第19話 ダメですかそうですか。



     〇



 あの日以来、考えは改まった。

 森を抜けること自体は変わってはいないが、より強さを求めることにした。

 ここで十分と思っていた自分が愚かしくてしょうがない。

 あんな、死、そのものと対峙して、己の未熟さが恥ずかしかった。

 取り乱すことさえもできない、力量を感じ、何の抵抗もなく、従順な人形のごとく差し出してしまった。

 命があるからこそではあるが、それでも。

 心が折れそうになったのは、恥以外の何物でもない。

 俺は、もっと強くならねば。

 あの巻物に書いてあったことは一通り試した。

 大体のことは、覚えている。

 ここから練り上げていく。

 より強くなるために。


 それはそれとして、アルラウネの彼女がやたらと近い。


 何をするにしても着いてくるようになった。

 あの出会いからか、恐怖からなのか、鍛錬の時以外は常に真横を陣取っている。

 森を抜け出す準備はほぼ完了しているので何の問題はないが、その。

 もう少し、離れてもらえないだろうか。


 ダメですかそうですか。

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