン様、確かに頭の上に数字がございますよ」
「あ!」
メイミ殿がすぐに消してしまわれた……。
「シオン殿? 私の頭の上にはなんの数字が出てました?」
「1でした」
「あ、お揃いですな。シオン殿も1でしたぞ」
「と! とにかく! お掃除ありがとうございましたー!」
「まま、綺麗になった元汚部屋に乾杯ですな」
「そうでございますね。一区切りつきましたし、神器の場所も分かりましたし、私たちはそろそろお暇させていただきます」
「あ、そうですよね。少し残念だな〜。なんて……」
「寂しいのでございますなぁ〜? 私がいないとなんにも出来ないんだからぁ〜」
「……」
「あー、ここはツッコミどころですぞ?」
「あ! そっか、そうですよね。そ、そんなことないもん!」
「ふふ、それでは友達のように慣れ親しんだ言葉で、お別れいたしましょう」
「なるほどですな。それじゃ、またね〜」
「それではまた会いましょう、それまで神のご加護がありますように。ダルカリア……」
「うん、待ってるからね! 絶対会えるよ! めいびー!」
「あー、絶対会いたいならめいびーじゃなくて、うぃるびーとかの方がいいんじゃない?」
「うぃるびー? お母さんの名前?」
「私の名前はルビー、うぃるびーだよ? 全く関係ないよ」
「でも、そっちがいいんならそれを使おうかな。じゃ! また会おうね! うぃるびー!」
「フッ、アデュオスグラシアス……」
カッコつけて言ってみた。なんだか、風来坊感あってかっこいい。いや、アイル・ビー・バックの方が良かったかな? まあいいや。
とまあ、とっても有益な情報を得たところで、私たちは作戦の続きをしなくては……。
………………。
…………。
……。
「お母さん」
「ん? なに?」
「私さ、部屋に沢山ものを置いてたでしょ?」
「そうだねぇ」
「でも捨てちゃって、勿体ないなって思ったの」
どうせ捨てられるものに、生まれてくる必要はあるのかな。って、よく思う。
「そうは言うけどね、ミーが自分で気づいてないだけで、沢山捨ててきてるんだよ? ご飯ですら好き嫌いして残すような人に言われたくないね。まあ、いつもお母さんが食べちゃうから大丈夫だけど」
確かに。
「昔のものを大切にするってのは凄く大事なこと、それに凄いこと。でもね、過去に囚われ過ぎちゃうのもどうなのかなって思うな」
「過去に囚われるって?」
「ま、簡単に言えば、過去のもの全部残しておくなんて無理だってコト。そして、過去にしがみついて、今大切なことに気づけないのも勿体ないってコト」
「お母さんって時々哲学者みたいになるよね」
「人生の先輩だからね、ミーの2倍は長い間生きてるし、時々カッコつけたくなるだけ」
それでも、凄いなーって思う。お母さんは勇者時代は冴えなかったらしいけど、結婚してから幸せになったって言ってた。
結婚……かぁ。
恋……かぁ。
あの時、勇気出したんだけどなぁ。
数字なんてアテにならないって、都合の悪い時だけそんなこと考えて。
泣いたなぁ。
私って、本当に結婚出来るのかな。
みんなやってる、結婚して、子供を産んでってことが、今の私には出来そうにない。
いつから誰もが同じゴールに辿り着くから、ほんのさっきまで、砂漠に行って、夜には凍えて、昼には干からびちゃったらいいんだって思ってた。
だけど、私は、最後になって、なんか悔しくなって。悔し涙も枯れちゃって。
だから、諦めちゃいけないんだって。ゴールに近づいてきて、ようやく分かった。
ゴールに来たとき、最高だったって思えるように、もっとやりたいことをやろう。
「明日、友達の家に行ってくる」
「昨日もそう言ってたじゃんよ」
「いや、今度は本当に」
「本当にって……。一体昨日の夜はどこで何やってきたんだよ……。監視つけるぞ」
「そんなのいらないよ、自分のことは自分でやるからさ、めいびー」
「めいびーじゃ不安だな」
「じゃ、うぃるびー?」
「いや、違うな、今からやってもらわないとだから、アイエヌジーだな」
言葉の意味は分からないけど、お母さんが喜んでくれるなら、きっといい言葉なんだろうな。
「自分のことは自分でやります! アイエヌジー!」
「言ったな! 何かは知らんが、頑張れ!」
お母さんに激励されて、俄然やる気が湧いてきた。
たくさんのことに気づかせてくれてありがとう、カリンさん、シオンさん。
私を助けてくれて、ありがとう。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます