第6話 Dランクになった俺はCランクを目指す

 街の宿に泊まった翌日の昼前。

 駅馬車に乗った俺は今、とある森を訪ねていた。

 最初に訪れた森とは違い、地面の起伏が激しい上に木々の背も高く、大自然を感じてしまう。

 土と緑の匂いも強く、森林浴気分である。


「さて、と。この森に住むゴブリンコマンダーを倒すわけだけど」


 ゴブリンコマンダーとは、ゴブリンと言う雑魚モンスターの中に時折生まれる個体だ。


 ゴブリンたちを束ねる群れのボスで、その戦闘力は通常のゴブリンとは比較にならないらしい。


 それでも、俺のアイテムボックスSを使えば楽勝だろう。

 けど、今日はアイテムボックスSを戦闘に使う気はない。


 初日に錬成した日本刀と小太刀を取り出すと、両手に一本ずつ握り込む。

 天下無双と謡われた、あの宮本武蔵と同じ二刀流スタイルだ。


 確かにアイテムボックスはチートだ。

 その反面、実戦経験を積めない。


 だから今日は俺が持つもう一つの武器である、ジョブの力を試そうと思う。


 俺のジョブは日本人固有ジョブ【武将】。

 DQN王は、精を出さず怠けてばかりの人という意味の【無精】と勘違いしていたけど、説明文を読む限り武将ジョブはとんだチート性能だ。


「おっ」


 木の上から、突如として長い牙の生えた猿が落ちてきた。

 が、俺は慣れ親しんだようになめらかな動きで刀を振るいサルを両断。収納した。


【キバザル レベル4】


 半径一キロ以内の有用な素材を収納するよう指定しているので、モンスターは絶命と同時にアイテムボックスに収納される。


 それから、課金スキルで手に入れたマップスキルと探知スキルで俺はゴブリンコマンダーの居場所を探知。


 残念ながらマップ内に反応はなかったものの、ゴブリンの反応が森中に点在している。


 ゴブリンの多い場所をしらみつぶしに探せば、いずれマップの範囲にゴブリンコマンダーを捕らえることができるだろう。


 俺は焦ることなく、だけど前抜きに森の中を駆け抜けた。


 途中、多くのモンスターが襲い掛かってきたけど、全て日本刀と小太刀で通り過ぎざまに収納送りにしてやった。



【グリーンスライム レベル1】

【フリントマウス レベル2】

【オオナメクジ  レベル3】

【ホーンラビット レベル3】

【フレイムキャット レベル6】



 ちなみに、モンスターと動物の違いは魔力の有無と人間を襲うかどうからしい。


 クマや狼は危険ではあるものの魔力を持たず、獰猛だが人間を警戒しているし、積極的には襲ってこない。


 一方で、モンスターとか魔獣とか呼ばれている生物は、魔力を持ち、魔術やスキルを使う個体もいて、食性に関係なく何故か積極的に人間を襲うらしい。


 さっきから目につくモンスターが次々俺を襲って来るのはそのせいだ。


 もっとも、そのおかげで俺は素材を手に入れ放題の入れ食い状態なので非常に助かる。


 ――モンスターよ、もっと情熱的に俺に襲い掛かってきてくれ! 君らの熱い想いは俺の刃が全て受け止めて上げよう。


 黒くてライオンのように巨大な狼が襲い掛かってきた。


 が、俺は鋭利な牙も爪も流れるように避けて、すれ違った時にはもうアイテムボックスに収められていた。


【ブラックハウンド レベル7】


 武将ジョブ。

 その能力の1つが、経験に寄らず刀剣類初段の腕前を発揮できることだ。


 当然、初段程度は、これほどの強さは発揮できない。


 あくまでもレベル19の身体能力ありきだ。


 とはいえ、初段と言っても段位は段位。


 素人さんはバカにするかもしれないが、剣道刀道居合道初段の動きは想像以上に凄まじかった。


【イワトカゲ レベル8】

【ヨーウィー レベル10】


 岩のようなウロコを持つトカゲと、昆虫のような脚を持つトカゲを両断しながら、ジョブの力に感動した。


 運動音痴だったはずの俺が、まるでハシでご飯を食べるようにして刀を使いこなしていた。


 自分の取るべき最高率の最適解を最速で、脊髄反射で行える。


 ――これが武将ジョブか。他のジョブも興味があるけど……。


 遠くの枝が揺れ動いて視線を向けると、コウモリの羽を持ったカエルたちが飛んできた。


 俺は素早く刀を収納すると、代わりに弓矢を取り出して構えた。


「疾ッ!」


 俺が放った矢は狙い過たず、カエルの脳天を直撃。

 続く2射目、3射目も、吸い込まれるようにしてカエルを撃ち落としていく。


【ウォーターリーパー レベル9】


 武将ジョブが持つもう1つの能力、それは、経験に寄らず弓術初段の腕前を発揮できることだ。


 武将ジョブがあれば、金貨100枚の課金で手に入る剣士ジョブも弓兵ジョブもいらないだろう。


「疾ッ!」


【バクダンボタル レベル12】

【トゲテントウムシ レベル11】


 ちなみに放った矢もアイテムボックスの中に回収できるので弾は実質無限だ。


 そうやって向かい来るモンスターたちを蹴散らしながら森の奥へと進むと、茂みに隠れるゴブリンたちを見つけた。




・人気になったら本格連載!

・この第6話に32PVついたら7話目投稿!

※PV プレビュー 本文の視聴回数のこと 今みなさんが目にしているのは6話。

2話 3話 などそれぞれの作品にアクセスするごとに各話のPVが1増えます。

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