第23話 ショーダウン

「ふざけないで!」


 クロエはキレた。新たに1000デナルをレイズしたのはいいがカネはあるのだろうか?


「負けたら、この店をおまえにやる」


 マスターの承諾も得ずにラモンはいった。

 クロエは黙々とグラスを磨いているマスターの方をチラリとみた。

 マスターは困ったような顔を一瞬みせたが否定も肯定もしない。


「マスターはおれに命の借りがあるのさ」


 ……ということはラモンによって命を救われた過去があるということか?


「さあ、どうする? つづけるか降りるか、どっちだ?」


「……コール」


 クロエにしてみればつづけざるを得ない。ここで降板フォールドしたら借金を帳消しにするためきたようなものだ。


 クロエはJ、K、Aの手札を残し、4と7のカードを捨てた。うまくいけばストレートが完成するし、そこまで欲ばらなくとも強いワンペアもしくはツーペアが期待できる。


(カードを全とっかえして強い役がくるはずがない。ただのブラフに決まってる)

 とクロエは思うようにした。


 山札から2枚持ってくる。

 持ってきたのはKとA。

 強いツーペアの完成だ。


「それじゃあショーダウンといこうか」


 先にラモンが手を開いた。


「ッ!!」


 クロエの目が驚愕の形になる。

 それは2のスリーカードであった。




   第24話につづく

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