第49話 三姉妹の秘密
◇◇◇
あれから、準備を始める段階になって魔法陣や儀式に纏わる様式美の構築に掛けるコスト低減のため場所をシミュレーション室に変更したのにゃ。そう、何度も死霊術の儀式などしたくはないが、サマンサの負担を軽減するという科学主任ネコさんの提案には一定の利があったのにゃ。
「では、その魔法陣の中央に置けばいいのね?」
「はい、お願いします」
ネコさんが装置を操作すると、脳天二か所を鋭利な刃物(二本の苦無)で刺されて絶命したゲインが流れる血も生々しく魔法陣の中に横たわっていた。
サマンサの後ろには白髪を棚引かせた老婆が朗々と呪文を唱えていた。そう、それはかつてサマンサの祖母だった者であり、一族の長老であった者が仮初の儀式にサマンサの疲労軽減、魔導援助するための舞台装置として出現したのであった。
(御婆様、私のために助力かたじけのうございます)
「我、サマンサの名に於いてベアタッカーのゲインよ闇の底より蘇り、しばし我が命に従え!」
魔法陣の中に横たわるゲインの肉体に、地獄の底から湧き出でた魂がサマンサの
「ううー、へろババーん」
「ゲイン、我の問いに疾くと答えよ」
ゲインがサマンサに深く頭を垂れて、何でも聞いてくれと言うように待機状態に移行したにゃ。
「まず、ゲイン。三姉妹の根拠地はどこか?」
「お、俺が生きていたうちに、アイツ等が隠れ家を用意していた様子はなかったなあ。流石に奴らの隠れ家についちゃ知らないなあ」
じっとゲインの様子を伺うサマンサの眼にも、ゲインが嘘をついている様子は見られなかった。
「知らないものは、仕方ないわね。だったら、移動手段ね。ベアタッカーの攻撃船について聞いてみて、サマンサ」
科学主任、ネコさんの指示でサマンサが新たな質問を始めたにゃ。
「では、ゲイン。質問を変えるわ、あなたたちベアタッカーが使っている攻撃船について知っていることを話してちょうだい」
ゲインはやれやれと言って仕種で、吐き出すように彼らの船について語った。
「知らない方が良いんじゃないか?呪われた船のことなんかよう。まあ、あんたも関係者みたいなもんだからな。自分の娘がどんな呪われた船に乗っているかを知っていてもいいかもな?」
ゲインが語った奇妙な物語は、三十分も続く長い話だったにゃ。
「なるほど、そう言う絡繰りがあったのね。生きた船とそれを操る呪われた血筋の船長たちね。そして、その血筋には例の白衣の魔女ドロテア伯爵が手を貸していたということね。
これは、
科学主任のネコさんが伊達眼鏡をキラーんとして、悦に浸っているので順調に推移していると見て良さそうにゃ。
「じゃあ、最後に三姉妹の特徴や能力等について教えなさい!」
ゲインは、少し考えるようなそぶりを見せると不敵な笑いを見せた。
「そうだな、三人ともいい娘だな。俺の遺伝子が入っているとは思えないぐらいにな。まずは、長女のアインはお前の代わりに二人の母親になろうとして無理をしていたな。
二女のツヴァイは、どこか醒めた所のある女だったな。いろいろ術策を練るのが好きなタイプだな。
三女のドライは、天真爛漫、甘えん坊で奔放な性格だが少し後付けぽかったな。 結局三人とも、俺の持つ重力操作よりも蜂由来の生存性の高さに能力を振っていたようだがこればっかりは奥の手だからな、俺も本当のところは知らないのさ」
「そう、三姉妹が私を審査員として彼女たちが独自に集めた宇宙のお宝の品評会に招待してくれたのよ。楽しい会だと良いのだけれど?」
しばらく、ゲインの言動に裏があるのかを確認していたサマンサが最後に揺さぶりを掛けたのにゃ。
「ふふ、それは楽しみなことだな。精々娘たちに親孝行してもらいなよ。ははっあ」
ゲインの肉体は乾いた笑い声を残すと、急に時が満ちたかのように朽ち果ててしまったにゃ。
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