孤高のクーデレ王女がご執心!? オレは王城追放の平民なのに、なぜか二人っきりで逃避行!(公開は最新章のみ)
佐々木直也
第8章
第1話 間違いなく、ミアとの絡みは見られていたよな?
そのときの
だが運良く山小屋を見つけることができたので、そこで吹雪をやり過ごそうとしたところ……なぜかミアが服を脱ぎ始めて!?
しかも……しかもである。
どうしてかその場にやってきたティスリに、その光景をばっっっちり目撃される!
そうしてオレは死を覚悟したわけだが……
次の瞬間、ティスリに抱きつかれたかと思ったら、そのままぴゅーっと空を飛び始めたのだ。
こうして気づけば、オレとティスリの二人だけで、見知らぬ宿場町に立っていた。
「………………」
「………………」
馬を休める程度の小さな宿場町らしく、今は冬なのもあってか出入口には人の姿はない。日はすでに暮れていて、点在する街灯がもの悲しげに灯っていた。雪がやんでいることから、スキー場のあった山からはだいぶ離れているようだが……
いったいなぜ、いきなりこんな場所に?
だからオレは、うつむいたままのティスリに……意を決して話しかけた。
「あの、ティスリ……? どうしてこんな場所に──」
オレが話し終える前に、ティスリはくるりと背を向けてしまう。
「とりあえず……宿を探しましょう」
「え……?」
「それと、あなたの服装もなんとかしないと」
オレはスキー用衣服のままだ。服については、防寒着ということでまだ見られるかもしれないが、スキーブーツは歩きにくくて仕方がないから、確かに変えたほうがいいとは思うが……
いやだがそんなことよりも、どうしてスキー場からすっ飛んできたのか? というほうが気になるのだが……
しかしそれを問いかける間もなく、ティスリがスタスタと宿場町に入っていってしまう。だからオレも、歩きにくいブーツで足を進める羽目になった。
そしてオレ達は、旅装を扱っている道具店で衣服と靴を購入。スキー中だったオレは小銭しか持っていなかったので、やむを得ず支払いはティスリにしてもらった。
その後に宿屋を取って、それぞれの部屋へと案内されたのだが……
「あ、あの……ティスリ?」
その個室に入る直前、オレが声を掛けると……
ティスリは、こちらを見ないまま言ってくる。
「諸々の事情は、明日話します」
「……え?」
「今日は疲れましたので、わたしはもう休みます……おやすみなさい」
「お、おう……」
そうしてティスリは、飛んできてからこっち一度もオレと目を合わせないまま、部屋に入ってしまった。
(な、なんなんだ……?)
間違いなく、ミアとの絡みは見られていたよな?
それとも一瞬だったから、ミアが毛布一枚の姿だったとは気づかなかったのだろうか? まぁ確かに、あんな寒い小屋で、毛布の下は裸だったなんて思いも寄らない気もするが……
(だとしたら単に……ミアのことに気づいていないとか……?)
いやだとしても、あの山小屋からこの宿場街まで飛んできた理由が分からない。なんの変哲もないごく普通の宿場町のようだし……
しかし今考えても答えが出るはずもない。
(仕方ない……明日まで待つとするか……)
とりあえず、ミアの件はお咎め無しのようだし……
ということでオレは、首を傾げながらも宿屋の客室に入るのだった。
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