第14話『尊い仕事』
講習会が終わり、三人がマルクに案内されて集会所にやってきた。
「お帰りなさーい!」
酒のつまみから揚げ物まで、大皿にどんと盛られていた。
「おーっ、こりゃうまそうだ!」
ノリヒトが疲れも見せず声を上げる。後ろにはトーマスやルイがすっきりした笑顔を浮かべている。セイル長老やアインスの姿もある。
「さぁ、座って座って!」
ポールが席を勧めて、五人は一塊に円卓の一隅に座った。
「おーっ、よく見りゃキレイどころがいるじゃねぇの」
ノリヒトが今さら驚いたが、ポールとタイラーがずいっと親指を自分に向けた。
「俺んだ!」
「ま、そうだよな。こんなキレイどころを一人にしていくようなら男じゃねぇよ」
あっさり引き下がるノリヒト。満面の笑みだ。
「ご機嫌だな? ノリヒトさん」
タイラーが拍子抜けして聞くと、ノリヒトは豪快に笑った。
「ワッハッハ、俺は嬉しいのよ。こんなところで若けぇやつらが、汗水流して世界背負って働いてんのが」
顔を見合わせるポールとタイラー。
「見直したぜぇ。特にあんた、ポールってんだろ?」
「は、はぁ」
指名を受けたポールは間抜けな返事をする。
「世界の大変革とやらでピンチに陥った万世の魔女さんを助けるために、神懸かりになってまでいい方法編み出したんだろ? なかなかできることじゃねぇぜ。男はそうでなくちゃいけねぇや」
大筋は合っていたが、どこか歪んでいる。
その話をしたセイル長老やアインスは笑みを浮かべているだけだ。
「は、はぁ、どうも。んなことより! 乾杯だ乾杯!!」
照れ隠しにポールは声を張り上げた。
「長老、音頭をお願いします」
トゥーラに促されて、セイル長老がえっちらおっちら立ち上がる。
「それでは新入生諸君の類い稀な腕とNWSの前途を祝して――!」
「乾杯——!!」
冷たいビールが全員の喉を爽やかにする。
「いやー、最高だぜぇっ!」
ノリヒトに視線が集まる中で、トーマスとルイがトゥーラにビールを注がれる。
「こりゃどうも、すみませんねぇ」
「はいお願いします。おっとっと!」
ビールが溢れそうになって、ルイが慌ててジョッキに口を寄せる。
「お二人は納得されまして?」
トゥーラににこやかに聞かれて、トーマスが答える。
「は、はぁ……皆さん、とんでもない大きな仕事に就けて幸せですなぁ」
「ええ、おかげさまで。でも、これからはトーマスさんたちもその一員ですわ」
「いやぁ、俺たちも幸せな仕事してるって自負はありますがね。世界規模ってなると正直尻込みしますわ」
「農業こそは天の仕事ですもの。堂々となさってくださいな」
ルイが苦笑した。
「なんか――偉そうに御託抜かしたのが恥ずかしくて」
「えっ?」
「いえね、天の仕事って言うなら、こちらがしてるのもまさにそうで。どっちが偉いとか言うことじゃないなと思って」
「……どちらかというと、尊いということで変わらないのでは?」
「尊い……! うん、まさにそうだ」
ルイが深いところで万世の秘法を理解したようだった。
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