本プロット
全体注意事項
・情景描写とのリンク。特に風や気温を重視。
・キャラクターの心情を注視。必要であれば、別途検討すること
・篤史のヒーロー性の開示。葵とのデートに出る際の予定作りとスケジュール感で演出する?(第5章③の塩梅次第)
全体でのキャラクターの動き
・篤史は風や気温に敏感な人間であること
プロローグ 今まで、心、苦しさ1つ
役割:虚しさという概念の提示
提示事項:虚しさという主題を提示
内容:篤史のモノローグ。残暑がなくなり、風が冷たさを帯び始めた。心に虚しさ、空洞を抱えている身には応える季節が訪れたことを述懐する。
第1章 秋口、少女、希死念慮
・全体役割
① 主要登場人物紹介
② ストーリーライン『葵の楽しいこと探し』の提示
③ ストーリー全体の目標『葵の自殺回避』の提示
・日付設定
9月26日
・構成
① ヒーロー
役割:篤史(ヒーロー、虚無感、人に無関心)、修二(人生謳歌)のキャラクター性と関係性の提示
伏線敷設
・サボるボランティア部の欺瞞。ボランティアと言っても慈善活動を目的としているのではなく、ボランティア活動をしていることで得られる付加価値を目的としている=篤史の事前活動にも何か裏があること
・篤史と葵の喧嘩の原因となるボランティア部の少女の登場
・篤史が人助けをすることに楽しさを見出していること=篤史の欺瞞開示時のギャップ
・篤史が人にあまり関心がないことの提示=有名な葵のことを知らない
伏線回収
内容
・昼休み。篤史がボランティア部の少女のお願い「人手不足によって草むしりのための人員がたりない」を受諾。
・その様子を見ていた修二は篤史がいつものように人助けしていることを茶化した。修二は「篤史自身の篤史のためだけの楽しさってのはないのか?」と問うと篤史はこともなげに「人を助けるのが俺の楽しいことだよ」と答える。修二はいい子ちゃんぶってなんて呆れた。
・対して篤史は修二に対して「いつも楽しそうだな」なんて言う。修二は自分のやりたいことを好きなようにやることを楽しんでおり、2022年夏覇権アニメ「魔法少女まじかる☆まじかる」のイベントに参加することやオタク仲間とのオタ活に勤しんでいた。人生謳歌している修二を篤史は眩しそうに見ていた。
・篤史は廊下の開いている窓から漏れる風に寒さが混じり始めたことを言う。修二はあまり寒さを感じていない。篤史はその理由をめちゃくちゃテンション上がってるからという結論に落ち着かせた。
・そんな折、はしゃぐ修二が廊下を歩いていた葵とぶつかってしまう。葵は修二に対して毒を吐く。彼女が去った後、修二は葵について愚痴る。篤史はそれを窘めながら、あの人は誰だと修二に問う。修二は葵が孤独で有名な存在であると言った。篤史は人に関心がないので、そんなに関心がなかった。去り行く背中を見ながら、篤史は特に関心を寄せなかった。
② 草むしり
役割:篤史の人助けのやり方・他者評価と葵の発見の提示、篤史のヒーロー性の提示
伏線敷設
・篤史は一貫してボランティア部の少女の名前を呼ばない=篤史が人への関心が薄いことの提示
・篤史と葵が出会うことの提示=第1章③
伏線回収
内容
・放課後、篤史はボランティア部の少女と共に運動場の隅の草むしりを行う。草むしりを行う際に根っこがしっかり根付いてしまっていたため、抜きににくそうにしてるボランティア部の少女に篤史は抜き方のコツを伝える。
・ボランティア部の少女から篤史の人助けの基本は助言であることを明かされ、いつもいろんな助言をくれることに感謝している。
・篤史に出来ることは道を示してあげることくらいであると考えており、どうにかするのは篤史ではなく困ってる人自身だと言った。
・篤史は屋上に人影があることを認めた。遠目で良くは見えないが、女生徒であることはわかる。本来なら入れないはずの屋上に人が入れることを疑問視した篤史は草むしりが終わった後見に行くことにした。
・日暮れが近いため、肌寒くなっていた。
③ 屋上少女、自殺願望
役割:ストーリーラインとストーリー目標の提示
伏線敷設
・死ぬのが怖くて飛び降り自殺を選ばない=第6章で飛び降り自殺を選ぶほどの悲しみを得た
・ボランティア部の入部の否定=人助けがしたいわけじゃないの伏線
伏線回収
・篤史と葵の合流(第1章③)
内容
・草むしりが終わったのは日がもうすぐ暮れそうな頃だった。篤史は人影があった屋上へと向かう。屋上の扉はなぜか開いており、入ることが出来た。
・暗くて深い橙色の空をバックにして立つのは1人の女子生徒だった。篤史は女子生徒がさっき会った葵であることを思い出し、ここで何をしているのか問うた。女子生徒は何も答えなかった。応える必要はなかったためだ。
・篤史は脅すように先生に言いつけると言うと、葵は渋々、屋上に出ると心の中の虚しさが紛れると答えた。日常生活から隔絶された屋上は孤独を感じることが出来て、彼女の心にさざ波が立たない。虚しさを抱える彼女は他人の楽しそうな声を聞くと言いようもない感情が胸の内から沸き立つ。それを嫌っていた。
