閑話 異常成長

「次は柚香の試合かい?」


「そうらしいね。でもあの子、俺でも勝てる気しないんだけど、本当に素人だったの?」


「まぁまぁ、そこは気にしないの。僕からは詳しく言えないしね。個人情報に関わるし。だけど、素人だったのは本当だよ?」


「妖里さん。あっちの徹って子はどうなの?」


「そっちは…そうだ。簡単に言うのはつまらないから、ヒントをあげるよ。妖怪斬りの名門五家…そういえば僕もそこの一つの分家出身だね」


「そうなんですか。まぁ、妖里さんならそうだろうね。そうじゃなかったら五家の面子は丸潰れですもんね」


「あれ?次、戦う子って、梅立河家の娘じゃない。あそこってなんか不気味よね…」


「そういうのは言わない方が良いと思うよ、未瑠華。妖里さんだって庇うのにも限度があるだろうし」


「まぁまぁ、誰も聞いていない特等席個室だし、大丈夫じゃない?なんかあったら僕の所為

にして良いよ」


「それじゃあ言うけど、梅立河家は確かに不気味かもしれないけど、話せば良い人達だよ。友達繋がりで話しただけなんだけどね」


「ミネ、話変わるけどさ正直誰が勝つと思う?」


「う〜ん。あの梅立河の娘…かな。流石にあの五家だし俺たちの鍛錬とかとは比にならないことでもしてるんじゃない?」


「そのミネの推察はかなり雑で相手任せなのに聞こえるのは、僕だけかな…」


「まぁ、真面目に言うと、徹君は持久戦にはめっぽう強い。けど、火力がない。日里士君は持久戦には適さないが搦め手や根性で倒している。この二人がかかってもあの娘は倒せそうになさそうだからね。戦い方を見るに日里士君は絶対に勝てない。徹君は一利あるぐらいかな?」


「柚香ちゃんは?」


「強過ぎる。だから選ぶのはつまんないなと思って選んでない。広範囲でかつ高威力なのはやっちゃいけない行いだよ」


「じゃあなんで柚香ちゃんにしなかったのよ?」


「それは、面白く無いだろ?それに、彼女が何か隠し玉でも持ってれば柚香ちゃんにも勝てるだろうしな」


「どうかしらね?見た感じだと、戦い方は持ってる刀のみで、攻撃の受け方とか見ると感知型だと思うわね。でも、それだと厳しいんじゃない?」


「そうだね。感知型は感知するだけ、でもまぁなんだから、何かあるだろう。ただ、あそこは秘密が多いから、わからないけど」


「結局ちゃんと考えてないじゃない!」


「まぁ、二人共。そこまでにしといて、試合の続きを観よう?今、丁度白熱しているところだから」


そう言って、二人は言い争うのをやめて、素直に試合を観に入った。

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