第28話 実力試し
接近戦に持ち込むために真っ先に相手の懐に飛び込んでいく。
剛さんは得物である大剣を構えて、動かず僕が攻撃するのを待っている。
お互いに攻撃が届く距離になったとき剛さんが動く。
僕は反射的に飛び退くと…
「うわぁ何この威力」
次の瞬間には大剣が僕の目の前の地面にめり込んでいた。
「こんなので驚いていては保たないぞ」
そう言った剛さんは次の瞬間、僕の目の前の現れる。
あまりの速さに僕は何もできずに懐に入られてしまう。
(けど、その距離なら大剣は振れないはず)
相手は最大火力である武器が使えない。その事実は僕に無意識に油断を、隙を作る。
「まだ甘いな」
腹に強い衝撃がはしる。衝撃は伝播し、身体中を駆け巡り、反響し、内臓を揺らす。
腹を殴られた僕は地面に崩れ落ちてしまう。
「まだやるか?」
一歩離れた所から剛さんが見下ろし、問いかけてくる。
「勿論…です」
「ほう…!」
一度ふらついてしまうが何とか立ち上がって見せる。
「暢気に感心している暇なんて無くしてやりますよ」
「ほざけ。お前は若すぎる。今はまだ余裕をなくすまでには至らんさ」
「僕にはまだ切り札がありますから」
その言葉を剛さんは鼻で笑う。
「隠し玉の一つや二つもないとこの世界じゃ生きれんさ」
「さて、お喋りはお終いだ。次はお前が攻撃してこい」
お望み通りにと剣を構えなおし、連撃をして相手を崩そうとする。
剛さんは僕の攻撃を大剣を少しずらしていくだけで防ぎきっていく。
(これじゃぁダメだ。僕の体力が消費されるだけで何も成果が無い)
僕がこのまま続けても不利だと考え、距離を取る。
「なんだ?もう終わりか」
「いえ。また違った攻め方をしてみようかなと」
剛さんから一歩離れた状態で剣を振る。
「《空斬》」
不可視の斬撃が剛さんに吸い込まれるように飛んでいく。
「これはっ」
剛さんは漸くその体を動かし、半歩体を引き大剣を振り上げることで「空斬」をかき消す。
「当たり前のように対処なさるんですね。見えないはずなんですけど……」
「確かに見えないがモンスター程ではないとはいえ魔力が感じられるからな」
えぇ…魔力が感じられるって言っても本当に注意していないときずけないような少量の魔力なんだけどなぁ。
「で?まさかこれだけではあるまい」
「勿論ですとも」
剛さんに「空斬」を防がせているうちに僕は剛さんの死角に入り込んでいた。まぁ剛さんは分かっていて、あえて僕の思惑に乗ってくれた感じだろうけど。
「死角に入っただけでは止められんぞ!」
上に振り上げた大剣をそのまま反転しながらこちらに高速で振り下ろしてくる。後ろに目でも付いてんのかっていうほどその攻撃は精度が高く、しっかり僕の居所に大剣が来る。
でも、その刃は僕を両断するわけでもなく、最初のように地面にめり込み、その驚異的な威力を露わにするわけでもない。
「ははは!成程!」
この試合を始めて、初めて剛さんの顔が変わる。その表情は驚きと喜びが含まれている。
僕は振り下ろされた大剣を避けることもなく、受け止めることもなく、受け流すことに成功した。
まさか僕が受け流すことを選択すると思っていなかったであろう剛さんは振り下ろした勢いのままに体勢を崩してしまう。
すぐさま体勢を立て直そうとするが…
「もう遅いですよ」
僕は一閃、剛さんの腹に叩き込む。そして、そのまま離脱する。
完全に態勢を立て直した剛さんは僕に問いかける。
「お前は、あの威力の攻撃が怖くないのか?」
「怖いですよ。けど、黒部さんとの練習でもう色々とされたんで…。まぁ、ハイ慣れましたよ」
「ははは、そうか!すまない。少しお前を舐めていたようだ!今度はこちらから仕掛けさせてもらうぞ」
言葉通りに仕掛けてきた剛さんの攻撃を盾で受け止め、力比べの構図となる。
「さぁ、どうする?力は俺の方が強いぞ!」
力で劣る僕は段々と押し込まれ、大剣の圧で圧し潰されそうになってくる。
けれど―――――
「すみませんね。僕の勝ちです」
――――《
「ガㇵッ」
剛さんが膝をつき、腹を抑える。
「なんだ?今のは?」
「環斬」。これは、僕が長島ダンジョンであの異常なモンスターと戦った時に「黒騎士の剣技」がLv2となり、手に入れた新たな剣技だ。
その効果は、魔力を込めた斬撃で傷をつけた所をもう一度、距離を関係なしに問答無用で攻撃を与えるというもの。
いわゆる追撃効果である。しかも、タイミングは自由に決めれるという強い剣技だ。
「勝負あり、ですかね?」
首元に剣を突きつけ、勝利を宣言する。
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