・葵はその調子で言う。「冬が来たら死のうと思うの」。理由は凍死がしたいから。凍死を一番楽に死ねる方法だと思っており、死ぬ上で苦しみも怖さも感じたくない彼女は凍死で自殺したかった。
・篤史はこれを好機と見た。噛みつくような勢いで「その虚しさを解消すること」を提案。葵には鼻で笑われて、この場は終わった。
第2章 初秋、少女、不快渦中
全体役割
① 葵にとっての虚しさの具体的な提示
② 葵が持つキャラクターとしての魅力の提示
日付設定
10月6日
・構成
① 連れ出す
役割:葵と篤史が結びつくこと
伏線敷設
内容
・放課後、篤史は葵の教室へ赴き、彼女を捕まえることに成功する。篤史の先生はHRが長く、葵の先生はHRが短いため、篤史よりも先に放課後を迎える葵は篤史が捕まえるよりも先に帰ってしまうのだった。だが、10月6日に限っては篤史の先生が放課後に用があり、早めに終わったのだった。
・葵は篤史の振る舞いに辟易していた。篤史が放課後のたびにやってきて、葵を誘うことはクラスでも話題になっていたからだ。そのため普段の学校生活でもクラスメイトに話しかけられてて、鬱陶しくてしかたがなかった。
・いつものように葵を迎えに来た篤史を彼女は腕を引っ張り、人気のないところへ引っ張っていった。そこで葵は篤史に詰め寄り、このように迎えにいくことはしないようにと厳命した。その際、距離を詰めすぎて、葵は赤面した。
・葵はさっさと篤史に付きまとわれるのを止めて欲しかったため、一回付き合うだけで終わりにしようと考えていた。篤史が満足するように自身の過去をなぞり、かつ篤史との関わりが少ないだろう映画館に行くことを提案した。
② 遭遇
役割:修二と葵の出会い
伏線敷設
内容
・篤史と葵が高校近くの映画館に行く。しかし行ったは良いものの、篤史と葵も映画に対して強い関心があるわけではないので、見るものに迷ってしまった。お互い何かを楽しむことに対して強い指向性を持たないため、選ぶ際に何を選べばよいか迷ってしまう。葵は篤史が連れ出したのだから、篤史が選ぶべきだと選択を押し付け、篤史も篤史で楽しめるものを選ばねばと思い、悩みに悩む。
・そんな折、修二が2人の前に現れる。修二は夏アニメの劇場版である「劇場版魔法少女まじかる☆まじかる ~永き夜の夜明け~」の6回目の鑑賞を行うところだった。
・修二は事情を知ると篤史と葵を誘う。篤史は葵が楽しめればそれで良いし、葵も映画自体にさして関心はないため、適当に承諾した。こうして篤史と葵は対して詳しくない映画を見ることになる
③ 映画館鑑賞後
役割:葵の家族観と虚しさに対する価値観の提示、葵がこれからも篤史に付き合う気持ちになること
伏線敷設
・虚しさを抱えたままでも新しいものを愛したいと思うこと=第6章の仲直りの伏線(創作物のように上手くはいかないからお互いの欲望をぶつけ合わせるということを告げる)
・葵が家族に対して抱えているものがあるということ=第2章③
内容
・映画鑑賞終了。近くのフードコートで、しゃべる3人。3人といっても主にしゃべってるのは修二だけだが。フードコートでは夕飯も近いのでフライドポテトをつまみながら。葵は不機嫌そうにしていた。篤史は映画がつまらなかったのでは、とはらはらしていたが、その実情は食べたかったチュロスが食べられなかったことに合った。
・修二は葵に作品の感想を聞いた。篤史は特に深い感想を抱かないことを修二は知っていたため、聞くだけ無駄だと思ったから。葵は映画の内容を冷笑的に見ていた。ポイントは2点。1点目は自身を怪物にしてしまうほどの虚しさを抱えてしまっているにも関わらず、そんな簡単に虚しさの理由となる夢を捨てて、新しいものを大切に出来ること。虚しさとは目を背けられないほどの強い欲求であって、そう簡単に目移りするようなものでもないこと。2点目は家族について家族をきっかけに登場人物は夢を叶えたが、家族というのは最も近い他人だからこそ、何かを変える強いきっかけにならない。むしろ虚しさを助長するものであると考え、あんなのはフィクションだけだと吐き捨てた。家族に対して抱えるものがある葵にとって映画の内容は不快極まりないものだった。
・時間も遅くなり、解散することに。葵はこの際、げんなりした様子で篤史にまたこういうことをするのかと問うた。篤史はもちろんそのつもりだった。気になったのは家族について毒を吐いていたこと。そこに虚しさの源泉があるのかと思っており、それが解決の糸口になるのではないかと考えている。篤史のしつこさに葵は溜息を吐き、Cルームの連絡先を交換することに決めた。今回のように教室にまでこられていろいろ言われるのが嫌だったため、事前に連絡よこせということだった。こうしてこれからはCルームでやり取りをすることになる。
第3章 盛秋、少年、剥落1つ
全体役割
① 葵のキャラクター性の深掘り
