第27章 父親と母親 母と父 そして確執
武士は孤独で生きてきた。
地元では本来4人家族の末っ子
父親は藁を網、そして植木などを育て母親は
着物を編み二人の子供を育てた。
裕福ではなく両親はよく喧嘩が耐えない家庭だった。
普通の家族であれば今も昔も男の子供なら父親の背中を見て育ち
家族を愛し生活を背負い守ることを自然に教え
時には厳しく
時には優しく
そんな家庭であったのだろう。
しかし、武士の家はそんな程遠い家庭環境だった。
武士の父親は仕事はあまりせず、植木を趣味で育てそれを売る気もなく気が向けば藁を編み
気が向かなければ一日中寝転がりふらふらとどこかへ出かけ、寝る頃に戻ってくる。
一方、母親は子供達を育てる為に不眠不休で働き続け身体もボロボロの状態であった。
幼い兄と武士にいつもこう愚痴をこぼしていた。
「あの人と一緒になるんじゃなかった。。。私の人生はこんなのを期待してなかった」と。。。
兄がちょうど7歳で武士が3歳の頃。。。
母親の母、いわゆる武士達の祖母。
その祖母が転んで足の骨を折ってしまったと言う連絡が武士達の家に近くの農民の若者から伝えられた。
その祖母は目が不自由であった為、按摩師(今のマッサージ師)を営んでおり、近所に一人で出かける時に転んでしまったらしい。
母親の兄弟は6人姉妹の末っ子
一番上の姉は祖母の面倒を見ていたがそこもまた
祖母とは犬猿の仲であったため、いつも何かあると武士の母親を呼び出していた。
母親は連絡に来た若者に
「まだ家には幼子がいるから祖母の面倒を見るために実家にはいけないと姉に伝えておくれ」
そう伝えたら若者は
「姉さんは操(母親の名前)はウチらに迷惑かけてるんだからお前が面倒を見るべきだとつたえろと。。。」若者はおろおろ伝える。
「幼子もいるし私は心の臓も弱い。。。今そっちに行ったら武士も甘えたい盛りだし、旦那はめんどくさがり屋だから任せられない。。。」
「そう姉に伝えておくれ」
「分かりました。お伝えします」
若者は帰って行った。
「姉上は私ばかりに頼る。。。家はあの人が私達を守ってくれないから私がこの子達を育て守らなきゃいけないのに。。。それを知ってるのになぜ。。。都合がいいことばかり擦り付ける。母上は大切だけれど私の子供達が一番大切なの。。。母上もきっと。。。きっと分かってくれる。。。」
そしてまだ幼い武士を抱きしめ泣き崩れる。
「母ちゃん泣いてる。。。何で泣いてるの?どこか痛いの?よしよし」
と母親の頭を撫でる武士
「武士。。。」
2日くらいが経つ頃
入口から叫ぶ40歳位の女性の声がした。
「操っ!どこにいるの!操っ!出てらっしゃいっ!」
そう母親の一番上の姉の匡子(まさこ)だった。。。
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