第56話剣魔王者決定戦当日
あれからいくつか経ち、剣魔王者決定戦当日となった。
ユズリハとは依然として出会わないし、リアルアには妙に懐かれているように感じる。
ただ、リアは普段ベタベタするくせにたまに顔真っ赤にして狼狽えるようになっていた。
よくわからん。
また、リオラは俺の影に入って生活するようになり、不意に現れては吸血して帰って行く。
勇者パーティのエリシアやフレア、カレンはパーティとしての活動を終え、普通に学園に通うようになった。
エリシアとフレアの二人とは出会えば言葉を交わすが、カレンは俺に話しかけなくなった。
俺も未だ結論は出せず、カレンとの関係は硬直していた。
ちなみにリオラと対面したサーシャは泣いていた。
いろいろな気持ちを抱えていたのだろう。
今では頻繁に二人で街に出掛けたりしている。
リオラは死んだことになっているが、その奔放な性格からか表舞台にはほとんど立ったことがなく、バレることはほぼないそうだ。
まあ、最近リオラは忙しそうに駆け回っているのでサーシャは寂しそうだが。
俺は今、剣魔王者決定戦の観戦席に座っている。
この大会は一対一で戦い合い、降参をさせるか戦闘不能になった方が負け、というルールで行われる。
なにやら死ぬ攻撃を受けても一度だけダメージを肩代わりするフィールドを作るという古代の魔法具を使っているらしく、この大会で死亡する人はいないらしい。
学園全体に貼っていて欲しいが、ミーシア曰く莫大な魔力を一年間貯めて、ようやくフィールドを数日覆える程度らしい。
使い勝手が悪すぎる。
今大会に出場する俺の知り合いはカレン、ミーシア、サーシャである。
リアルアは特に出る必要がないらしく、聖女エリシアと火の大魔法使いフレアも勇者の一連の流れで休養ということになっている。
今や勇者の悪行は国中に広がり、カレンも含めた三人は被害者として扱われている。
「ミーシアたちの出番まだかな?」
「まだ開会式も始まってないぞ」
隣に座るリアはうきうきして待ちきれないようだ。
「……複雑です」
と、隣に座るエリシア。
ミーシアたちと最近顔見知りになった彼女は、知り合い同士が戦うことに思うところがあるのだろう。
彼の読みでは、俺とリオラに何かされる可能性が高いと言っていた。
「まあ、死ぬことはないんだし大丈夫だろ。それよりも、頼むぞ」
「はい。あんな人でなしたちに好き勝手させるわけには行きません」
俺とエリシア、そしてフレアは今日起こるであろう出来事をある程度把握している。
また、ミーシアも知っているが、サーシャや双子姉妹は知らない。
余計な不安を抱かせたくないし、知らなくても命の危険はないはずだからだ。
勇者パーティの面々が知っているのは、こちら側で何か起こったときに味方についてもらうため。
今日、城で行われている社交会で起きるであろう胸糞の悪いことと、俺の身に降りかかるであろう厄介ごとに辟易する。
俺はこんな気持ちになった出来事について思い出した。
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