第27話 元冒険者
シゲヒロは四人の元冒険者を連れて洋館に帰ってきた。四人は洋館を見て目が点になり、中に入りお風呂や夕食を食べ自分たちが奴隷としての扱いを受けずに済んでいるということに涙した。そして落ち着いたところで部屋に呼ばれ、シゲヒロと話すこととなった。
「まず四人に聞きたいのだけれど、この先どうしたい?」
パーティーの代表なのであろう。男が答える。
「俺はパーティーの副リーダーだったヨヘムと言います。それでどうしたいとはどういうことなのでしょうか?」
「素直に取ってもらって構わないのだけど、この先も冒険者として暮らしていきたいのか。それとも他にやりたいことでもあるのか。という意味だよ」
「少し話し合ってもいいですか?」
「構わないよ」
そう言うと四人で集まり話始める。時々けんかのようになることがあるが自分たちの身分が奴隷であるということを認識させられると急に大人しくなるので話があまり纏まらないようだ。それでも一応結論が出たのかヨヘムが代表をして話始める。
「俺たちの身分は奴隷のため、冒険者登録はできません。なので、冒険者として生きていくのは不可能です。そして、俺たちは戦闘しかできません。ですからそれでお役に立てることをしたいと思います」
「なにやらけんかしていたようだけどそれが全員の総意で構わないのかな?」
そう尋ねると全員が下を向き、黙ってしまった。
「僕のところには子供たちしかいないからね。戦闘をしてくれるのであれば頼もしいよ。でも、僕たちに必要な素材はトレントの素材なんだ。それを確保できるほどの実力はあるかい?」
「俺たちが奴隷に落ちた原因がトレントの討伐依頼の失敗です。リーダーが取ってきた依頼を受けたのですがトレントを発見できずに依頼が失敗してしまい。リーダーは逃亡しました。そして残された俺たちが身売りして奴隷になりました。ですので、トレントを倒すことはできないと思います」
「実はトレントの生息している場所は分かっているんだ。それで弱点とか倒し方も確立している。問題は君たちがそれでも戦闘をするという意思があるかと魔道具を使用するからそれを奪われそうな時に人と対峙する覚悟があるかなんだ」
すると四人は顔を上げ、皆の顔を見合わせ頷く。
「「「「やります」」」」
四人は息を揃えて言った。
「ならまずは自己紹介から始めようか。僕の名前はシゲヒロ。一応君たちの主人ということになるかな。でも、奴隷として縛るつもりは一切ないから安心して。ではこれからよろしく」
「俺はヨヘム。前衛で剣士です。よろしくお願いします」
「おではケナード。盾とハンマーを使うだ。よろじく」
「私はジュリー。弓使いです。よろしくお願いします」
「私はゼレンカ。風魔法使いです。よろしくね」
自己紹介も終わり、四人を男女別に部屋へ案内してこの日は就寝となった。
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