第2話 「奥の手は禁止🌝」


 東雲さんが話した猫の特徴はこうである。

 アメリカンショートヘア、オス、5歳。鈴の付いた東雲というネーム入りの緑色の首輪を着けている。前の胸、全面の毛が抜けて、当時は傷が生生しくあり、3センチ㎡くらいの赤い傷の肌が見えていたとか。尻尾は、やや切れていて、普通の1/3しかない。

 鮭のキャットフードが大好物、甘えん坊らしく、ニャーと泣くということである。(だわな)


 「桃介さ、で見つからないかもしれないよ、ってもちろんに話したよな?」


 「はい」


 「なんて話したんだ?」


 「見つからなくても、調査の日数や時間分は調査料かかるけど、一週間、取り敢えず探すけど、これくらいですって言って、料金表を見せて説明しましたよ」


 「で、なんだって?」


 「私、コロナだし娘や息子も遊びに来ないしね、チャコちゃん居ないと楽しみがないの、取り敢えず一週間、見つからなくても探してみて下さいって」



 「それだけ?」


 「で、每日、調査報告書は作りますよと言いました」


 「ふむ。東雲さんは、文字は読めるのか?」


 「老眼はあるけど、なんとか大きい字なら、ルーペ使って見るらしいです」


 「そっか。じゃあフォント18くらいで作って、報告書を作ろう」


 「…ですね」


 「桃介、俺、こういうだるい仕事は、一挙に10人位の集団で、ローラー作戦で、挑みたいとこだよな。かなりそれでも見つけるの大変だろうなあ」


 「はあ。そしたら、ホスト仲間で、何人か昼間に暇してるのを見つけて誘いますかね。あとは僕は……看護師はみんな忙しいしなあ」


 「ホスト仲間か。この間、ご飯食べてた子は?」


 「正和まさかず君は、まじめですからね。スポーツマンだし」


 「彼ならば間違いないよ。夕方に塾講師やってから、深夜にホストしてるんだっけ。あわよくば日中なら空いてるんでは?」


 「たかちゃんも意外とこういった猫探しみたいの、ゲーム感覚でやってくれそうですよねえ。焼き鳥大吾のヒカルちゃんもやってくれるんじゃないですか?」


 「たかちゃんね、あと一緒にバイトしてる瞳ちゃんも誘おう。吉田ヒカルは女子だが、男前だしな。そんなん言ったら、親しいとこは石巻さんも頼めなくはない」


 「石巻さんも休みの日ならですよ。柿沼さんも忙しいけど優しいし、確か猫好きですよね。頼める人が沢山いるかもですね」


 「あらゆるひとに何かで協力頼めたら、甘えたいね。安易に頼むと怒られるかなあ」


 「お礼どうします?」


 「じゃあさ、価格はらない程度には、美味しいお弁当出してさ、協力頼もう。唐揚げ弁当大盛りとかなんでも聞こう」


 「僕は唐揚げは、塩がいいです。いや、天丼いや、ハンバーグデミグラスソースかなあ」


 「うんうん。あと東雲さんの無理ない程度のお金でやらないとだよな。しかし猫探しはむずい。時間が必ずかかる」


 「……先生、正直は、アメショー新しく買いたいくらいですよね」


 「おいコラァ、それは駄目!!勿論だめだし、あとアメリカンショートヘアのチャコちゃんは特徴が多すぎるんだよ」


 「ハハハハハハハ」


 「笑い過ぎだ。桃介はその奥の手を言うと思ったんだよ全く」



 一一一こうして調査は始まったのである。

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