古今東西、鏡をモチーフにした話は多い。かく言う私も以前一つここに書いた。

 自分自身の姿が反転して映る様子は、確かに神秘を伴うに相応しい事態だろう。

 では、それが、己を映さず別の何かを映したら……これもまた、使い古された、鏡というモチーフの使い方だ。ホラーに限らず、モノによっては童話などでも扱われる手法だ。白雪姫の冒頭はあまりにも有名だろう。


 ただ。今。この場において。それはモデルケースになった類型ではなく。

 体験として。

 自分の顔がぐにゃりと歪み、崩れ落ちた。

 落ちている。

 破顔したような骨がある。左半分だけではあるが。鼻梁に沿って赤が見える。血が流れているわけではないが。


 話は少し飛ぶ。

 私はカクヨムを基本的にダークモードで使用している。白いとなんとなく落ち着かない。

 ここで想像してみてほしい。

 スマートフォンをロックした瞬間や、ゲームのロード時間でモニタが真っ暗になったその一瞬。映画が幕を閉じた次の刹那。自分の顔が映ることはないだろうか。鏡のように、だ。

 使

 故に、半ば無意識に視線を逸らしてはいるが、常に顔が黒のモニタに映っている。

 その顔が、ぐずりと腐り落ちるように、崩れたら。

 どう、だろうか。

 

 他の鏡では何とも無かった。

 私はそもそも鏡(より正確を期すなら自分の顔)を毛嫌いしているから、自室に鏡は一つもない。

 なら、部屋に鏡を持ち込んだとき、どんな状態が見られるのだろうか。

 

 怖いので、試すことはない。

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