景色から見える運命

 ビンタしたのは悪いと思ったがあれは彼が悪いに決まっているだろう。そうだそうに決まってる。なんであんな奴好きになってしまったのか。私の感性を疑いたくなる。

 あんなあざとい女の前でコロッと態度が変わりやがって。もう気持ちも冷めちゃったじゃないか。

 まあいい。あんな奴でも一度は好きになったんだ。まだ友達のままではいてやりたい。まあ友達というよりは腐れ縁だがな。

そんなことを考えていたらあいつが来たじゃないか。

 「何か用?」

 「いや~昨日はごめん。彼女いるのにあんな態度しちゃって。」

 無性に腹が立つ。あんなに好きだったのに客観的に見るとこうも嫌な男だったのか。もうイライラが止まらない。

 「そう思うならそっちも態度で示したらどうかな。本当に私のことが好きなのなら。」

 こんなことを言ったがあまり期待はしていない。これから下校の時間だ。さあどう出る。

 「じゃ遠慮なく。」

 「なっ…なにすんのよ!」

 「何ってお姫様抱っこだ。1回やってみたかったんだよな~。」

 「私をどうするつもりよ!」

 「乗せるのさ。」

 「は!?」

 「だから乗せるんだよ。自転車の後部座席にさ。」

 「ちょ!周りに見られてるって!」

 「いいじゃねえか。付き合ってるんだしよ。」

 「こんなの聞いてない!」

 その帰りの後部座席からの景色は綺麗だった。今までで1番綺麗だったのかもしれない。私はこの男と上手くいくのかもしれない…そんなわけないか。

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後部座席の感触 @orangenius

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