アイドル転生――ライブ中に銃殺されたアイドルのやり直しの物語――

ググる

第一話 ステージ

 


    ※連続投稿いたします!!







プロローグ 


夏休みも後半戦にさしかかり、世の学生たちがようやく夏休みの宿題や課題に手を付けは始めた、ある週の日曜日。ひぐらしが鳴き始める夕刻、東京ドームでそれは行われていた。来場者数は5万人近くにも及ぶ記録的来場者数を誇り、ドーム開場前から大蛇の列を作りその模様はテレビでも取り上げられるほどだった。


「まさに現世に舞い降りた天使ですね ウフウフ」・・・・・・・・・・・・・・・by50代男性


「天然金髪で透き通る白い肌に澄んだブルーの瞳とかやばいでしょ」・・・・・・・by21歳大学生


「歌声がどこか懐かしいような感じがして好きになりました。」・・・・・・・・・・

by40代主婦


「SNSのショート動画でバズっててそれを見て好きになりました。」・・・・・・・

by高2の女子高生たち


「日本男子なら誰もがメロメロになるその容姿はまさに現代に舞い降りた女神でごわす!!」by30代オタク


カメラのインタビューに答えるのはそれぞれ、歳も世代も性別も違う男女たち、

しかしそれらの男女に共通していることがあった。それは彼女が好きであること。





ナレーション:


――「さぁ続いては、今話題のアイドル!

    水前寺アスカ(すいぜんじあすか)ちゃんの登場だ~!」


ナレーションのかけ声と共に、5万人弱もの観客の熱気は最高潮に達していく。

そこへ、彼女は姿を現した。


「「「オオーーーーーー!!! オオーーーーーーー!!!」」」


「「ASKA~~ASUKA~~

       A・S・K・A――ASKA(アスカ)――」」


――ステージ全体がASKAコール一色になる――


観客の歓声はドームの中を地響きのごとく響かせていった。


今時、珍しい、単身アイドル「水前寺アスカ」

彼女は今どきのSNSのライブ配信アプリで人気を集めアイドルとしてデビューを果たしたアイドルで、有名事務所などには所属しておらず、正真正銘単身でアイドルとなったまさに天才、いや天使である。今では某アイドルグループ48や某坂48などのグループにも匹敵する人気を博している。その最大の理由は天使のごとき美声と細身で肌白の美しい容姿。背丈は170センチと高くそのトップから腰のあたりまで伸びる金髪のストレートヘアー、そしてなにより宝石のサファイアにも見劣りしない澄み切った空色の瞳!まさに現代に舞い降りた天使と言っても過言ではないほどにパーフェクトだった。歳は21歳とアイドルのスタートとして遅いにも関わらず、その声とルックスに誰もがトリコになっていった。

もちろん俺もその一人だ。


でも、俺が惹かれたのはそこじゃない。彼女の経歴に目を惹かれたのだ。

――彼女はアイドルに珍しく素性や経歴などを隠さず公開していた。そしてその経歴がすごかった。高校卒業は小中では子役などを経験し高校では海外で役者として活動そして高校卒業後は帰国し、公の場から一時的に姿を消すものの一本のSNS投稿をキッカケに再び表の世界に進出を果たしそしてたった3か月という短すぎる期間で、アイドルとして頂点とも言える武道館ライブを成功させトップアイドルの座を掴み取ったのだ。


そして、僕が彼女と出会ったのは5年前の雨の日、連日による残業と休日出勤のせいで心も体もボロボロ、日々のオーバーワークのせいで夢もやりたいことも考えることすらやめていた————しかし、その瞬間は突然訪れた。それはいつも通り残業の帰りだった。ふと、いつもなら開くことのないショート動画サイトなんか開いてながめていたら、彼女は現れた。

それはとあるライブの切り抜きで、さほど珍しくもないライブ映像だったが僕はそのライブ映像から目をそらすことができなかった。なぜならそこには天使がいたからだ。すでに動画は広く拡散されておりそのバズり方は異常なほどで、


