第七怪 双刀ノ力

一呼吸を入れて再び集中し強くイメージする掌から溢れ出すものは、少しずつ形を成し今まで以上に大きく具体的な形へと変わっていき、ついに真の形いや本来の力として姿を現した。

 

 「で、出来た。遂に出来たんだこれが私の力」

 掌に現れた二つの刀。

 どうやら私の力は二つで一つらしい。

 つかつばさや、刀のどの部位も完璧に同じ物であり、違うところが一つとしてない。

 双刀を見事に具現化した後は、刀に慣れるために何度も使い徐々に慣れていった。

 ある程度刀になれたところで焔さんから声をかけられた。

 

 「だいぶ双刀ちからに慣れてきたみたいだし私と手合わせとかしてみるかい?」

 「良いんですか?」

 「もちろん、炎華が良ければ私は力になるよ」

 「ぜひ、お願いします」

 

 外へと場所を移し手合わせを開始する。

 焔さんと初めて手合わせする事になった私は、先攻をもらった。

霊力を発動し、両の手に双刀を具現化させ刀をぎゅっと握り締め、前へ全身し突き進み双刀を振い続ける。

  「行きます。はぁぁぁぁぁ‼︎」

  「よし、来な。相手になってやるよ」

  迫りくる炎華の姿を目視した焔は、霊力を発動し火を手に出現させ戦闘体勢で構えた。

  両の手の火を弾丸の如く素早く放つ。

  「火弾かだん

  

  放たれた火は、炎華を標的とし狙い続けた。

  迫り来る火をその目に焼き付けた私は、瞬時に判断し双刀で次々と切りつけて火を消した。

  あっとう言う間に攻撃を消し去る炎華の姿を見て焔は、驚き感心していた。

  次の瞬間、これならどうだと言う顔つきで焔は、次の技を放った。

  火を掌に集中的に集め徐々に巨大な火の玉を作り出した。

  

  「炎華、コレならどうする? 大火玉だいかぎょく

  掌に出来た巨大な火の玉は、次の瞬間。

  私に目掛けて放たれた。

  先ほどまでの攻撃とは、違い当然ながら威力も倍に増している為正直なところこの攻撃をどう対処するか戸惑っていた。

  

  先ほどと同じく双刀で切り裂く方法もあるがおそらく難しいと思い時間の無い中迫られる選択の中で私は考える事をやめ一か八かの掛けに出た。

  双刀をぎゅっと握り締め前へと飛び出した。

  「くっ‼︎ 威力が強くてこのままじゃ対処しきれない(やっぱりダメかも……)」っと私は、ふと諦めかけた。

  その時、双刀は、私の諦めると言う気持ちと裏腹に抗おうと力が溢れていた。

  その事に気づいた私は、溢れ出る力が確信はないけれど私にまだ諦めるなって言ってるみたいだった。

  だから、溢れ出る力を、信じて今、出来る思いを双刀の振る斬撃に込めて放った。

  

  「決める。今は、これが私の背一杯だ!!」

  思いを込めた斬撃は、炎華の思いを込めて放たれた。

 そして、放たれた斬撃は、わずかながらも蛇のような姿を一瞬だけ見せた後、焔の技を喰らうが如く消し去った。

  

  「やっ、やった。なんとかなった」

  「最後の一撃は、何だったんだ?」

  「何か急に斬撃が進化したと言うか何というか私にも何がなんだか分からないですけどなんかもう最後ダメだって思った時になんかこうこの双刀から力が溢れて来ました」

  「へぇ〜なるほどね。あの斬撃のイメージと言うか感覚は、覚えて置いて損はない。何せアレはきっと君の嫌、その双刀の技となるし」

  「技ですか? 分かりました(覚えて置いて損はないって言ってたけれど急だったしまた思い出せるかな?)」

  

  これにてひとまず手合わせは、終わりになった。初めて焔さんと手合わせで発動出来た技。

  正確には、まだ技と呼べる段階ではないけれど戦いの中で技のヒントを掴む事が出来た。

  焔さんとの手合わせの後は、一人で技を磨く修行を続ける日々がひたすらと続いた。

  早く技を身につけて次に奴らが現れた時の為にとひたすら続けていた為、霊力を消耗している事に気がついておらず私はふと視界がぼんやりとしていた。

  「やばい、視界がぼんやりしてきた。ぶっ続けで修行してたから疲れたのかも?」

  その後、力が抜けて気を失いそのまま床に勢いよく倒れ込んでしまった。

  それから、記憶がなく……。

  今に至り、気がつけば布団の中でいつの間に眠っていたようだ。

  布団が敷いてあった為、おそらく焔さんや座敷童子ちゃんが敷いてくれたのだろう?

  すると、そこへ焔さんと座敷童子ちゃんの姿が視界に入ってきた。

  

  「おっ目を覚ましたようだな?」

  「すみませんいつの間にか気を失ってたみたいです」

  「本当だぞびっくりしたよいきなり倒れてたからそれに座敷童子も本当心配してたよ。ほら」

  「えんかさまあぁぁぁん。目を覚ましたのですね倒れていたので凄く心配したのです」

  座敷童子は、あんまりの出来事で涙を隠せず炎華へとしがみついていた。

  その姿は、どこからどう見ても泣きじゃくる幼い子供の姿でとても愛くるしくかわいいと思った。

 その姿を目の当たりにした私は座敷童子に触れられるずには、いられなくなり、座敷童子の頭を手でそっと触れて撫でた。

  「座敷童子ちゃん。心配かけてごめんねこの通り私は、大丈夫だからありがとね」

  「うん。良かったです炎華様は、これからは、無理をなさらずに修行の方はほどほどになさって下さいね」

  「うん。そうする」

  私が倒れ込んだその後座敷童子ちゃんも修行の手助けをしたいと頼まれたのでここは心よく受け入れたのだが焔さんの時とは、違い座敷童子ちゃんの戦い方もおそらく違う。

  それに座敷童子ちゃんは、私や焔さんとは違い妖力を扱う。

  妖力と言うのは、名前こそ違うが私たちの使う霊力とほとんど変わらない。

  

  

  

  

  

  

  

  

  

  

  

  


  

  


  

  

 

 

 

 

 

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妖霊奇伝 黒白鬼《あいろき》 @Airoki099

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