オススメ! 冥王と侍 作:佐藤 亘 様

企画への参加ありがとうございました。


冥王と侍 - 佐藤 亘様https://kakuyomu.jp/works/16817330653827620542


ストーリー A5

登場人物 A5

文 章 A5



評価基準の該当項目

ストーリーに関する事

A 下記項目のうち二つ以上に該当したものがあったとき。

引き込まれた。ワクワクした。面白かった。読み返したいと思った。予想をいい意味で裏切られた。起承転結がはっきりしており、物語にメリハリがあった。好き。引き込まれる冒頭だった。このラスト好き。この展開は好き。

B下記項目の内一つに該当したとき

最後まで読めた。ストーリーの方向性がはっきりしていた。題材、キャラクター、設定が物語に生きていた。



キャラクターに関する事

A

魅力的なキャラクターだった。セリフのみで誰のセリフかが分かった。掛け合いが魅力的だった。キャラクターの行動に強い共感や憧れを持った。魅力的なセリフがあった。セリフ回しがカッコイイ。このキャラクター好き。推せる。

誰が何を言っているのかが分かった。キャラクターの容姿や動きをイメージできた。キャラクターの心情を理解できた。


文章

A

文体が魅力的である。文章のリズムがイイ。読みやすい。個性が感じられる。過不足なく描写ができている。風景・情景・心理の三つの描写を的確に使い分けている。世界観に浸れる地の文である。この文章好き。

ストーリーと文体が一致している。誰が何をしたかが分かる。主人公の目標、目的が分かる。


一言

ストーリーについて

 プロローグで作品のテーマとハーデスが作中で解決していく問いが提示されています。このテーマと問いが深く、「何故、死を望むのか」と興味関心が湧いてきます。答えを知りたい! という思いを引き出してくるため、プロローグとして読者の心を鷲掴みにしてきます。

 そして、静的なプロローグとは対象的な城攻めの動的なシーンへ変わり、慌ただしく十兵衛達が動いていきます。

 2話と3話について。

 次元優位の概念が登場したスグ後にスイちゃんのお転婆シーンが挟まり、また、次元優位の説明に移るという流れでした。

 ここで、スイちゃんのシーンが挟まれた理由として、なんか凄い力が宿った十兵衛。高位神官の力が必要とされている火急の事態により、スグに十兵衛の次元優位を用いた戦闘になりますという暗示と布石のためだと思われます。

 ここで問題なのが、初見の場合高位神官の力を測るための尺度がないのです。そのため、このシーンなんだろう? となってしまうかも知れません。もし、湖と同一時間でのシーンでしたら、いっその事スイちゃんが上空から割れた湖を目撃して、次元優位のヤバさを第三者視点で伝えるといいのかも知れません。

 細かい所をつつきましたが、ストーリー全体を通して作品のテーマが色濃く出ていて物凄く面白いのです。

 ハーデスと十兵衛の関係の変化にだけ着目しても、いがみ合っていた2人が相手のことを知るたびに少しずつ、接し方や自分の考えを変えていくこの小さな変化の積み重ねもまた、尊いものでした。


キャラクターに関する事

 みんな魅力的! 皆んな好き!!

 ハーデスの生を祝福する時の台詞回しは、温かさがあり、機会があれば使ってみたいですし、スイちゃんの負うならば、共にとか。登場人物の台詞回しが登場人物の性格や背負う業と一致していてぐっときます。

 ただ、惜しむべきは連載版にあったアレンパパの慟哭が消えた事です。端役にすらこんなにも寄り添い重い心理描写をするのか。端役もまた、主役級の台詞と役割があるのか。この作品はここまで深く作り込まれているのかと戦慄した思い出がある分、寂しいです。


文章について。

 想定されている読者は、一定以上の語彙力をもった大人だと思われます。そのため過度な説明はなく、場の雰囲気にあった言葉が選択されており、テンポよくスラスラと読み込める文章でした。ウェブよりも紙の書籍で読む文章のような何度も何度も推敲を重ね、更に他者の指摘もとりいれた洗練された文章です。

 そして何よりも嬉しいのが私のような語彙力弱々の民を慮り、画数の多い漢むずかしい字にはルビが振られていることです。この配慮は読んでいて凄く助かりました。


 戦闘の描写は地に足がついた現実に即した体の運びと十兵衛の現実離れした技量と胆力。さらに少年の心を慮る優しさがブレンドされて心躍るカッコいい戦闘となっています。


 心理描写については、各主要人物だけでなく端役に至るまでが、作品のテーマに言及して来ています。その上でそれぞれの経験をもとに嘆き、憤り諦観するもそれでも諦めきれない。そんな当たり前の感情を当たり前のように共感する事ができました。他者の気持ちとしてではなく、自分の事として彼らの気持ちを受け止め感情移入しました。

 また、主要人物の心理描写も解像度が高く、この子なら間違いなくそう思う。となっているため、登場人物の行動もストレスフリーです。



冥王と侍を気になった方は是非お読みください。


素晴らしい物語をありがとうございました

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る