第7話 おさぼりデート①
マックの2階席。
駅に出入りする人々を見下ろしながら優雅にコーヒーを
どうも、セレブ新城です。
朝、通学途中に偶然行き合った僕と渚は、その場のノリで学校おサボりデートをする事になった。
お店などが開く時間までの時間潰しと、今日のデートプランを考えるため通学路を逆行して駅前のマックまで歩いてきたところ。
途中、茜や妹と歩く時の癖でついつい手を繋いで歩いてしまい、友達相手に頬を染めてしまう展開にテンションはうなぎ登り状態。
僕はホットコーヒー、渚はカフェラテを注文し、2階席の外を望めるカウンターに並んで座った。
「人がゴミのようだね、南君」
「あぁ、間違いない。ゴミだ」
「使徒じゃなくて?あ、ほら見て見て南君、皆学校に向っているよ?」
「まったく。こんな天気のいい日にデートしないなんてさ、あいつらは一体何が楽しくて生きているんだろうね?気が知れないよ僕は」
「それ。てかさ、実は私、今日が初デートだったりします」
「え、マジか。優越感でニヤけ止まらないどうしよう…あっ!こんな時はニヤけ止めクリームをってアレェ?待って?僕もだ!僕も初デートだ」
「日焼け止めみたいに!はぁマジウケんだけど。って、いやいやいや、茜とは何度もあるでしょーに」
「何言ってんだか」と言わんばかりにジト目で僕を見る渚。
「そんな風に見られても事実だし。だって茜は親戚とか妹みたいなもんだよ?少なくとも、さっき手を繋いだ時のような気恥ずかしさ?みたいのは感じた事ないから」
今度は僕が「やれやれ困っちゃうね」とジト目を返す。
「さ、さっきのは確かにラブコメしてたよねウチら。思い出しただけで軽くご飯3杯いけちゃう。でもまぁ確かに…二人は親友とか、仲の良い兄妹って感じだったもんね」
(でも茜は…いや、よそう。何があったか知らないけれど、茜に彼氏が出来たんならもう南君の隣は誰のものでもなくなったんだ。今は素直にこのチャンスを喜ぶべきだ)
「そうだよ?そんなデートヴァージンな僕ですが、今日はよろしくお願いします!」
「うん!めちゃ嬉しい!ふふっ♡はぁ…楽しいなぁ」
本当に嬉しそうに、目を細めて柔らかく笑う渚。
擬音にすると「にへらぁ」だろうか。
僕なんかとのデートでそんな顔を見せてくれるなんて……なんだか僕も嬉しくて全身がふやけてしまいそうだ。
あぁ…防波堤(茜)が無くなった僕はなんてちょろいのだろうか…
が、反省はしないよ!今日のヒロインは間違いなく渚だ。
寄せては返す波に乗ってどこまでも流れていく所存です。『渚』だけにね!
「ねぇ渚、こうやってゆっくり話すのも久しぶりだよね。中1の時以来かもね」
「ホントにそう。私は沢山話したかったんだよ?なのにいっつも茜が割り込んできちゃうからさ、この距離になれるまで3年も掛かっちゃった。当時はさ、鬱憤晴らすためだけに始めたバスケだったのに、今じゃすっかり上手になっちゃったじゃんか……もうっ…ばかっ」
そう言うと渚は僕の肩にコテッと頭を乗せてきた。
ちょっとこれ…スキスキオーラが凄くない?!
こんなん勘違いしちゃうっての!
最後の「ばかっ」とか可愛すぎてもうっ!
どうしよ…顔が火照って口がモニョモニョしちゃう!
……いいよね?もう勘違いしてもいいよね?
つーかもうキスしてもいいんじゃね?
どうなの?いいよね?ね?ね?
(ユーやっちゃいなよゲヘヘ)
(イッツアショータイム♪)
うん、頭の中の二人の悪魔からもゴーサインが出ました。
基本天使は不在です。
ということで、はい、3、2、い、ピロン♪
…え?ピロン?
あ、茜…
ここぞ!というタイミングで響き渡るスマホの通知音。
ここはやはりと言うべきか、それは案の定防波堤こと茜からのライン通知だった。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます