vsイルミナティ Turn‐4

「≪ゲノムドーズ・ティーレックス≫――――。これが店長のエースカード……‼」


 血走った目で今にも飛び掛かってきそうである。


LEXライフエクステンド!」


 マーシュは顔を覆うホログラムに手を突っ込み、ライフを引きずり出す。≪ティーレックス≫はライフを喰らってもなお、満足いかない様子で喉を鳴らす。


(◆◆◆★)アオバ ⅤS マーシュ(★)


「【覚醒】効果により、パワーとガードが2000アップ!」


7500パワー7500ガード⁉」


「≪ゲノムドーズ・ティーレックス≫でアオバくんを攻撃! この時、もう一つの効果! 相手アバター一体に攻撃します! ≪魔法少女まほうしょうじょ ねもね≫を攻撃!」


『 アウトレイジ・ファースト! 』


 一歩を踏み出すだけで立っていられないほどステージが揺れる。魔力障壁を展開してもあっけなく場外へ吹き飛ばされた。


「≪魔法少女まほうしょうじょ ねもね≫の【覚醒】効果! キャッシュゾーンのカード一枚捨て、バトルによる破壊を無効にする」


「よそ見はいけません! アオバくんへ攻撃が残っています」


 ≪ゲノムドーズ・ティーレックス≫は器用に体を反転させ、鞭のように長い尾を叩き付ける。アオバのライフが血しぶきのように舞った。


『 アウトレイジ・セカンド‼ 』


(××◆◆★)アオバ ⅤS マーシュ(★)


「≪ゲノムドーズ・トリケラトプス≫で追撃!」


 ≪トリケラトプス≫は器用に後ろ足で立ち、地面に転がったアオバを前足で踏みつける。


「ガアッ」


(××★)アオバ ⅤS マーシュ(★)


「あとは、赤子の首をひねるだけの簡単なお仕事です。ターンエンド」


 ≪ねもね≫が這って戻る。


「マスター……」


「はぁ、はぁ。オレなら大丈夫だ。≪ねもね≫、いいか、次の攻撃に全力を込めろ」


「はいっ!」


オレアオバのターン、ドロー」


「≪プロビデンスのまなこ≫の効果で山札の上から一枚をベースに置きます」


 「6」の眼が開く。


コスト、≪サンゴジュナスの花言葉はなことば≫を発動!」


┏━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━……

≪サンゴジュナスの花言葉はなことば

┣━{コマンドタイプ魔法タグアーツタグコスト

●アバターが攻撃する時、プレイしてもよい。

■自分アバター{魔法少女まほうしょうじょ}一体を対象に発動できる:お互い山札の上から一枚を公開する。そのタイプによって以下を適用する。その後、公開したカードは山札の下に置く。

アバタータイプ:このターン中、対象のパワーは2000アップする。

コマンドタイプ:このターン中、対象のガードは2000アップする。

アバタータイプコマンドタイプ以外:一枚ドローする。

┗━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━……


「お互いにアバターが引ければ、≪ゲノムドーズ・ティーレックス≫の7500ガードを超えられると? 残念ですが、私が引いたのは≪ゲノミック・ラボラトリー≫――オーナメントタイプです。ついに運にも見放されたようですね」


「くそっ、こんなところで」


 イルミナティを野放しにすれば、≪ねもね≫も奪われ、もっと多くの被害が出る。それだけは避けなければいけない。


「さぁ、神もお望みだ。正義が勝利する瞬間を――――」


「正義とか悪とか、そんなに重要ですか?」


 ≪ねもね≫の一言にアオバは顔を上げる。


「あなた方がどんな夢を抱いていても、私は笑いません。夢を見るのは自由です。ただ、ときには互いの夢がぶつかり合うときもあると思います。そこに正義も悪も無いはずです」


 そうだ。難しく考える必要は無い。


「これは正義と悪の勝負じゃない。己の夢を賭けた真剣勝負――――。今できる最善を尽くすのみ。≪サンゴジュナスの花言葉はなことば≫でオレが公開したのは≪トラブル・モンキー≫。≪魔法少女まほうしょうじょ ねもね≫のパワーを2000アップ! そして、アバタータイプコマンドタイプ以外のカードを公開した時、山札からカード一枚をドローする!」


「まだ諦めませんか」


「ああ、オレの夢がかかっているからな。バトルだ! ≪魔法少女まほうしょうじょ ねもね≫で≪ゲノムドーズ・トリケラトプス≫を攻撃!」


 ≪ねもね≫の腕に迸る刺青によって強化されたステッキの一撃が≪トリケラトプス≫の固い頭蓋を上から叩き割った。

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