——そう、まさに最強のアイドル誕生の瞬間だった。——




そして、とうとうそんな彼女の3時間に及ぶライブも終演へと近づき、残り1曲を残すまでになっていた。


ナレーション:

――「皆さん、とても悲しいことに、いよいよ残すところ一曲となり、この楽しい

3時間のライブも終わりに近づいてまいりました。最後の曲に入る前に水前寺アスカさんから皆さんへ一言、伝えたいことがあるそうです。では、、どうぞ!」

ナレーションが終わると、ステージの中央に彼女は純白のドレスに身を包み登場した。その瞬間、ドーム中の観客が声を挙げた。


「おおーーー!!うおーーーーーー!!!」


白熱した声は空気を震わせドーム内だけでなく外部へも響きわたり、都会ならではの生活騒音をも寄せ付けないほどヒートアップしていった。

しかし、彼女がマイクを手に音が入ったとたん、とてつもないほど大きな歓声が嘘のように泣き止んでいった。


「今日は私のライブを見に来てくれてありがとう。」

彼女が話すたび、さざ波が立つかのように黄色い声援があがっていった。


「わたしは、今日この時を迎えられてほんとに、本当に幸せです。」


「でも、こんな特別で幸せな日にみんなに伝えなきゃならないことがあるの。」


「いや、伝えるべきことがあるの!!」


「それは・・・」


彼女がマイクをぐっと握りしめ、言葉を詰まれせていた。

——緊張しているのか。それともこの後、話す内容ががとても悲しい言葉なのか。そのどちらでもないのか。そのことを確かめるすべはないが、一言、言えることは・・

「大丈夫だよ!!」と

そしてこの感覚はおれ個人が抱く感情ではなくここにいるファンみんなの声だというこに気づくのに時間はかからなかった。

各々は声を挙げる。


「落ち着いて~大丈夫だよー。」


「アスカちゃ~ん、落ち着いて~!!」


そんな声はいつしか「ASUKAコール」へと姿を変えていく。


「「ASKA~~ASUKA~~

        A・S・K・A――ASKA(アスカ)――」」


彼女は、そんな俺たちファンの声援を聞いてか、深呼吸し、そして

「わ、わたしは・・じつは・・・




――そんな中、一発の発砲音がドーム中に鳴り響いた。



その直後、人が倒れる音がマイクにより、再びドーム中に響いた。

音の主は彼女であった。

そして、ステージの上で血を流した彼女の光景がバックの大きなスクリーンに数秒間映し出される。


「何が起きたのか?!」

この場にいる全員が思考停止に陥っていた。そしてだれも声を挙げることかなく数秒が経過していった。なぜなら、近年のライブでは次の曲に入る前に前振りとして曲のテイストに沿った演出が行われることが多くあり、これも一種の演出だ。と捕らえていたためで、俺もそのひとりだった。

しかし、徐々にそれは疑念につながり、そして確信へと変わっていく・・・

次の瞬間、「きゃーー!!!」の悲鳴があがり、その悲鳴と同時に観客たちの心へ恐怖が駆け回った。もうそこからはあまり覚えてない。人の波に抗うことに必死で。




警察:それで、犯人の顔などは見ませんでしたか?

俺 :いいえ。

警察:そうですか。 これで聴取は以上です。ご協力感謝いたします。

俺 :はい...


事情聴取を終え、テントから出るとマスコミなどが詰めかけドーム周辺は大混雑しており、マスコミの手は俺にまで及ぶほどだった。そこから後のことはあまり覚えれない。ただ、ただただ、その日のアスファルトに叩きつけられる雨音だけが耳の奥底にこびりついて離れなかった。


 ――翌朝からこの出来事は多くのマスコミで取り上げられ、テレビでは連日連夜この出来事が放送され、


          

       

       そして一週間後、彼女が亡くなったことが報じられた。







【あとがき】


この度はご観覧いただき誠にありがとうございます。

今回が初めての執筆となるため誤字や言い回しに不備が多々生じるかもしれませんが何卒暖かい目で見守って頂けると幸いです。


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