開示属性
・甘えたがり
・完璧主義
・愛情欠乏症
② 篤史の人に頓着しないあり方の継続
③ 葵と家族の確執の提示
④ 篤史が抱える自分を認めてもらえないという虚しさがその原因たる親を通して明らかになる。ぼろが出た篤史の変化は葵に不信を抱かせるきっかけとなる。
日付設定:10月29日
・構成
① 待ち合わせ
役割:篤史の人間関係に対する考え方の提示。
伏線敷設
・篤史が持つ人間関係に対する淡白さを表す。=篤史の去る者は追わないというスタンス、インポータントイベント「修二の説得」で発揮
内容
・篤史の聞き出しによって葵から水族館に行くことを提案された。そのため今日は待ち合わせてから行くことになった。
・Cルームでは必要最低限のやり取りしかない。淡白なやりとりしかない。
・葵のあんまりやとりしたがらないあり方に気遣ったものだったが、その本心まで踏み込めないのは篤史の在り方による。
・人と深く関わる必要はない。必要なことをしていれば良い。それが篤史の考え方だった。
・そんなことを考えてるうちに、葵がやってきた。篤史は大きく手を振って、葵を迎え入れた。
② 水族館内観覧
役割:葵のキャラクター性:甘えたがり、完璧主義の提示。②の全体的な内容の概要の提示
伏線敷設
内容
・しばらく並んで水族館に入場した2人。並んでいる間はどこに行きたいかとか、イルカショーを見に行くとか、ワークショップみたいなのをするとかそういう話をしていた。
・いざ水族館に入ると順路に従って歩いていくことになる。特に葵は熱帯魚コーナーにご執心で目を輝かせていた立ち止まっていた。(→イルカショーパートで家族の時は許されなかったと提示)
・その後、まだイルカショーにまで時間がある。そんな折、葵が目線をワークショップの方に向けていた。素直に言い出すことはなかったが、篤史は時間を潰すためにワークショップをすることを提案してワークショップに参加することを決める。
・ワークショップに参加した葵は篤史の予想以上に完璧を求めていた。葵は駄目かと問うと篤史はイルカショーはまだ予定があるし次の開催に間に合わないきても良いと答え、葵が満足するまでやるようにいった。葵は嬉しそうに頬を綻ばせた。
③ イルカショー
役割:葵が持つ虚しさの理由と篤史に対して希望を持ち始めていることの提示
工夫
・イルカショーとやり取りの同期
伏線敷設
・篤史の幼少期に対する不安感の提示=第3章⑤への提示
伏線回収
・第2章③の家族に対する嫌悪感
内容
・結局、イルカショーを見れたのは次の次の開幕だった。まぁ急いでないし、良しである。けれども葵のそれが終わったのはイルカショーが開幕する直前だった。ギリギリの時間帯に篤史は葵以上にはしゃいで葵の背中を急がせる。篤史は家族で水族館とか行ったことがなかったため、わくわくしていた。
・イルカショーの席に着く。イルカが飛んだり、跳ねたりする様を篤史は初めて見たと答えた。葵は驚いて家族と言ったことないのかと聞くと篤史は来たことがないと答えた。篤史の家族はそうしたことをしない家族だと答えた。葵はそれはそれで羨ましい家族ね、なんて答えた。そんな葵を篤史は驚いた顔で見ていた。
・葵は葵自身の生い立ちを語りだす。葵の家族は中途半端に家族の絆を重視するような家族だった。家族っぽいことをしても、お互い日々のストレスですれちがったりして結局喧嘩になってしまう。水族館や映画館に行った時も最後は両親間で喧嘩が発生してしまい、葵は常に緊張感の下に居ながら生きてきた。そうした経緯から葵は家族に対して良い思い出がなく、家族というものを嫌悪している。
・篤史はこれまでのやり方は間違っていたことを謝罪した。葵は敢えてそうしていたことを告白。そしてこうした虚しさを取り払おうとする馬鹿馬鹿しいことを辞めるように篤史に言う。だが、篤史は葵に新しい思い出を作っていこうと提案。家族の哀しい思い出を塗り替えるような楽しい思い出を作れば、虚しさも解消できるんじゃないかと言った。
・葵は今度は少し乗り気であんまり乗り気じゃないというようなことを言うと、篤史はそれでもかまわないと言った。葵が楽しむためのものなんだから葵が楽しんでくれればそれで良いのだ。
・葵は無駄だと思った。第2章③で言ったように虚しさは決して目を逸らすことのできないものだから。だが、それでもやってみようよと言う篤史の言葉には頷いた。
④ 帰りに
役割:葵が心を開きつつあることの提示
伏線敷設
・篤史が葵に惹かれていることのきっかけを示す。
伏線回収
内容
・イルカショーも終わり。最後に回りたいところを回った後、閉館時間が近づいてきたため、2人は帰ることに。
・そんな折、葵が出口付近にある売店に目を奪われていることに篤史が気が付く。篤史が行きたいのかと聞くと、葵は最初は行きたくないと言った。篤史は家族のあれこれが原因で本心が言い出しにくいのではないかと思い、遠慮なんかしなくて良いから好きにしなと言うと、葵は小さな声で行くと答えた。
