第4話 転生したらイケメンだった!……好きなゲームのキャラ丸パクリだけどね!

 「……そうだ。僕が、お前の“マスター”だ」


 「……」


 ――静寂。


 その返事を聞いた瞬間、自分の声が、空間ごと震わせたような錯覚が走った。


 (……すごい……これが、俺……?)


 視線の先。お風呂場に設置された鏡が映し出しているのは――

 白銀の長髪をなびかせる、蒼白の肌を持つ高身長の男。

 端正すぎて現実感のない美貌に、鋭く冷たい眼差し。

 身体には黒い戦闘服がしなやかにフィットし、背には圧倒的な存在感を放つ、巨大な剣――バスターソード。


 「…………」


 見た目はまるで、俺が崇拝していたあの“ラスボス級”の存在――


 (まさか、本当にセフィロスみたいになってる……!)


 ――女神様、ありがとう。全身全霊で感謝したい。俺の身体、神作画すぎる。


 「お、おい!」


 少年の声で我に返る。

 ……そうだ。見とれてる場合じゃない。まずは情報収集から。


 この姿、この雰囲気――口調も振る舞いも、キャラになりきらねば。


 ニヤけそうになる表情を無理やり押さえつけ、声色を低く落とす。


 「……鏡に、“敵”が潜んでいないか確認していた」


 「え……?」


 「……俺のいた世界には、鏡の裏に“異形”が棲んでいた。

  奴らは、魂を映す鏡を通じて、この世に干渉してくる……」


 (元ネタ? 平成ライダー。でもこの世界の人間にはバレないだろ)


 「そ、そうなんだ……鏡の中に?」


 ……ふっ。なんとか誤魔化せたな。


 「……ここで、話していていいのか、“マスター”」


 「え、あ……そ、そうだね……!」


 少年は少し戸惑いながらも、俺をまっすぐ見つめている。


 この目の前の存在が、俺を召喚した“契約者”――


 (さて……この世界での“俺”の役割、聞かせてもらおうか)

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