よく来たな勇者よ!我と友達になろう!!

お狐丸

プロローグ

【GAME CLEAR】


「えぇ?これで終わりなのかぁ?」


画面に映し出された文字を見てなんとも間抜けな声が出てしまう。


「セレンディアファンタジー」

VRMMOやFPSが流行する昨今、大手ゲームメーカーから発売されたこのゲーム。

勇者の力に目覚めた少年が世界を旅して成長し仲間と出会い、魔王を倒して世界を平和に導くというなんとも王道なストーリーだが、発売したメーカーがこれまでもRPGやアクションゲームなど8割の作品で大ヒットを産んでいたこともあり今回のセレンディアファンタジーについても大きな期待が寄せられていた。


だが…………。


「キャラデザもよかったし魔王を倒すための物語も面白かったんだが………魔王との戦い雑すぎね?」


有名イラストレーターがキャラクターデザインを手がけただけあって男女ともに個性あふれるキャラクターたちが描かれており、豪華声優陣によるフルボイスシナリオも他に劣らないハイクオリティなゲームのはずだった。


そう、なぜ俺がゲームをクリアして間抜けな声を出したのかというと魔王との戦いである。

簡単に言うと酷いのだ。途中で開発陣が投げやりになったのかラスボスのはずがそこらへんのスライムより弱いのだ。


『ゆうしゃ:ようやくたどり着いたぞ!でてこい魔王!!』


『まおう:よくぞきたな勇者よ。我と』


『ゆうしゃ:問答無用!!戦闘開始だ!!!!』


『まおう:え?』


『ゆうしゃ:必殺!!ジャスティスブレイバー!!!!』


『まおう:ぐあああああああああ!我の絶対無効防御がぁああ!!』


『ゆうしゃ:今だ!!いくぞ!』


『まおう:ま、まて話を!!!』

『まおう:我はおまえたちと………!!』




魔王に対していきなり必殺技を叩きこみ紙装甲になった状態で戦闘が始まりあとはひたすらポチポチと攻撃技を押すだけだった。

決して魔王が弱いわけではない。

すべてのステータスがレベルMAXの勇者たちよりも5倍は高いのだから。

ただ、不意打ちをくらった魔王はその後も何か話そうとしては勇者に攻撃され、反撃をしてきても初級魔法しか打ってこなかった。

あるプレイヤーが初級魔法をくらい続けて負けようとしたが魔王によって上級治癒魔法をかけられ全回復させられてしまったらしい。


よって最後まで攻撃技を押していれば必ず勝ててしまうのだ。ハッキリ言って八百長である。


「はぁ~そりゃ発売して2週間で中古で1500円で売ってるわけだわ。」


EDをすべて見終わったあと寝転がりながら掲示板でレビューを確認するが、皆『魔王戦以外は神ゲー』という評価しかなかった。


たまたま中古ゲームを買いに来て大量に積まれているのをみて俺は購入しているしな。


「まぁみんなそう思うよな。えーー、俺は魔王と接敵した時と倒した後のあのセリフとかが引っかかるのになー…。別の選択肢選べばちゃんとした魔王との戦いができたりとかしないのかなー。」


なんだか釈然としない気持ちを抱えながらも、ぶつぶつと一人感想が止まらない。


「しゃーねーか。俺が別ルート探してすっきりルートを見つけてやるとするかね!!……とはいえぶっ続けでやってたから、さすがに……睡魔が…。ふぁ~あ…………、続きは明日やるか。」


画面を消すのも忘れてベッドに倒れこみそのまま眠りについた。


『まおう:ま、まて……我はおまえたちと………










友達になりたかった………だけ………で』










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思い付きのやつをちまちま出していきます。


好評だったら続き書こうと思います。

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