・売店に入ると葵はイルカのぬいぐるみに興味を示す。足を止める葵。そこから話を発展させる篤史。楽しそうにはしゃぐ葵を見て、篤史は葵のことを気になり始めていた。
⑤ 邂逅
役割:篤史と親の確執
伏線敷設
・篤史が抱える虚しさの匂わせ=第4章④の修二の心配イベントで回収
伏線回収
・第2章③の家族に対する不信感への接続
内容
・2人の最寄り駅で分かれる直前、篤史と葵は篤史の父と遭遇する。おどおどと葵は挨拶し、父親は篤史に恋人かどうかをからかうようなことを言う。
・篤史の父親は最初はにこやかな様子だったが、しかし徐々に雲行きが怪しくなっている。篤史の父親は最初は普段人と遊ばない篤史が遊んでいることに安心した様子を見せ、友達どころか彼女を作りそうな勢いに微笑ましく思う。だが、それから篤史の父は篤史自身の成績が下がってきたことに苦言を呈した。遊んでいるのも良いが、勉強を怠らないようにと言う。そして篤史に言いたいことだけ言って、去っていった。
・篤史は人に遊べ遊べという癖に勉強しろとかいう矛盾した内容に怒りを示す。篤史の人間らしい感情に葵は少々驚いた。苦々しいと同時に悔し気な感情をにじませる、痛々しい微笑みを浮かべる篤史。葵はそこに篤史のヒーロー性だけじゃない部分が垣間見えたような気がして、篤史の人間としての生々しさに触れたような思いを抱き、篤史を気遣う。
・それから気を取り直して、別れの時間に別れ際、篤史がまた時間が出来たら連絡するからと葵に言うと、葵は期待せずに待ってるわと期待しながら返し、その場は別れた。
第4章 秋寒、少女、憂慮抱懐
全体役割
① 篤史が虚しさを抱えていることを示唆
②篤史の虚しさを明らかにする
日付設定
11月4日
① 葵の悩み
役割:葵が篤史との時間を大切に思い始めていること
伏線敷設
・葵の篤史に対する好感度の増加=篤史の欺瞞が分かった時のショックの大きさに繋がる
内容
・ぼーっとしてると葵が授業で指名された。葵は急いで立ち上がり、教師の問いに答える。
・葵がぼーっとしてたのは篤史から連絡が来たからだった。水族館の後から葵は篤史から連絡が来るのを心待ちにしていた。連絡が来て嬉しくもあり、時間が多少空いていることに怒りつつもあり、葵の情緒は複雑。
・葵自身のそんな変化を自分でも少し戸惑っていたし、居心地の悪さを感じていた。葵は他人とのそういったなれ合いを嫌っていたし、中途半端な仲の良さは葵の虚しさを強調するばかりだとばかり思っていた。けれど、篤史という人間とのかかわりに対しては割と居心地の良さを感じていた。
・けれどもそんな自分を受け入れることが出来ず、自身の浮ついた考えを否定するように葵は首を振ることでそんな自分の考えを振り払った。だが、とりあえず篤史の誘いには乗ることを決断した。
② カラオケに行く
役割:葵の萌えポイント提示
伏線敷設
・篤史が葵のことを好いている。葵との時間を大切にしていることの証明。
内容
・葵がカラオケの誘いに乗ってくれたことを篤史は嬉しく思っていた。篤史にとってじっくりと腰を据えて問題解決を行える葵とのやり取りは楽しいものであるため。むろん、葵という人間を知っていく過程で篤史自身は葵という存在に惹かれていたりもした。
・篤史と葵は待ち合わせをしていた。案の定、葵が先にHRが終わっていたため、葵には校門前で待ってもらうことに。篤史は葵の元へと合流すると、葵は少し不貞腐れた様子で「遅い」と言うが、何処かウキウキしている様子を隠せていない。
・合流した時、篤史は難癖をつけられる。それは一昨日、恋愛相談にのった少女からのものだった。少女は彼氏との関係に悩んで篤史に助けを求めたが、結局破局してしまったらしい。それに対して理不尽な文句を言いに来たのだった。篤史はそれに対してただ謝罪し続け、それで満足した少女は去っていく。葵は篤史に頼っておいて、自分勝手なもんねと言う。だが、篤史は力になれなかったのは事実だし仕方がないという。葵はあのまま放っておいて良いの?と問うも、篤史は一度離れた人を追うつもりはないと答えた。葵は篤史が葵に対してやってることと全く違うじゃないと言う。篤史は確かにそうだなと思ったが、葵が自殺するなんて言い出すからと誤魔化す。ただ、確かに篤史は自分の行動の不可解さに疑問を抱く。
・そんな風に思い悩んでいると、修二がやってくる。葵が眉を顰めていると、篤史が呼んだ、というか修二が押し掛けてきたと白状する。
・修二が来た理由は篤史と葵の関係がどこまで深まったのかという点を聞きたかったため。映画館の一件からどれくらい仲が深まったのかという疑問があった。葵はツンデレ的様式ですぐさま否定、篤史は困ってるから助けてるだけといつも通りの回答。葵はその回答が面白くなくて蹴っ飛ばしてやった。そんな様子を見て、仲の具合を察した修二は笑いながら、積もる話もあるだろうとそのままカラオケへと向かうよう指揮を執った。
③ カラオケ
役割:篤史の特徴(個性の強いものがない)の提示。修二の特徴(虚しさを抱えないもの)の再提示。
伏線敷設
・
内容
・カラオケに着く。葵はもう躊躇いなく自分の願いを口に出せるようで、カラオケの食事メニューで何かを頼んでいた。
・それから歌を歌う。修二はアニメOP、葵はあんまり上手じゃない動揺、篤史は有名な曲ばかり。葵の歌の凸凹さを修二は笑い、葵は顔を真っ赤にして怒る。葵はそういう娯楽に対してあまり興味を持って生きてこなかったため、歌を知らないのは当然だった。篤史は葵に家族のしがらみとかそういうのを気にせずに、いろんなものに目を向けてけば良いんじゃないかと言う。素直に頷く葵を見ながら、修二は2人の関係性を察して、ニマニマしていた。
④ 修二の感謝
役割:篤史が虚しさを抱えていることの提示
伏線敷設
内容
・篤史がお金の清算をしている間、葵と修二は2人っきりになる。葵としては非常に望ましくない状況。現在の葵に対する修二評は最悪と言って良い。修二は気遣いができないし、づけづけ不快なことを聞いてくるし、人生を謳歌してるしで、葵からすればろくな印象がない。
・葵が修二に対する悪口を思ってると、修二は軽口を叩きながら、葵に感謝してきた。それは篤史に関するもの。篤史はなんだかんだ葵とのデートを楽しんでるようだった。そう感じた理由は篤史が葵と自分から何度も関わろうとしているため。篤史はこれまで基本的に助けを求められたら、その時だけ助けを出すといった関係性。受け身かつ一過性のものに過ぎない関係で希薄だったが、葵の場合は自分から何度も関わろうとしている。今日一緒に行って、篤史も葵とデートすること、葵を喜ばせることに対して乗り気で楽しそうだった。
・修二は篤史が何事もあんまり楽しくなさそうに過ごしていたことを知っていた。篤史にとって人助けは自分の不足を補うための、呼吸やら食事やらと同じ領域にある義務的かつ事務的なもの。楽しさよりも必死にあえいでやっているようなものに過ぎないと修二は言う。
・篤史が戻ってきた。修二は話を切り上げる。葵はもっと深く話を聞きたかったが、篤史の手前、修二に何も言えなかった。そんな様子を篤史は不思議がった。何か葵に変なことを言ったんじゃないかと思って、修二に食って掛かるが、修二は茶化して終わる。茶化しに篤史は否定するが、否定した篤史に葵は怒る。そういった感じで2人きりになった篤史と葵は帰路に就くことにした。
⑤ 発露
役割:葵の虚しさ解消法の提示
伏線敷設
・葵が篤史のことを完全に虚しさからの救世主と思うこと=インポータントイベント②『葵の離別』と結合
伏線回収
内容
・二人っきりになった帰り道。葵が嫌に気落ちしてるの気がつく。篤史は人の変化に気がつくことは基本的にないが、葵の変化には気がついた。
・修二のやつに何か言われたかと思っていた篤史は文句を言った。だが、葵は修二を庇うようなことを言った。自分自身案じてくれる人を持つ篤史を葵は羨ましがった。
・篤史は葵に友達作ったらどうなんだ、と言うと友達くらいじゃ満足出来ないと我儘なことを言い出す。友達程度じゃ半端な気持ちしかないから、余計に虚しさが増すと。虚しさをなくすためには、もっと絶対的なものが欲しいと。理想化した親の姿を誰かに求めているのが自分だと篤史に告白する。
・それから葵は篤史にそんな自分の虚しさを解消するのは無理だと告げた。無駄なことしていたのだと葵は篤史に告げた。だが、篤史は葵がこれまで付き合ってくれたということは何か自分との関係に希望を見出してくれたからじゃないかと指摘する。人嫌いの葵が篤史に付き合ってくれたということはそういうことだろうと篤史は思っていた。だったらできる限りのことはしてみようと篤史は言う。葵はそんな篤史の言葉を救いとしていた。
第5章 晩秋、少年、欺瞞1つ
全体役割
① 葵が篤史に完全にデレる
② 篤史の化けの皮がはがれ、葵と篤史が離別する。
日付設定
11月9日(①)、11月14日(②、③)
① 垣根を越えて
役割:葵が完全に篤史に気を許していること
伏線敷設
・篤史と葵の離別に対するボルテージ上げ=第5章③の接続
・友人が少ないことの示唆
伏線回収
内容
・篤史と葵はゲームセンターを訪れていた。例にもれず篤史から提案したものである。田舎の数少ない娯楽の1つで、遊びに出ない篤史にとっては数少ない手札の1つだった。存外ピンチ。
・葵はゲームセンターは初体験。やかましいゲームセンター自体を毛嫌いしていた。ただ今回来たのは篤史に誘われたから。篤史と一緒に行けるなら、と葵は承諾した。
・葵は以前見た魔法少女映画のデフォルメされたぬいぐるみのクレーンゲームを発見。映画の内容自体には苦言を呈していたが、惹かれるものはあった様子。気になって足を止める。欲しかったが、葵はクレーンゲームをやったことがない。そのため篤史に素直にお願いした。篤史は快諾。だが篤史も篤史でクレーンゲームは得意ではなかい。10回くらい挑戦して失敗した。
