第3話 どうしますか?


ああ、この子は死神なんだ


そう感じたらやっぱりちょっと怖くなった



「それで祝福なんですけどね」


はじめに見せた笑顔に戻ったルーザの説明を聞くことに


「例えば、完全に死んでしまった方を生き返らせるということはできないんです。それは主様より禁止されていますので。ですが、今のこの状況ではまだ意識不明、もう少しすれは心肺停止となるでしょうか?でも、今ならこのまま戻れます」


「え?もし完全に死んでしまったらその祝福ってのは使えないってこと?」


「いえ、そういう方にはまた別の救済措置がありますから」


にっこり微笑む彼女。そして続ける。


「別の救済措置というのは、この今の時間軸とはまた別の時間軸へ魂を導くこと。分かりやすく言うと転生とでも言いましょうか、タイムリープと言いますか…」


両手の指をつんつんしながら少し自信なさげにもじもじしている。可愛いかよ


「うん。なんとなく分かりました」


「じゃ、どうしますか?このまま戻ります?」


「その前に1つだけ聞いてもいいですか?」


「もちろん」


「なんでその祝福を使う人間を俺に決めたんですか?確かに俺は不慮の事故みたいなもので今の状況になってます。でも、世の中俺より不幸な人なんてもっとたくさんいるでしょう?俺に使ってくれようとしてるのは本当に有難いです。でもどうして俺なんですか?」


ふふっ、っとルーザは微笑んだ


「それはですね、あなた達の運命の糸が、他ではなかなか見れないくらいに綺麗だったからですよ♪」


少し頬を染め、でも今日これまでに見た中でも最高の笑顔で彼女はそう答えた。でもそれはどういうことだろう。



「それは誰のですか?」


「もちろんあなた達お2人ですよ♪」


「え?」


「え?」


「……俺と瑠美のことです?」


「…他にいます?」


美少女のジト目怖いんでやめてほしい…


「私達、あ、もちろん個人差はあるみたいですけど、その、人間同士の絆というか、そういうのが視覚的に見えるんです。その中でも私は他の死神よりもより鮮明に、色とりどりにその関係性も含めて見えるんですよ。尊敬であったり、憎悪であったり、それこそ愛情であったり。その種類や強さが私には見えるんです」


「……その中で俺たちのが綺麗だった、と」


「その通りです!」


ビシッ、っと敬礼する死神さん。

やっぱり可愛い。天使かも


コホン、とわざとらしく咳払いした後、彼女は改めて俺に問いかけてくる


「そろそろ時間止めるのもきつくなってきました。どうしますか?」


「………」


これまでの俺の人生、そして瑠美と出会ってから過ごしてきた時間。それら全て思い起こし、考え、うん、決めた


「もちろん辞退も可能ですが、どうします?行使しますか?」


「………決めました。俺は…」


いろんな思い出を思い返しながら、俺は答えを決めた。


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