第31話 スキルという名の祝福
ミソボニアの話を手放しで信じるわけではない。だが、アルバレス家がベルルの血を引いているのなら、依り代としてルクレツィアほど最適な人間はいない。なにせ、性別、血筋が同じで高位のスキル持ちなのだ。
「ヴェルデ・アルバレス。私の血を受け継ぎながら私の祝福を拒んだ男。その不遜ぶりには敬意を表すばかりよ」
祝福? スキルを持って生まれることを指しているのか?
「俺は確かにスキル持ちじゃない。だが望んでそう生まれたわけじゃない。悪かったな。あんたの『祝福』とやらを受けられなくて」
「とんでもない。私のスキルの恩恵を受けずにそれだけ戦える。素晴らしいことだ。今からでも遅くはない。私からスキルを受け取りなさい。なんたって私はスキルの始祖なのだから。どんなスキルでも今譲渡できる。さぁ、望みのスキルを言ってみなさい」
ここで望む能力を願えば、安泰な人生と最高の名誉が手に入る。
だがそれでいいわけがない。
俺はもう、家とか血筋には縛られないと決めたのだ。俺は、俺を大切に思ってくれる人のために生きる。邪神の恩恵に与り、邪神に頭が上がらない状態で生きていくなど、まっぴらごめんだ。
「悪いな。俺には霊力がある。今さらあんたのスキルなんて要らない」
俺はきっぱりと断る。
「触れたもの全てを黄金に変えるスキルは? 妄想上の美女を具現化できるスキルは? どんなスキルでもコピーして自分のものにできるスキルは? そんな夢みたいなスキル、要らないの? 私はスキルを譲渡できる唯一の存在。このチャンスを逃したら……」
「要らないと言っている」
俺は語気鋭く繰り返す。
「どうして……どうして皆、私を受け入れないのかしら。ひどいわね。私のこと、迫害したり、皆にスキルを与えたのに『邪神』呼ばわりされたり。やっぱり信頼できるのは、自分の子孫だけね。私の祝福を受けなかったあなたは、私の子孫なんかじゃない!」
ベルルは途端に取り乱した。情緒不安定な奴だ。
「勝手に言ってろ。俺はもうアルバレスの名を捨てた。あの家とも、あんたの血筋とも関係ないね!」
俺はそう宣言して剣を抜き放つ。
勝てない相手だということは分かっている。だが、ここで逃げるなど以ての外だ。
服従するのも論外だ。誇りを失えば、死んだも同然だからな。
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