第17話 セレス君は心配性

マリルに誘われて森に来た。


黒トカゲを食べて確かに強くはなったけど…


もっと強いのが山程いるんだから、心配だ。


出来る事なら街から出てほしく無いのに…


「セレス、ねぇ、私ってどれ位強くなったのかしら?」


「ほんのちょっとですよ? 期待する程じゃありません」


「だけど、伝説の冥界竜バウワーの肝を食べたのよ…そんな訳ないじゃない」


鳥や普通のトカゲならどうにかなるかも知れないけど…


『我こそはこの世の支配者だー-』なんて変人に少し抵抗できて何とか逃げ切れる位。


やりあったら、運が良くないと勝てない。


それしか強くなっていない。


ああぁ、なんで周りは無責任な事言うんだよ。


「そうかな? ただの黒トカゲだよ…まぁ大きいけど」


「違うから…バウワーだから…それに私ってジョブが無いから魔法が真面に発動しないのよ…だからどんな魔法でも使えたら恩の字なのよ」


「ジョブが無い? それはマリルにとって困ることなの?」


「そうよ、平民ならともかく貴族だったんだから、最悪よ…おかげで家を追い出されたのよ!」


「それじゃ、マリルはジョブが欲しんだ」


「当たり前じゃない? どんなジョブでも例え『お針子』でも欲しいわよ」


そうか、ジョブってそんなに欲しいの…僕は出来損ないだけど、ほぼ全部のジョブを持っている。


そんなに欲しがるものだったのか…


僕のジョブには『付与師』がある。


僕はマリルのジョブスロットを見た。


う~ん二つしか無いのか…勇者と聖女は特別だから、付与は難しいし、僕ですら上手く使えない。


そう考えたら…う~んやっぱりマリルが心配だから『剣聖』『賢者』が良いかな。


うん、これが多分…良いな。


「それじゃ、マリル『賢者』『剣聖』とかのジョブは欲しい?」


「四大ジョブじゃない?欲しいに決まっているわ」


「そう?」


それじゃこの二つをコピーして付与と。


ついでだから、スキルも見るかな。


あちゃ~スキルスロットも3つしか無いのか…


だったら『全属性魔法の才能』『限界突破』を入れてあと一つは空けておこうかな。


「当たり前じゃない? そんなジョブが手に入るなら、死ぬほど努力するわよ」


良かった、もう付与した後だよ。


「それじゃ『限界突破』とか『全属性魔法の才能』とかのスキルは?」


「それ伝説のスキルだから…欲しいに決まっているわ…ってなんで私光っているのよ?」


それじゃ付与。


「マリルが欲しいっていうから『付与』してみました」


「それってどういう意味?」


僕はマリルに付与した事について話した。


「ハァ~それじゃ私は『賢者』に『剣聖』のジョブに『限界突破』と『全属性魔法の才能』のスキル持ちになったというの?」


「一応はそうだけど、碌なもんじゃないですよ?」


「何で…伝説みたいな話じゃない!」


「多分、剣聖グラフォードになら勝てるかもしれませんが、成長しても本当に強い『剣聖、ソード』相手なら確実に負けますよ? 魔法だってたかが知れています」


《ちょっと待って『剣聖グラフォード』になら勝てるって言ったわよね…伝説のドラゴンズレイヤーじゃない?ソードに負ける? 言葉使いはきもいけど歴代最強の剣聖よ》


「あのソードに負けるって少しは持つの?」


「少しは…ですよ」


「あの、剣聖ソードってどんな相手も一太刀で倒したって言う伝説があるのよ?」


「まぁ成長したらですよ、マリルも『腐っても剣聖』なんだからってことです。それじゃ、折角ですから魔法の練習でもしますか?」


「私、魔法が本当にうまくいかないのよ…」


「それじゃ、簡単なファイヤーボールからいきましょう」


「そうね、私やってみるわ…ファイヤーボール..何?」


杖が光るとまるで小型の太陽のような輝きのボールが出た…どう見ても直径で10メートルは超えている…


それが木々を燃やし尽くしながら飛んでいき数百メートルの木々を燃やして止まった。


「あああっ、あのセレス?」


「やはりこの程度かぁ~やはりマリルが心配です。できたら街から出ないでほ…」


「いあ…あのセレス…これファイヤーボール…」


なんで驚いているのか解らない。


「まだまだ未熟ですよ…僕がシュミレーションで戦った変人なんて『これが余のファイヤーボールだ』なんていって都市一つ壊滅させるファイヤーボールを投げるんですよ! もっと凄いのもいるんです…そのレベルじゃ、弱い変人とどうにか戦える位なんです…」


「え~と多分、それ言っていたのって確か物語に出てきた『大魔王』だから…冗談よね」


「ただの変人です。あとはこれ使ってみてください」


僕はただの鉄の剣を渡した。


「鉄の剣がどうしたの?」


「折角だから使ってみない?」


「そうか、私『剣聖』でもあるのね」


「まぁどちらも女神様がくれる物を解析して作った劣化版、アレス様曰く『始まり』には届かないそうです…それじゃ」


「そうね…あの岩も木も簡単に斬れるじゃない? 凄いわ」


「まぁ『腐っても剣聖』だからね…だけど、この程度じゃ、喋るトカゲには適わないからね、鳥や喋らないトカゲだって10も倒せば限界だから…本当に気をつけてね…僕は心配で仕方が無いんだ…マリルが怪我したら僕は、僕は…」


《全く、それってワイバーンや地竜の10体位なら倒せるし、将来はあのグラフォードに勝てて並みの魔王には勝てるって事よね。だけど…》


「そうね、セレスが心配するといけないから、気をつけるわ」


「うん、そうしてくれると僕も嬉しいよ」


《本当にセレスは心配性なんだから…まぁ嬉しいんだけど》

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