本作はミステリ作家と編集者がVR空間で殺人事件を起こし互いに解決の早さを競い合う、という設定で展開される。VR空間は完全に閉じており、外部への脱出も外部からの干渉も一切ない現代的なクローズド・サークルである。確かに新しいかもしれないが、特に「新しい驚き」はない。
だがしかし。この舞台はただの閉じた空間という以上の仕掛けでもって、主人公を「閉じ込める」のだ。特殊設定は仮想の空間であるということ以外何もなく、全ての物理法則が現実と同様である。にも関わらず、主人公は閉じた環の中に取り込まれてしまう。いったいなぜ……?
推理が真相に辿り着いたとき、あるいは降参して解答編を見たとき、「そう来たか!」と膝を打つこと必定のシンプルかつ見事なトリックである。ぜひ謎に挑戦していただきたい。
編集者とミステリー作家によるミステリー作り対決。仮想空間の中でミステリーを作り合い、先に相手が作り出したトリックを見抜いた方の勝ち。
あまりないタイプのミステリーだ。
結果はネタバレのため記載しないが、私なら100%こいつに負けるのは目に見えている。そもそもトリックを思いつけないし、バカ正直なのでどちみち相手のドツボにはまって負けてしまう(もしくは道に迷って地雷を踏むか)。
にしても、仮想空間でトリック対決か。
実際にできるなら楽しそうだな。トリック対決をすることで新しいネタが思いつくかもしれないし、オンラインで対決できたらミステリー作家とも仲良くなれるかもしれない。