2022.9.10(sat)中秋の名月
リビングの掃き出し窓にくっつけてあるベンチに座って、菜都奈は月を見上げた。
「ほら、お団子もあるわよ。風輝は食べるー?」
母がリビングと台所を行ったり来たりしている。
風輝は部屋から顔だけ出して「何?」と尋ねた後、
「後で食べるから取っといて」
「菜都奈に食べられちゃうんじゃない?」
「全部は食べないよ……風輝は何個食べるの?」
「五個」
菜都奈は指でつまめるサイズの団子をひょいぱく、と口に入れる。
正直、中秋の名月といわれても、いつもと同じ月にしか見えない。早くも飽き始めていた。団子を食べ切るまではせめて月を見ていようと、菜都奈はすっからかんの頭で月を眺める。
ひょいぱく。
ひょいぱく。
丸い。黄色い。秋っぽい。
ひょいぱく。
ひょいぱく。
ひょいぱく。
「うわ、蚊だ」
菜都奈は蚊が止まっていた腕を叩くと慌てて立ち上がり、さっさとリビングに避難した。団子は残り二つ。菜都奈は両手に持つとテレビを見ながら団子を頬張った。
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