第13話 節分は魔除けで厄除けなのですね!!

マオウ「フンフンフンフーン♪」


鼻歌まじりにキッチンにして作業をしているマオウ。

気分もテンションもアゲアゲウハウハになりながら彼女は楽しく材料を切って取り

揃えていく。

今日は2月2日、つまり節分の日である。

節分は魔除けや厄除けなども行うらしく、昔ながらの家では豆まき以外にも色々と厄除け用の施しをするようだ。


マオウ(そういう意味ではどの世界でもあまり変わらないのかもですね)


転生前の世界においても人間たちは一部の集落ではそういう習慣があったとも云われている。

直接見た訳ではない為、あまり実感を抱いていなかったのだが


マオウ(自分がその慣習を経験できるようになったのは嬉しいかもですね)


彼女が作っているのは恵方巻き用の材料なのだ。

具材はいつもの巻き寿司の具材だけでなく、ほうれん草や焼肉などを包んで巻いている。

巻き寿司は本来は具材が決まっているのだが恵方巻きは特に制限はないらしく、

ここは自分とセカイが食べたい具材を選んで用意したのである。


マオウ「実際は普通の巻き寿司(もしくは太巻き)らしいんですけどもね」


だがしかし、無病息災を始め、『福』を呼び込むというのはとても大切なことだ。

セカイの仕事はいわゆるデスクワークが中心で運動関連はごくまれにやる程度である。

一応、ルームランナーを使ったりすることや欲しいものを買う為にコンビニダッシュをするぐらいである。(コンビニダッシュをした後、大体は息も絶え絶えな状態になっている)

去年含めてこれといったケガや病気に見舞われなかったとはいえ、いつどこで何が

起きるかは分からない為、マオウ的にも気が気でないのだ・・・


マオウ(セカイさん・・・結構引きこもりですからね~――――無職とかいう意味ではありませんよ?)


誰に対してのツッコミかはさておき、内心ではこうつぶやくマオウはメイドとしても彼女の健康などは常に目を光らせている。


マオウ(神頼みとかそういうのを嫌う人もいるとか言いますけども、割と便利なんですよね。元魔王が言うのもどうかかもしれませんが)


転生前の自分は立場的に考えれば人々に厄災をまき散らす側の存在だったのは疑いようもない上に、反論もしない。

むしろ、転生に関してはおそらく“神の介入”があっただろうとマオウは推察している。

それに神は神でもマオウの知る敵対していた神々とは違い、おそらくは更に上位の存在。

我々では知覚できない“埒外領域の存在”なのだろう。


マオウ(ま、それを今更気にしてもしょうがないのです――――さて、お吸い物もそろそろ仕込まないと)


雑念をそのまま遠くへポイっとするマオウは目の前の料理に集中する。

そんなこんなで夕方となり、料理もまた同時に完成するのであった。


セカイ「おお、マオウさんの巻き寿司もとい恵方巻き!!」


テーブルの椅子へと座り、料理を待っていたセカイは目をサンサンと輝かせていた。


セカイ「そういえばマホさん、この後、配信するみたいだね恵方巻き食べる配信。」

マオウ「それじゃ後で観ましょうか・・・流石に押しかけるのもアレですし」

セカイ「――――マオウさん身バレが一番危ないの・・・」


そんな会話をした後、2人は恵方巻きを“今年の方角”に向けて無言で食べ始める。

無言で恵方巻きを食べてその合間に願いを頭の中で行うという一風変わったものだが

これらは初詣などと同じことなんだなとマオウは理解・解釈していた。


マオウ(今年もセカイさん含めて無病息災・健康大事に過ごせます様に――――)


そう願いながらマオウは恵方巻きを食べ終えるのであった。

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