第5章 恋愛事情part1
タケシの恋愛事情
高校生の時は一つ上の女性と付き合うことが
多かった。
当時の彼は少し素行不良な生徒であった。
女子先輩からは結構可愛がれ知らない間に
付き合うことが多かった。
そんな彼からは相手に告白するのではなく
自然にそういう流れになり一緒にいることが多くなると言う付き合い方だった。
好きとか愛してるって言う意味が彼には分からなかった。
もともと家庭環境も良くはなく両親から愛情と言う心を受け取ったことがなかった。
だから自然に付き合っても好きとか愛してると言う言葉を発したことがない。
ただ、行為中に無機質な言葉で好きと言ったかもしれない。
それは本気に言った言葉ではなかった。
そんな彼に近づいて来る女性は年上が多かった。
きっと放っておけないタイプに分類できるのだろう。
彼は決して付き合っても相手に対して冷たくする訳でもなく、逆にいろいろ相手に尽くすことはあった。
社会人になり飲食業界に入り学生バイトから慕われる面もあった。まだ当時のタケシは年齢差がある女性と付き合うなんてことは想像だにもしていなかっただろう。
別れ話はタケシからするのではなくいつも相手からだった。
「タケシは優しすぎるから辛い」って
言われることが多かった。
きっと幼少からの経験から愛情表現をどうしたらいいのかなんてわからない。
だから自分の意志を押し殺してまで相手の意志を尊重してしまう。
それがタケシが思う愛情表現なんだと思う。
今回のすずに対してもそうであった。
友人の店にいた客の彼女とオーナーの友人が話していたところにタケシが客としていて、友人がタケシも料理人だよって言うことから知り合った。
すずからこんな会話から二人は仲良くなるキッカケになっていった。
「タケシさんって何のジャンルの料理を作ってるの?私に今作ってよ笑」
笑顔で話しかけるすず。
その笑顔は25歳と思えないほどのあどけなさがあり、かつ大人の女性の雰囲気を漂わしてる。
誰もが男ならすれ違い様に振り向く程の綺麗なルックス、乃木坂にいてもおかしくはない顔立ちであった。
そんな彼女にタケシはぶっきらぼうに
「人の店で作れるわけないじゃん。バカじゃないの?」
「え~~~そんなこと言うの?笑。ケ~~~チっそんなんじゃ、一生モテないぞっ。ねっ?マスター?」
「タケシ?作ってやったら?お前の実力なら適当にある材料で完璧なイタリアン作れるやろ?」
意地悪そうに笑いながらタケシを見る友人。
「あ?ああ。なんで初対面のやつにつくらなあかんねん。今日は俺は客なのっ。お、き、ゃ、く。」
「まぁ、まぁ、そう言うなって。こんな美人さんにお前の料理披露できるんならいいんじゃない?笑」
「さすがマスター分かるっ!えっ?イタリアンなの??。私めっちゃイタリアン好きっ!作って作って!お金は払わないけど美味しかったらデートしてあげるっ笑」
「マジかよ?すずちゃん?すずちゃんとデートできるならタケシじゃなくて俺が作るよ笑」
「マスターの料理食べ飽きたw」
「そんなこというなよ~~~泣。出禁にすっぞ」
「マスターの店にもう来ないからねw」
「タケシ!助けろっ!」
笑いながら話す二人はタケシに目をやる。
すずと友人のやり取りを見ながら呆れるタケシだった。
「あ~~~わかったよ。」
着ていたパーカーのジャケットを脱ぎ、黒いTシャツになりキッチンに入る。
「ジン?(マスターの名前)牛肉か魚あるか?あっ!それとバター、白ワイン、赤ワイン、トマト、バジル、エシャロットの代わりに玉ねぎ、ニンニクっ」
「あるあるっ!キタキタっ!タケシが本気出すぞ笑」
居酒屋とは思えない料理の手捌きが始まった。
すずは第一印象では冴えない男とタケシのことを思っていたが、まるで別人のように料理してるタケシに見とれていた。
「すごっ。。。ギャプ萌やん」
手早く、簡単にブールブランソース、赤ワインソースを作るタケシ。
その手際の良さに見とれるジンとすず。
ジンも
「さすがやわ、こいつすげーな。」
牛肉はランプ肉を使いアッロースト。赤ワインソースを更にスプーンで添える。カットした牛肉はいい感じのレア。
ルッコラとケールに煮詰めたバルサミコを振り、盛り付けていく。付け合せにはマッシュポテト。
最後にパルメザンチーズを削りかけた。
もう1つはタイのポワレ。
下味を付けたタイに軽く小麦粉を叩いて、バターをフライパンに。そして皮面から焼き始める、こんがりと焼きあがった皮面は見た感じパリパリに仕上がる。最後に白ワインでフランベし火があがる。
火が上がると他のお客さんからもおっーと歓声が上がった。
「ほいよっ。出来たよ」
「えっ、えっ、マジ?こんな料理がこんなおっさん、いや、この人が作れるなんて、マジギャプ萌。。。」
「んなこと言わんとはよ食ってみろ」
「やっぱりタケシすげーわ」
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