想いの欠片
hapu
一章
第1話
耳元で鳥の鳴き声が聞こえ、まだ朝日が出る少し前に今日も起こされた。
「いつも言ってるじゃないですか。耳元で鳴かないでください」
「・・・」
「まただんまりですか?今度こそ焼いて食べちゃいますよ」
瞳から光を消し、抑揚をなくた声で言ってますが、この子は気にもとめて無い様です。
毎朝繰り返ししているこの出来事も、この子とももう少ししたらもうできなくなってしまいます。
この子もそうですがもうすぐ亡くなってしまう子たちは昔からそうでした。
だからですかね焼いて食べるといってもただこちらを見るだけですから。
「あぁ、すみません考え事をしてました。そうですねごはんにしましょう」
この子の前の子たちを考えていたら足をつつかれてしまいました。
そういえばこうして思い出にふけっていたら、最初の子以外はつついてきますね。嫉妬でしょうか。
にしてもこの子もですがよく扉を開けれますね。
教祖様はまだ起きてないですね。起きてくる前にこの子たちのご飯を出して朝食を作りたいとこです。
「おはようございます。門番さん」
「・・・」
寝ていらっしゃいますね。
まあこの方以外の門番とあったことがないので、ずっと一人でここを警備しているせいで疲れが溜まっているのでしょう。
起こさないようにして小屋に向かいましょうか。
小屋への道も少し荒れてきましたね、今度手入れをするとしましょう。
小屋に近づくにつれ鳥の鳴き声が騒がしくなっていきます。
・・・やはりうるさいですねこの小屋は、私が近づかないと静かなのに近づくとこれですよ。
「うるさい子にはあげませんよー」
この子たちのごはんがある倉庫に向かいながら小屋に向かって叫びます。
こうしないと静かにならないんですよね。
最初から静かにしてほしいですね。
「はーい順番に上げますから鳴かないでくださーい」
「あっこらそこほかの子のやつを食べないでください!先ほど食べていたでしょう!」
「不満な顔をしてもダメです」
最初の方の子は後の子に比べて食べ終わるのが速いですから、大食いの子はほかの子のを食べに行くので困ったものです。
「今日の食用の卵はどこですか?」
こう尋ねると鳥たちは道を開けてくれるので、大変楽ができます。これをしなかった以前までは攻撃されましたからね。
街の方たちに聞いても卵の場所なんて教えてくれないし、卵を取ろうとすると攻撃されるって言われます。
うちの子たちの頭はほかのところの子たちに比べていいんですかね。
「ではもらっていきます。明日もお願いしますね」
鳥たちにお礼を告げ小屋を後にし、教会へ戻ります。
小屋へ行く時は寝ていた門番さんが起きてますね。
「おはようございます。門番さん」
「おはよう嬢ちゃん。今日も早いな」
「鳥に起こされますから」
「嬢ちゃんの耳ももう少ししたら聞こえなくなっちまうかもな」
「縁起でもないことを言わないでください」
「それより嬢ちゃん。教祖様はもう起きてるぞ、急がなくてもいいのか?」
「それを早く言ってください!あの人わがままでうるさいんですから」
「ははは、本人には聞かれないようにな」
「わかっています、では」
「今日もおいしい飯をつくれよー!」
「はい!」
門番さんにはご飯を振る舞ったこと無いはずですが、教祖様からでも聞いたのかしら。
さて、今日は何を作りましょうか。昨日は目玉焼きを作りましたね。そういえば昨日パンを買ってきていましたね。卵サンドにしますか。
厨房までの廊下を歩きながら朝食のレシピを考えていると、厨房につきました。
「さて、うるさくなる前に作り終えましょうか」
お湯を沸かしている間に調味料を用意して卵の殻に少しヒビを入れておきます。
卵は風で切るので包丁はいりませんね。
とはいえ、調味料と混ぜる容器が必要ですね。
お湯が沸騰していますね。もう入れちゃいましょう。
少し暇になりましたね。洗い物もないですしすることがないですね。いつもなら夜に起きた教祖様が食べた何かしら食べるので、洗い物があるのですが、今日は食べなかったのでしょうか。
「ちょっと、今日の朝食はまだぁ~?」
厨房の入り口にはいまだに眠そうな声とともに姿を現す教祖が佇んでいました。
「もう少し待ってください。教祖様」
「それで、今日の朝食はなにぃ~」
「卵サンドですよ」
「そう。それじゃあ楽しみにしてるわぁ~」
眠そうにしながら手をひらひらさせて、ダイニングルームに向かう教祖。
想いの欠片 hapu @hapu36
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