素晴らしい作品でした!
現実と仮想現実の交差、変換。
映像芸術は20世紀の最大の文化だと考えておりますが、それは演劇、文学、音楽、その他の様々な芸術が融合した総合芸術であるためです。
つまり、それまでにないリアルな仮想現実。
自分がこの世界、人生から別な世界、人生へ移行することは、人類の夢に夢であったと映像芸術は示した。
それを更に推し進めて考察したこの作品は本当に素晴らしい。
マルクス・ガブリエルはこの世界が存在しないと喝破し、最新の宇宙論では我々はただの「ホログラム」に過ぎないと証明した。
我々のリアルとは何なのか……
芸術は人間を変え得る力を持っている。
そこに芸術の意味はある。
それが現実と入れ替わるほどのものになった、この作品世界。
お見事です!
未来の映画鑑賞について書いたSFストーリーです。
設定がとてもリアルかつ、未来の技術の説明も流れるように自然に描写されていて、すっと入ってきました。
「本当にこういう未来が来そう――」
そんなリアルな感じがしました。
作中作(作品の中に出てくる架空の作品)に、「ブルー・ヴォイジャー」という映画が出てきます。
この作品の後半はその映画のシーンになぞられてストーリーが展開されていきます。
主人公や登場人物の行動がその映画の中に取り残されているのか、はたまた、現実なのか。判断が分かれるところがとてもわくわくしました。
哲学的な解釈も可能で、個人的には結構好きなジャンルです。