第5話 万引き現場

私は本屋に足を運ぶ。



「あれ…?あの子……確か…同じクラスの…」



私は声を掛けようとした時、スッとバッグに入れる姿を目撃してしまった。




「…嘘…あの子…そういう事をする感じじゃないのに…」




まさかの意外な行動に驚く私。



彼女は横切り会計を済ませる事なく店を出る。


至って真面目だけど友達もいる

彼女・山元 由紀恵(やまもとゆきえ)ちゃん。


私は後を追った。



そして声を掛けようとした時――――




「ちょっと!君、待ちなさい!」




店員さんが彼女を呼び止めた。




「バッグの中身、見せてくれないか?未会計の物があるはずだけど?」



「………………」



「ほら、見せなさい!警察…」

「ちょっと!待ちなよ!」

「何だね?…あっ!もしかして君も共犯者か?」



ムカッ

店員の言葉の勝手な思い込みに腹が立つ。



「あー、そうですよ!共犯者です!すみませんでした!」



私はお金を払い店を出る。




「藍李ちゃん…あの…」


「気にしないで。たまたま見かけたから…だけど…どうして?由紀恵ちゃん、あんな事する様な子じゃないよね?誰かに命令された?もしくは…本当に自分の出来心?」



「…それは…」


「分かった。聞かないし深く追求しない。万引きは悪い事だって知ってるよね?」



コクリと頷く彼女。



「だったら安心した。例え、どんな理由であろうと盗みは駄目だよ。ねっ!」


「うん…」




私達は話をしていた。





その日の夜――――



「藍李ちゃん、ちょっと良いかな?」



私の部屋のドア越しから聞こえる声。



カチャ

ドアを開ける。


ドキッ



「尋渡さん?どうしたの?」



尋渡さんは、私を部屋に押し込む様に後に続いて尋渡さんも入ってくる。



「…尋渡さん?」

「午後、偶々、見かけたけど、どういう事?」

「えっ?」

「万引き」

「…あっ!いや…あれは…事情が…」


「事情?理由話してくれないかな?」



「あれは、クラスの子が…店員さんに呼び止められて…偶々、私も目撃してたから後追って…私が声掛けたら共犯者として犯人扱いされて……」



「うん、それで?」


「余りムカついたから…そうですって…お金を私が支払って彼女とは話をした所。元々、そういう子じゃないから驚いちゃって…」


「…なんか理由あったんだろうな…」


「うん…深く追求しなかった…というより…出来なかった…」


「そっか…」



「でも、どうして尋渡さん、あの時間…」

「外回りで偶々」

「…ふーん…」

「疑ってる?」

「いや…」



トン

私の両肩に手を置く。



ドキン


「浮気なんてしてないし、しないし。するなら藍李ちゃんとの方が全然良いでしょう?」



ドキッ



「えっ…?いやいや、それはどうかと…」

「そう?」

「尋渡さん、お姉ちゃんの旦那さんだよ?私は妹!」

「うん、妹だからこそ上手く出来そう」

「尋渡さん…問題発言だよ」

「そう?じゃあ、おやすみ〜」



そう言うと私の部屋を後に出ていった。




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