第21話(仮最終話)飛べ高くそして張れ深く
「勾玉(PC)はどうやったら動いてくれるの?」
「アリア、指紋認証だよ!」
「指紋というか手の平を翳す箇所はあるけど……指6本?」
「今は話している時間はない。右手を置いて左手の人差し指を足して6本にするんだ」
「なるほど」
「早くするんだ。……ほら起動した」
『パーン、パーン』
乾いた銃声音が2度なった。
モグはアリアを空挺に乗せ、200㍍の上空から地面に叩きつけられた。モグは体を張ってアリアを守ったのだ。
「モグ?!いや、いや」
マックス「狙撃兵を抑えつけろ!それと空挺を1機呼んでくれ。私が乗る」
黒田大臣はプランDの失敗を総理に連絡した。
マックスは御神木上空まで上がり勾玉を根から取り出す作業を自ら行った。アリアは以前取り乱しており、自分がPCを進めるつもりでいた。
「このプログラムはアリアの考えと同じなのか?アリア、アリア泣いてる場合ではないぞ!」
「モグを助けて、モグを~」
「ダメだ。使えない。無理もないが……」
第88号御神木は旋回を始めた。そしてゆっくりゆっくりと下降し、モグの上で回り続けた。するとモグはゆっくりゆっくりと宙に上がり空挺のアリアの元に届けられた。
「ハンバーガーが食べたい」
「モグ?!生きてる?助けてくれてありがとう」
「ハンバーガーが食べたい」
「わかった。お仕事が終わったら食べに行こう!マックスありがとう。もう大丈夫よ」
「よかった。モグ頼むぞ!」
「マックスが勾玉を空挺に運んでくれたから楽になった」
「そうだね。どこまでやったのだったかな?」
「起動するまでよ」
「そうか。プログラムは作成せれているはずだから……」
「アリアのイメージとこのプログラムは一致しているのかな?」
「全く同じ」
「じゃ、間違いないな。では神様、キーを押して下さい」
「はい ポチッと」
TV各局が同じ映像を流し始めた。各地の御神木が飛ぶシーンである。「御神木が飛ぶとは?」とか「寂しくなるね」とかの声が聞かれた。
「モグ、御神木はもう直接、外国にいっちやうの?」
「まさか、神にご挨拶においでになるよ!」
「え~私~話せない」
「なにも立派な事を話す必要はないよ。みんな今の神様を見たいんだよ」
「わかった。これが最後のお仕事だもんね!がんばろ!」
──────────────────
107本の御神木がずらりと並んだ。
樹齢もまちまち、種類もまちまちだが自然信仰の神たちであった。慣れ親しんだ土地から離すのは大変申し訳ないことである。
「アリアです。神です。
今回、このような事態になったことを申し訳なく思います。1800年前、卑弥呼が予言したことが的中してしまいました。それから今日まで皆様は雨、風、地震などにも耐えてこられ大きくなられました。
御神木108本と皆様の種子で地球の酸素の不足分を補っていただきます。今日、今から所定の外国の赴任先へ飛んで頂きます。奴国で取っていたネットワークは世界へと拡大します。
皆様が人間の生命を守り、自然信仰として崇め奉られるようになることを期待致します。どうぞ、現地でまた根っこを張って強い皆様にお戻りください。どうぞ宜しくお願い致します。卑弥呼の思いを胸に旅立ちましょう」
話しが終わると御神木は1本ずつ赴任地に飛び立って行った。
「終わったわ、モグ、マックス」
「あぁ 終わったよ。これでいい。国に帰ろう!」
「だめだよ。ハンバーガー食べに行こう!」
「アハハ、そうしましょう」
「遠い空国にハンバーガー店ないぞ?」
「自分で作るもん」
「ジダン王国にはあるから食べにおいで」
「うん、そうする。飛べるからね」
「いや歩いてくるんだ。3本シッポは1本に戻ってる」
「え?、え~、ビックマック~」
アリアの黒髪は茜色へ、目は黒色から青色へと戻り一区切りついたことを想わせたがそうとはいかなった。
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