第3話 早く生まれていたら………
「ヤッバー!遅刻じゃん!すみませーーん!私、先に行かせて頂きますっ!ゴメンっ!朝ごはん無理っ!」
「あっ!こらっ!藍李っ!」と、お姉ちゃん。
3世帯の生活が始まり
家族団欒の時間。
寝坊した挙げ句、学校に間に合うか間に合わないかの瀬戸際。
私は学校に行く。
「近道しなきゃヤバイでしょう?つー事で失礼しまーす」
私は裏道を使用し、学校へと行く。
人が一人通れる位の狭い道。
学校の正門近くに繋がっている道なのだ。
そして――――
「えっ…?今の…藍李…ちゃん…?」
私の姿を偶然見かける尋渡さんがいた。
しかし近道をしたものの間に合わず遅刻。
裏門から行く事にした。
「はあ〜…結局…遅刻だよ……」
すると――――
「ねえ、友矢(ともや)私の事、好き?」
「ああ、好きだよ」
そういう会話が聞こえる。
「朝からラブラブかよっ!つーか…チャイム鳴ってるのに気にしてないのって…いつもの事なのかな?」
男女のカップルと思われる二人は濃厚なキスをしている。
正に、二人の世界だ。
次の瞬間――――
ガクッと体のバランスを崩し
「きゃああっ!」
ドサッ
ど派手に転んでしまった。
「…ったぁ〜〜…」
「…大丈夫…?」
カップルと思われる男の人が私に尋ねた。
「…は、はい…すみません…イイ雰囲気の所をお邪魔して…」
「いや別に気にしなくても良いけど…」
「美人な顔が台無しね」と、女子生徒。
「えっ…?」
「はい、荷物」
「ありがとうございます。お、お邪魔しました」
私は足早に去った。
「おもしれー子」
「本当。友矢のタイプの子よね?」
「まあ…恋人にするならの候補者タイプの一人でもあるけど…多分…知り合いの妹じゃね?」
「えっ?」
「間違ってなければ…彼女は…今後、関わりあるはず…」
「へえー…あっ!それじゃ行くね」
「ああ」
二人は別れた。
その日の放課後。
「なあ」
ビクッ
「きゃあっ!」
「大丈夫だった?」
「えっ…?」
「今朝、ど派手に転んでたし」
「あー、まあ。不死身なんで」
「あー、そんな感じだよな?」
ムカッ
彼の一言に腹が立つ。
「あの!!一体何の用!?」
「別に。今朝の出来事が目に焼き付き過ぎて、一人でいるの見かけたから」
「あっ、そう!じゃあ、用が済んだら帰って!」
「はいはい。じゃあ、その前に1つ。なあ、あんた、もしかしてお姉さんいたりする?」
「あーー、うん、いるけど…」
「やっぱり?」
「えっ?」
「いや。それじゃ」
そう言うと帰って行った。
「な、何?何なの?」
その日の夜――――
「藍李ちゃん」と、尋渡さん。
「はい?」
「今朝…凄い所から出て来てたね」
「えっ?」
「なんか人が一人ギリギリ通れる位の道から出てきたの見かけたんだけど」
「あー…近道なんです」
「そうなんだ。まるで忍者みたい。変質者とか泥棒に間違えられなくて良かったな」
「変質者とか、泥棒とか人聞きの悪い事言わないで!第一、女子高生の制服の変質者とか泥棒はいないから」
「コスプレ好きなら、有り得るっしょ?」
「いやいや、絶対ないよ!」
騒ぐ私達に和気藹々(わきあいあい)ムードの中、笑いが絶えなかった。
夜、自分の部屋でぼんやりする。
「尋渡さん…明るいし、優しいし、面白いし……私がお姉ちゃんより…早く産まれてたら…私の結婚相手だったのかな…?」
好き
自分が相手に対する想い
一目惚れした私にとって
とても辛く悲しい出逢い
もう少し早く産まれていたら
私はあなたと
恋愛出来ましたか…?
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます