第7章 驚異なプレイステーション2の実力、そして始まりは伝説へ……。

第46話 R-TYPE FINAL(STG)

 未来の地球からやって来た、生物兵器バイドとの壮絶な戦いが、ついにフィナーレを迎える──。


 お馴染み、R-TYPE(アールタイプ)シリーズ最終作として、プレステ2で発売した、横スクロール2Dシューティングゲーム(以下略STG)である。


 ──元はプレステ2は、DVD視聴目的で購入したのだが、どうせならゲームもプレイしてみようと感じ、真っ先に遊んだのは、前々から興味があった、サンダーフォースⅥとサクラ大戦5だった。

 しかし両作とも、セガの新しい戦略(裏切り行為?)により、完全にダメダメなクソゲーで、遊ぶ気も消し飛んでしまう残念な内容だった。


 そんな中、何気に気になり、今度こそ当たりかな? と、神頼みで手に取ってみたのが、この本作となる。


 ──この作品は、プレステ1で発売したR-TYPEΔ(アールタイプデルタ)の続編となっており、Δのラストのエンディングで流れた、あるR-TYPEの戦闘機が、バイドに乗っ取られた後の世界観となっている。

 シリーズ最高のストーリーが、プレイヤーを逃れられないアール地獄へと飲み込むのだ。


 ──敵キャラや背景もプレステ2らしく、完全なポリゴン仕様となっているが、奥行き感からの攻撃はなく、サンダーフォースⅥのように画面の奥底から、急に弾が降ってくるということはなく、先のゲームプレイに集中できる。


 ただ、スペックを詰め込みすぎたせいか、一部のステージで処理落ちが発生したり、何も敵がやって来ない場面もあり、アールタイプお馴染みのボタン長押しで、波動砲を溜めることしかやることがなく、だらけてしまう所が時々あるのが惜しい。


 しかも、この波動砲も溜め続けると、消失してやり直しになるため、計画的に溜めておかないと、予想外の敵による猛攻で、やられたりするパターンもちょくちょくある。


 いわゆるR-TYPEらしい覚えゲーは健在だが、今作は比較的、難易度は抑えられ、よく考えて攻防していると、安全地帯を発見できたり、STGでは珍しく背景に当たると、火花は出るが、自機の破壊はされないので、それなりの自分なりの戦略が立てれるようになった。


 ──またステージの流れも凝っており、廃墟の街中を、彗星のように流れて駆け抜けていくシーンに、怪しげで、おぞましい森林地帯を進んだり、一体のみで歩く超巨大戦艦とのバトルなど、演出面も凝り固まって独自性があり、よくありがちなSTGの王道的な要素はあまりない。

 まさにFINALにふさわしい作りで、STGファンの心を美味しい串焼きのように、一気に貫いてくれるだろう。


 ──プレイヤーの機体も初めはまばらだが、最終的には99機くらいまで増え、プレイの稼働時間が過ぎたり、一定の機体で遊んだりと、条件を満たせば、次々と機体が増えていく面白い仕組みとなっている。


 詳しくはギャラリーモードで見れるのだが、機体一つ一つに詳しい設定が付いており、全機体を集めると、NEO徳川幕府のような家系図となり、じっくりと眺めると、感動の言葉しか出てこない。

 よくぞここまで、絶妙な味加減のパン生地のように、練り込んで作ったものだ。


 ただし全てが使える機体ではなく、最低に使えない元からダメな機体や、この機体に意味があるのか? のマスコットのようなおまけキャラ、やたらと強すぎてゲームバランスが崩れる機体や、自分で装備する武器を自由にカスタマイズ出来たりできる機体……と誰でも拒まず、滅茶苦茶な機体たちが揃っていく。

 さらに条件をクリアするには、RPG並みの長時間プレイをするのは避けられないので、作業プレイ的な所もある。


 それらイコールステージ構成が6面と少なく、音楽も今までのR-TYPEらしいサウンドではなく、ヒーリングミュージックのような音楽(環境音楽とも言う)となっており、何時間も楽しく遊べるゲームとは言いがたい。


 そのゆえ、エンディング曲にSTGには場違い過ぎる声優、椎名へきるによるバラードソングは、ファンの間で不評が相次いだ。

 製作陣曰く、今までとは違うR-TYPEにしたく、さらに椎名へきるのファンだったからしいが、この音楽設定はやり過ぎである。

 単体で聴いてみると良い曲であるだけに、非常に残念だ。


 ──ラストのステージの作り込みも、異様な程に難しい。

 これまたR-TYPEらしく、歴代のボスが次々と登場するのだが、一体一体がとにかくタフすぎるのだ。 


 波動砲でも中々倒せず、波動砲を使わないと追い詰められてやられてしまう展開になり、プレイヤーによっては、このラストステージで詰んでしまう場合もある。


 それを防ぐために、公式による無敵になれるパスワードという裏技も存在するが、そうしないとクリア出来なくなるゲームというと、最早もはやゲームの楽しみはなく、機体集めによる、本当に地味で忍耐もいる、修行のような作業でもある……。


 ──そう、本作の物語設定と、機体の説明には、思わずため息が漏れるが、ゲームの進行には別の意味でため息が漏れてしまう、そんな難儀なSTGでもあった。


 ──また激しさを主張した、敵の表現にも不満が募るばかりだ。

 いくら設定年齢層を引き上げたとしても、こうなれば完全に、色物のゲームと思われても仕方がない……。


 ──本来はR-TYPE FINALらしく、このゲームでシリーズは完結の予定だったが、ファンからの支持や、クラファンからの資金援助で後押しされ、R-TYPE FINAL2をプレステ4で発売。

 プレステ4による圧巻の映像と音楽は、多くのファンを虜にし、今回もボーカル曲が収録された──。


 ──このFINAL2の発売に乗じて、これまでのシリーズの音楽を集めた豪華CD BOX、アールタイプオリジナルサウンドボックスをリリース。 


 FINAL2前までの全シリーズのサウンドが、最新版にデジタルリマスタリングされ、スーファミのスーパーアールタイプの音源や、モノラル版しかなかった外伝シリーズのサウンドにもステレオ版を追加、おまけに高音質なハイレゾ音源もダウンロードできる。


 一部の音源や、このFINALの主題歌などは収録されていないが、そのクオリティーの高い最新のデジタルな録音技術は、多くのファンから大絶賛を告げられた。


 あのゲームボーイや、PCエンジンなどの一度に三つのサウンドしか絡めてない、ド素人が製作したようだと噂された、ピコピコ音(当時の作曲陣は必死だった……)さえも、耳に通して流していると、芸術的な音楽に聴こえてくるのが不思議だ。


 ハムスター曰く、リマスター、おそるべしである。


 ──後にFINAL2が予想以上に好評だったせいか、FINAL3をプレステ5で発売することにもなった。

 ステージは20近くになり、よりやり込み度のあるSTGになるだろうと予測できる。


 ──近年には見かけなくなった2DSTGに先立つような大黒柱となり、生誕の歴史は古くも、今でも白熱な人気ぶりのSTG、アールタイプ。

 サブタイトルはFINALになっても、バイドとの戦いは一向に終わりそうにない……。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る