プロット概要

 篤史側のストーリーが少ないため、補強。

 篤史が葵のことを好きになっていることをちらつかせる⇒舞台装置として彼を客観的に見る修二を採用。修二によって篤史の恋愛感情度を測る

 「表現」カテゴリをつけ、どういう表現を持ち込むかを考える。

 葵の心情の側面からプロットを探る。

 いつ葵の虚しさを具体的に明かすのか。



メインストーリーライン

葵と篤史のデート


概要

 篤史が葵の虚しさを解消するために、篤史が提案した葵の楽しいこと探し。

 今の葵は虚しさを抱えているが、葵が虚しさを抱える前の記憶を辿ることで葵の楽しいという記憶を掘り起こし、虚しさを解消させようとしている。


役割

・葵のキャラクター性の深掘り

・ヒーローとまで呼ばれる篤史が解決できないこと=篤史も虚しさを抱えていることの示唆



内容

⑴ 映画鑑賞

登場人物:篤史、葵、修二

役割:葵が親と仲が悪かったこととそれに付随する振る舞い

葵と篤史の関係値:最低

提示事項

① 葵と親の間柄があまりよろしくないこと

② 葵が人に対して何かを言い出すことを得意としないこと


・映画の内容

劇場版魔法少女まじかる☆まじかる ~永き夜の夜明け~


 「魔法少女まじかる☆まじかる」こと、中学2年生の桃瀬陽彩(ももせ ひいろ)は未来からやってきたと言う魔法少女、金多あかつき(かなた あかつき)と出会う。彼女がこの時代にやってきたのはこの時代に現れる新たなる脅威”ブライトスイーパー”を撲滅するためだった。十八年後の未来では元魔法少女が闇落ちしたブライトスイーパーが猛威を振るい、人類は生きる希望を奪い取られて、心を虚しさに支配されてしまい、滅亡へと至ると言う。

 ブライトスイーパーは金多の母親であり、金多は自身の母親を殺すことでそれを回避しようと試みていた。だが、桃瀬はそれを知ると親殺しを回避しようと現在高校生の金多の母親、夜藍愛未(やらん あいみ)と接触する。

 その中で夜藍が画家になる夢を持ち、それを追っているということを知る2人。しかし実際の未来ではは画家ではなく、普通に美術の先生をし、働き、母親になっていた。

 しかし夜藍は画家になるという夢を捨てきれない思いを抱きながら生きていた。夢を叶えられない虚しさを抱え続けた夜藍は魔法少女としての素養により、力が暴走。人々の心に虚しさをもたらし、生きる力を奪うブライトスイーパーとして世界を闇に覆った。

 金多はこれまでは知らなかった母親の思いを知り、自分自身の存在価値や存在する意義について悩む。自分は愛されていなかったのではないかという煩悶を抱えるようになる。そして現代にはびこる敵、フォールンダウンへと変質してしまう。

 桃瀬の友人である蒼明陽(あおあけ よう)は夜藍に対して夢が叶わなかった時のことを問うた。夢が叶わず、異なる道を歩んだ時はどうなるのかと問うた。その際はずっと後悔は消えないと思うと夜藍は答える。でも、その過程で得た大切なもののことはきっと蔑ろにしない、したくないという強い思いを抱く。夢が全てではない。夢だけが人生ではない。確かに夢は大事だけど、叶わなかったら虚しくなるだろうけれど、それでも夢以上に大事なものが出来るかもしれない。そういう思いを見過ごすようなことはしたくない。それだって自分の大事な思いなのだから。それを聞き届けた夜藍は今、未来の夜藍の未来の娘が窮地に陥っていると告げる。魔法少女としての力がなくなりかけていた彼女は魔法少女としての最後の仕事として自身の娘を救いに行くことを決意する。

 フォールンダウンから金多を救い出し、夜藍は未来の娘と相対する。金多は夜藍を母さんと呼び、自分が生まれてよかったのかと問うた。母親の重荷になっていたのではないかと考えていた。夜藍はそんなことないと笑い、こんなに可愛い娘が出来たんだから夢が叶わなくてもしっかりしなきゃねと微笑む。

 そして未来へと戻った金多を迎え入れたのは破滅の未来じゃなくて、画家になった母親だった。夜藍は金多との戦いを契機に画家としての力をつけたのだった。 



⑵ 水族館

登場人物:篤史、葵

役割:葵の過去の提示と篤史の過去の仄めかし

葵と篤史の関係:中の下

提示事項

①葵の3性格の提示

②葵と親の具体的な関係をエピソード混じりで補強

③篤史と葵が打ち解けてるような様子を提示



⑶ カラオケ

登場人物:篤史、葵、修二

役割:修二による篤史の過去の開陳

葵と篤史の関係:中の上

提示事項

①篤史がどういう環境で育ってきたのかの提示

②篤史も虚しさを抱えていることの示唆




① 出会い

・考える内容

虚しさの問題提起

 

 本シナリオの主題である「虚しさ」の存在そのもの提示。

 死んでしまいたくなるほどの絶望感を与えるそれが一体どういうものなのかを簡易的に提示する。


・提示事項

⑴ 主要キャラクター3人の分かりやすいイメージ紹介

葵:死にたがりの絶望者

篤史:誰にでも手を差し伸べるヒーロー

修二:お茶らけたやつ

物語全体の課題(葵の虚しさの解消)


⑵ ストーリーラインの提示(葵とデートし、葵の虚しさを解消していくこと)

葵との楽しいこと探し


日程:日曜日に行う

内容:葵の過去を辿る

役割:葵の過去を提示することで葵が抱える虚しさの具体化を行う


⑶ 虚しさの提示

葵の自殺予告


 葵は胸にどうしようもない虚しさを抱えており、その虚しさが葵が持つ生の実感や執着を薄れさせ、死へと走らせている。

 虚しさによって死を選び取るという深刻な状況を示すことで虚しさの影響力の強さを提示させる。


・具体的なイベント

⑴ 篤史と葵の出会い

学校の屋上で2人が出会う。


 出会いのきっかけは篤史が立ち入り禁止のはずの屋上に人影を見たこと。篤史はその不可解な人影の正体を確かめるために屋上へと向かう。

 鍵かかっているはずの屋上への扉は開いており、開けるとそこに葵がいた。

 篤史は葵が此処にいる理由を問うた。疲弊していた葵は投げやりに篤史に自分が冬になったら死のうと思うと告げる。理由は凍死という死に方が最も楽に死ねると思っているから。

 衝撃の告白に篤史は驚き、理由を聞く。葵は生きているのが虚しいからという理由を告げた。生きてても楽しくないし、辛いだけ。だから生きるのを辞めようと葵は思っている。

 大きな問題を抱えていると見た篤史は解決しがいのある=自分のやりたいようにやらせてもらえると思い、葵の課題を解決するべく「楽しいこと探し」を提案した。


・簡易内容

 9月の終わり、その放課後。少しばかり空気が冷たくなってきた日に篤史は立ち入りできないはずの放課後に人影があるのに気が付く。不信に思った篤史は屋上へ向かってみることにした。

 篤史が屋上へ向かうと寂しげに佇んでいる葵がいる。篤史はなぜこんなところに葵がいるのかと問うと、葵はここにいれば自分自身の虚しさが紛れるような気がしているからと言う。ここから飛び降りれば死ねるからという確信が彼女の安心感となっていた。

 いつものように篤史は人助けをする気持ちで並々ならない様子の葵を救うために彼女の虚しさを埋められるようやるという宣言する。

 篤史を嫌っていた葵は篤史を馬鹿にするためにその挑戦を受けることにした。 


② 理解

・考える内容

⑴ 葵にとって虚しさがどのようなものなのか。

愛されないこと


 葵は幼少期から親の愛情を受けずに成長してきた人間であり、与えられるはずだった無条件の親の愛情を一身に受けることを望んでいる。

 親の愛情とは子供を慈しみ、第一に考える姿勢のこと。葵の場合は長らく与えられなかったため理想化している側面があり、尋常のそれよりはるかに重たいものを要求している。

 親とは与えられなかったことで確執があるため、親から与えられるものには懐疑的。そのため親以外の誰かからの愛情を是とするが、しかし当然親以外の他者から無条件の愛情を与えられることなぞ有り得ない。おまけに潔癖な側面を持つ葵は自身の欲求を完全に満たす存在を求めている。

 到底実現不可能な欲求を諦めきれないがために、葵は苦しんでいた。


⑵ 葵のキャラクター性の深掘り

開示属性

・甘えたがり

・完璧主義

・愛情欠乏症 


⑶ インポータントイベント②「葵の離反」の伏線

葵が篤史とのデートを楽しんでいること


 葵のつんけんしていた態度が次第に軟化していき、篤史に心を開いているような様子を見せ始める。

 特定の行動に対しての変化を描写することで葵の思いの変化。


・提示事項

⑴ 葵の虚しさの正体について

考える内容⑴に同じ


⑵ 葵のギャップのある属性の開示

当初のイメージ:クール系

・甘えたがり

・完璧主義

・愛情欠乏症 


⑶ 葵の態度の軟化

 突き放すような振る舞いをしてきた葵だったが、だんだんと篤史に対して態度を軟化させるようになっている。


⑷ 篤史も同様に虚しさを抱えていることを示唆

篤史の父親と遭遇し、篤史が追い込まれたような様子を示す


 デートに行った先で父親と遭遇する篤史。篤史は父親と遭遇する

 父親は篤史の意見を封殺するようなことを言い、篤史はそれに対してぐうの音も出ない状況に陥る。

 篤史の乾いた姿の様子に葵が気づき、篤史に対する不信感を抱くようになる。


・具体的なイベント

⑴ 葵の過去辿り

役割:葵の過去と共に虚しさの理由を提示する

 

 篤史と葵のデートにおいて、葵が過去にしてきたこととそこで何が起きたのか、葵がどう思ったのかを追求する。


⑵ 篤史の父親との遭遇

役割:篤史が抱える虚しさの示唆


対葵との様子とは異なるものを見せる。


 父親と遭遇し、いつもとは違う意見が通らない様子や言ってることが通じない様子を見せることで篤史も篤史で事情を抱えていることを示す。


・内容

 篤史は葵のことをもっと詳しく知るために葵と一緒に行動を共にすることにする。 

 篤史は葵の過去をたどり、葵の好きなものを探ることを目的として葵の琴線に触れるものを探していく。

 しかし葵は篤史にそんなことをしても無駄だと告げた。葵にとって過ぎ去ったものを辿ることは既に辿ったものであるため、既にやったことである。よって意味がない。

 だが葵はポツポツと本音を漏らし、篤史とのやりとりに虚しさを解消され始めていた。


③ 虚しさが解消されるかもしれない期待と裏切り

・考える内容

⑴ 葵が得た虚しさを解消する上で見えた希望

葵にとって篤史の存在が自分自身の虚しさを解消する存在となっていること


 葵が篤史に対する態度を軟化。普通にしゃべったり、我儘を露骨に言うようになる。


⑵ 篤史が持つ虚しさの提示とキャラクター性の深掘り 

修二による篤史の虚しさの開示


 篤史の過去を知る修二が葵に篤史の過去を開陳する。

 修二の家庭環境や修二が何を求められてきた人間なのかを明確にすることで、修二のヒーロー的な属性ではない素の人間性を強めていく。


・提示事項

⑴ 葵が篤史に心を開きつつあること

 

⑵ 篤史も虚しさを抱えていること


⑶ 篤史の優しさが欺瞞であったこと


・具体的なイベント

篤史の欺瞞に対する葵の離反


 篤史が自分自身の虚しさを慰撫するためだけに人助けを行っていることを知ってしまい、自分自身に向けられたものも自分が求めていたものとは異なることを知る葵。

 自分の期待するものと異なるものであったため、ショックを受けた葵は篤史と距離を置くことにした。


・内容

 葵は篤史に心を開きかけていた。無茶ぶりをしても篤史は特に何も文句を言わずに付き合ってくれるため、それがうれしく、葵が抱えている虚しさが癒されるような思いだった。

 しかしたまたま篤史が抱えている虚しさについて知ってしまい、これまで向けてくれた思いが全て篤史が篤史自身の虚しさを解消するためだと知る。葵は篤史がしてくれたこと(デート)を他の人にもしていることを知り、それがきっかけとなる。

 自分自身の希望が打ち砕かれたような思いになった葵は篤史から距離を取ることにした。


④ 和解と互いの欲求の実現

・考える内容

 どのように篤史が葵を好きになるのか。

  ⇒裏切りお姫様の反省

 篤史の思いは同情ではないのか。

  ⇒問題を解決するという癖がなしていることじゃないのか。


・提示事項

⑴ 篤史が葵のことを放っておくか迷っていることの提示

⑵ 篤史が葵との時間がなくなったことに虚しさを感じてることの提示

⑶ 修二が篤史をたきつけること

⑷ 篤史が葵を好きなことを自覚すること

⑸ 葵の怒った理由の具体化

⑹ 篤史が葵を好きな理由と葵に対して抱えている葵に対する思いが虚しさを埋めるための道具じゃないこと

⑺ 篤史と葵がお互いにお互いの虚しさを埋め合うことを決意し、恋人同士になることを決定する。


・具体的なイベント

篤史と葵の仲たがいと仲直り


 インポータントイベント③参照


・内容

 仲直りをしようと、篤史は葵が屋上にいると考え、篤史は学校の屋上へ向かった。葵は篤史が来たのに驚いた。

 「なんでわかったの?」と葵は聞く。

 「ずっと一緒にいたんだから、それくらいわかるよ」と篤史は答える。篤史は葵と一緒に居続けた結果、葵の考えがなんとなくわかるようになっていった。だから葵が寂しさを感じてることも、寂しさを理由に屋上へ来ることも知っている。

 葵は篤史が此処に来た理由を問う。葵にとって篤史が屋上に来るというのは、以前篤史が自分自身の虚しさを埋めるためだけにこなす善行とデジャブする。自分に対する無条件な愛を求めている葵は篤史の動機を大切にした。

 葵はまた篤史が自分を利用して虚しさを解消しようとしているのではないかと糾弾した。しかし篤史はそれを明確に否定する。

 篤史は葵が好きだから、ここに来たのだと告げる。篤史はこれまで葵と一緒に過ごしてきた。その過程で、葵のことが好きになっていた。

 篤史は自分自身の虚しさの正体を葵に伝えた。葵を好きな気持ちを全部受け止めて欲しいと告げた。

 そんな篤史に葵はどれくらい自分のことを好きなのか試すように我儘を言う。篤史は全てそれを肯定した。

 葵はそんな篤史を認めて、篤史とカップルになる。お互いにお互いを支え合って、お互いの虚しさを埋め合うことで2人は虚しさを解消する。

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