・見かねた葵は止めるものの、頼まれたからにはやり遂げると力強く言う。機を見計らったゲームセンターの女性店員が取りやすいように位置を調整してくれた。店員さんは「彼氏さん、ファイトです」というと、篤史は即座に否定し、その速さに葵は蹴りを一発入れた。
・篤史は葵の蹴りに文句を言うが、葵はぶつぶつ文句を言っていた。そんな様子を見ていろいろ察した女性店員は「彼女さん、ファイトです」と言うと、葵も顔を真っ赤にして女性店員に嚙みついた。篤史はそれを止める。
・店を出る。葵はぷんすこ怒っていた。篤史は葵の感情がよくわからず、参っていた。結局葵がどういう感情を抱いているのか、篤史にはよくわからなかったのだ。修二以外の人間と長い間接することはなかったため、葵のテンポというものがつかみにくい。友人が少なく、というか修二しかおらず、人のことを察するということが篤史は苦手だ。篤史は葵に自分が人のことを察するのが苦手だと告白し、きちんと言葉で言って欲しいと告げた。篤史は葵の力になりたいから、と。葵は篤史の言葉に対して、答えに窮し、何も言わなかった。
・気まずくなった葵は何も言わず、振り切るように去っていった。けれども葵は最後にとってもらった篤史にぬいぐるみのお礼を言うと、「ずっと大切にする」と宣言。好意を隠さなくなってきた。
・なおそろそろ弾切れ感を感じてきた篤史は今度は葵から行きたいところを提案して欲しいと言ってきた。
② 逆パターン
役割:葵が篤史に好意を持っていることの提示
伏線敷設
・③への布石=篤史が葵を遠ざけるようなことを言ったのは葵を見捨てるためのそれなんじゃないかという勘違いの原因を作る。
伏線回収
内容
・葵は悩んでいた。篤史が今度から葵から誘って欲しいと言われてしまったため、どこに行きたいかという感じ。授業中に悩んでいたら、先生に怒られるくらい。
・葵自身がどこに行きたいか。そういう欲求を持たなかった葵は行先選びに困っていた。出かける先として地元の情報誌とかティーン向けの雑誌のカップル向け記事を参考にしていた。となると自然と男と女の関係を意識するわけで、葵はやや気まずい思いを抱えていた。まるでデートみたいだと思って、葵は顔を真っ赤にする。
・自分は篤史のことをどう思っているのか。葵はまだその気持ちを明確にしていない。ただ葵にとって一緒に出掛けることは当然の人間で、一緒に出掛ける先を悩んでしまうくらいには篤史のことを認めてしまっていた。
・葵は中途半端な関係性を望んでない。望んでないはずなのに、どうして篤史と関係を結ぼうとしてるのか。恋という言葉がちらついたが、葵はすぐさま自身で否定した。気恥ずかしくて認められなかった。
・そもそもとして修二から篤史は人助けをすることで自分の虚しさを解消してる面があると説明を受けていた。それは人助けをする誰かはどうでも良いということ葵の求める人物像とは違う。だが、篤史の葵の力になりたいなんて言葉を思い出し、葵は期待してしまった。
③ ショック
役割:葵の離反
伏線敷設
・葵の感情の暴走=第6章③?の葵の述懐で本心が明かされる
伏線回収
・第4章ep08の内容を盛り込む。本当は篤史が虚しさを抱えているのに気づいてたけど、無視していた。
内容
・放課後、葵に呼び出された篤史は葵が正門までやってくるのを待っていた。篤史はどんなところを提案してくれるのかわくわくしていた。まるでいつかの焼き直しだななんて思っていつつ、葵は当時そんな風に思っていたんだろうか、だとしたら嬉しいなどと思いつつ、篤史は葵のことを待っていた。
・そんな時、篤史をよく頼ってくるボランティア部の少女がいた。ボランティア部の少女は友達の相談を受けちゃって、今週の土曜日に一緒に男の人が好きそうなものを探してくれないかと言う相談を持ち掛けられる。篤史は当然それを快諾。断る理由がなかったため。
・その瞬間に、葵が愕然とした顔で「え」という言葉と共に立ちすくんでいた。しかし篤史はそんな葵のショックを受けた様子なんて気にせず、声を掛けた。だが、葵は篤史のそんな呼びかけに答えることなく、荒々しく去っていった。
・異様な怒り方をする葵に焦った篤史は、篤史にしては初めてな形で、相談者のボランティア部の少女を捨て置いて、篤史は葵の跡を追った。
・葵は篤史の静止の言葉なんて聞かずにどんどん篤史から逃げていく。篤史は葵に行ってくれなきゃわからないと言った。葵はそれに従って、葵の本心を言った。葵は涙を目の端に浮かべながら、篤史は自分の虚しさを解消できれば誰でも良いんだと言った。距離を詰めてきて、人の心をかき乱しておいて責任とれない不誠実な人間だと言った。葵は葵がいるのに他の女の子を助けようとすること、特にボランティア部の少女が篤史のことを好いていることを見抜いており、そんな少女の願いを聞いてしまうことが篤史に思いを寄せつつあった葵にとっては大きなショックだった。
・篤史は葵の剣幕に何も言うことが出来ずに、葵が立ち去るのを許してしまった。以降、篤史は葵に無視を決め込まれ、連絡先もブロックされてしまった。
第6章 初冬、2人、未来希望2つ
全体役割
・物語の終局。篤史と葵が自分を曝け出して、お互いの不足を埋め合わせる。
・篤史の問題点と葵の問題点を顕在化させ、それを結合させる。
日付設定:11月25日
① 上の空
役割:篤史のショックの強さの提示
伏線敷設
伏線回収
内容
・葵と喧嘩して数日が経った。けれども、葵と篤史の仲直りは出来ていない。
・篤史は葵を探しに行こうと思ってなかった。篤史にとってそれがいつものことだった。一度離れた人間を篤史が追うことはない。追う必要はない。篤史にとって他人は自分の虚しさを慰撫するための手段でしかない。手段でしかないものに、わざわざ労力を割く道理はない。
・だが、篤史は葵のことが頭から離れなかった。ヒーローとしての活動が出来ないくらいに思い悩んでいた。人助けを求められても、断るくらいに気分が落ち込んでいた。何も手につかないと言ったそんな風情だった。
・篤史は葵のことをどう思っているのだろうか。そこで初めて振り返る。篤史にとって葵は自分の虚しさを慰撫するための誰かだったはずだ。だが、本当にそれだけだったろうか。葵の虚しさをそのまま放置していることに胸がうずくのは、葵に対する固執はどういう感情に依拠しているのだろうか。
・掃除の時間。クラスメイトに声を掛けられて気づいた手元では、散らばってばかりのゴミが散乱しているだけだった。
② 修二の説得
役割:修二の手により、篤史が葵に対する恋心を実感する。篤史と葵の関係性、虚しさを埋め合う可能性があることの提示
伏線敷設
伏線回収
・篤史が何事も楽しくないという点の提示(新たに貼る)
内容
・放課後、修二は篤史を呼び出した。篤史が何もしてないのを知ると、じれったくなったのだ。
・修二は篤史にこのままで良いのか、と問う。篤史は「これで良い」といった。篤史が掲げる大原則、去る者追わず。篤史にとって助ける対象は自分の言うことを聞いてる誰かであるべきで、篤史の下から去った誰かはその対象にならない。
・修二は苛立ちを隠さずに悪態を吐き出すと、聞き方を変えた。「これが良いのか」、と。篤史は現状のこのあり方を望んでいるのかと言う。篤史は言葉に窮した。「これで良い」とは思える。助けた誰かが篤史の元を去っていくことはこれまでにあった。篤史の人助けの原則から誰かを追うようなことはする必要はない。だが、葵と距離を離しているのを望んでいるのかと問われれば、それは否だった。嫌だった。
・葵が虚しさを抱えたままでいることが一番嫌だった。篤史も虚しさを抱える人間として葵の苦しさは知っている。そんな苦しさを葵が抱いているのが嫌だった。
・自分の気持ちを定めた篤史は自分のやるべきことを見定めた。葵と仲直りをするべく、篤史は葵がいる屋上へと向かう。
・「行先は見えてるのか?」(修二)「もう見えてる、もう迷わない」(篤史)
③ 葵の述懐(告白前)
役割:葵の本心と後悔の提示
伏線敷設
伏線回収
第5章③で葵が怒りを示した理由の提示
内容
・葵は放課後になると毎日屋上に来ていた。篤史に期待を裏切られたショックから篤史と出会う以前の葵に戻っていた。
・けれど一度小波立った心は以前のような在り方に簡単に戻ってはくれない。むしろ小波だった分、失った辛さが際立つようになっていた。
・はっきり言って、あの時の自分が理不尽立ったとは自身でも理解していた。だって篤史はまだ葵がしようとしてることなんか知らなかったわけで、別に時間だってずらせばよかった。篤史に相談せずに話も聞かずに飛び出したのは篤史からすれば理不尽以外の何者でもないだろう。
・それに篤史がそういう人間だとわかっていた。でも、それでも葵は期待しちゃってた。篤史が葵にとって自身の虚しさを解消してくれる存在になってくれることを。だって篤史が初めてだったのだ。打算とはいえ、葵に対して葵が望んでいるようなものを提供してくれたのは。だから篤史に対して、葵は、葵は……
・葵はフェンスの向こう側に立ちながらつぶやく。間違いない本心を呟く。「寒いよ……」。
・そんな時、屋上の扉が開いた。葵が振り返った先、そこにいたのは篤史だった。
④ 篤史の説得
役割:篤史と葵の結合
伏線敷設
伏線回収
内容
・篤史と葵が屋上にて邂逅する。葵は一瞬頬をほころばせたが、「なんで来たの」と葵は反射的に噛みつく。今さら篤史が出てきたところで葵の篤史に対する怒りの感情が消えるわけではない。葵にとって篤史は裏切り者だ。
・篤史は葵の糾弾を肯定した。最初は確かにそうだった。いつもの通り、助けるための誰か、自分自身の虚しさを慰撫するための存在でしかなかった。だが、それは途中で変わっていった。葵に虚しさを抱えて欲しくないと思った。同じものを抱えている人間として篤史は葵の痛みが分かる。その痛みを篤史は葵に抱えていて欲しくなかった。
