第7話 運命の糸(ルーザside)

「うーん、さて、どうなりますかね」


私は呟いた。そして彼を過去に送った私は、下で医師と話す彼女を見た。


「可能なのであれば、ずっとこのままでもいいので生きていて欲しいです」



瑠美さんの答えはそれだった。


「…ルーザ?終わったの?」

「え?あ、はい。なんとか」

「そう。じゃ行きましょうか。初めてだったしいちお私も一緒に報告に行ってあげるわ」


私に付いて色々教えてくれたシホンさん。

私から見てもスタイル抜群の美人さんで、いかにも仕事の出来るお姉さんという雰囲気。

まあ、実際その通りなんだけども


「…へー。彼女はあの状態でも生きていてほしいんだ」

「そりゃ、あれだけ強く結ばれてた2人ですから!」

「でも大変だよ?彼が働いてた分の収入もなくなるのに、これからこの治療費を払い続け尚且つ子供もいるんだし。私ならないわ」

「でも、きっとあの人が変えてくれますから、2人の未来は変わります!」

ふんすっ!と意気込む私にシホンさんは少し意地悪な感じで言った


「彼の運命の人は2いたよね?ルーザ?それ、忘れてないよね?」


「…くっ…!…」


そう、そうなのだ…


「一人目が確か振られた幼馴染で、二人目がそこの彼女よね?ま、確かにこの2人はなかなかいい感じっぽいのはぽいけど」


「………」


「過去に戻ってもし万が一、選んじゃったらどうするの?」


口角を上げニヤリと笑うシホンさんはゾッとするほど綺麗に見えた


「ま、私としてはどっち選んでもらっても構わないんだけど」


フッ、っと微笑んで、そして顔からスっと表情をなくしシホンさんは続ける。


「私はあなたほど色が見えないから分からないのかもしれないけど、私ならこういうのに祝福は行使しない」


「……はい…」


「別に悪いとは言ってないよ。ただ、次からはよく考えなよ」


「…はい。分かりました」


「何回も言うけど別に悪いとは言ってない。誰に行使するか、決めるのはその死神に一任されてるから。でも、やっぱりよく考えた方がいい。もっと不幸な人はもっとたくさんいるんだからね」


最後は小さな子を諭すような、慈愛に満ちた感じでシホンさんはそう私に言った。


「まあ、とにかく結果を楽しみにしておこうか。そうそう、せっかくあなたの初めてなんだから」


少しニヤついて揶揄うように、でも優しく私の頭にポンっと触れ、「じゃ行くよ」と言って扉を開けた。



私は間違えたのでしょうか


確かに早く誰かに行使してみたいという好奇心が強かったことは否定できません。でも、あの七色に煌めき強い光を放つ美しい太い糸を見せられた私には、どうしても彼らを助けてあげたかった。

過去に戻ると言われた時は「え?」ってなったけど、でも考えてみればそれもそうかと納得出来たのです。


さあ、あとは貴方次第です


約束は守って下さいよ?


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