・篤史の葵の虚しさを解消したいという思いは紛れもなく本物だった。利己的に人助けをしたいのではなく、他己的に人助けをしようとする姿勢。それこそが篤史が葵に惚れていることの証左。自分をかなぐり捨ててでも助けようと思える相手。篤史にとってそれが好きになった相手だった。だから葵が拒否しても篤史はこれまで通り、葵に絡みに行く。葵を虚しさから救うために。
・葵は嬉しい気持ちと怒りが混然一体となった気持ちになる。篤史の虚しさを解消することよりも、葵の虚しさを解消させることを優先させることが理解できなかった。虚しさの解消は何よりも優先されるべきものであり、篤史の虚しさを解消させるより、葵の虚しさを解消させることを優先させようとすることに理解が出来なかった。
・篤史は虚しさがなくなっていないことを白状する。だが、自分の虚しさよりも篤史は葵の虚しさを解消したいという思いが強くあるということを告げる。葵に目を眩ませているとうような状況にあり、虚しさよりも葵のことを優先したいという衝動が今の篤史を満たしていた。
・葵にとってその言葉は嬉しいもので、思わず手を取ってしまいそうになるほどだった。だが、衝動という部分が葵にとって恐ろしかった。もしその衝動がなくなってしまえば、篤史はまた自分自身の虚しさを解消するように動く。それが怖かった。砂漠のオアシスが一瞬で蜃気楼になってしまう可能性を葵は恐れた。
・葵の懸念を失念していた篤史は焦った様子でこう切り出す。篤史の虚しさを埋めてくれないか、と。篤史の虚しさは自分自身を受け入れてもらえないこと。それを埋めるには自分自身を受け入れてくれる恋人という存在が適している。葵と恋人関係になることは篤史にとって自身の虚しさを解消に繋がる、ウィンウィンの関係になるということ。
・葵は自信がない。葵は自分勝手な思いをぶつけ、篤史と離別してしまった。そんな自分が篤史の虚しさを解消するに足る存在になれるか不安だった。だが、篤史はむしろそうしてくれると助かる。篤史はこれまで問題点を解決してくることで虚しさを解消してきた。葵も篤史を振り回すくらいの気持ちでいてくれた方が篤史にとっては好都合だった。葵は「我儘言うし」「自分が一番じゃないとやだし」「独占欲強いよ」と問いかけると篤史は全部それを受け入れると宣言する。
・葵は最後に「信じて良いの?」と問う。篤史は「信じたいなら、信じて欲しい」と願った。信じたいという思いこそが葵が篤史を選んだ証拠だった。葵は少しばかり逡巡する。だけど、篤史の言葉を信じて、フェンスの向こう側からこちら側に戻ってくる。葵「言っておくけど、この前みたいに他の女の子に色目を使ったら許さないから」。唇を尖らせる彼女が可愛くて、篤史は笑った。
エピローグ これから、心、嬉しさ2つ
役割:篤史と葵が仲良く行ってることの証左。篤史がヒーローを辞め、葵の恋人になったことの提示
日付設定:11月28日
伏線敷設
伏線回収
・ヒーローが欺瞞であること
・第4章ep.06の声の表現「普段の冷たさを感じる声色が火照ったような声で」
内容
・篤史と葵が恋人になってから数日が過ぎた。放課後、篤史は毎日葵と帰るようになっていた。
・ボランティア部の少女がまたお願いしに来る。だが、篤史はそれを断った。断らないと葵が不機嫌になるし、もうヒーローをやる必要はなかった。ヒーローやってより、葵とイチャコラしたかった。「もうヒーローはやめたんだ」と言う。
・ボランティア部の少女に分かれを告げると、篤史は校門へ急ぐ。校門では葵が待っていた。葵は少し遅かったことを咎め、またあの女(ボランティア部の少女)に声を掛けられたことを問うた。篤史が曖昧にそうだと言うと、葵は蹴った。理不尽暴力に篤史は情けない声で文句を言う。葵はボランティア部の少女が篤史に恋心抱いているの知っているので略奪愛されるのを嫌がっている。
・帰る際、篤史と葵は並んで歩く。葵は12月に入ってからの予定、クリスマスとか年末年始とかそういうのの予定を楽しみにしており、プレゼント交換とか着物とかそういうのを楽しそうに語る。
・途中でやってきた修二が2人に声を掛けて、修二と葵に鬱陶しがられる。対して修二は2人を結びつけたのは俺なんだから感謝しても良いんじゃないの?というとぐうの音の出ない2人。2人して黙り込むと修二は爆笑。邪魔して悪かったというと、去っていった。葵はなんなのよもうと言うと、篤史も友人として謝った。今後はこういうことないようにお願いしたいわね、と葵は呟く。
・そんな2人の間を初冬の冷たい風が吹いた。寒さに震える2人。篤史は葵の手を掴む。いつものように手をつなごうとしたが、葵は篤史の腕に抱きつき、これなら寒くないからと顔を真っ赤にして呟いた。
・寒空の下、篤史は寒さを憂いながらも、いずれ来る春を、虚しさで寒さが堪えなくなる日を楽しみにしていた。
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