第10話
みんながあちこちで口々に重なるように言う。
「隆二さんが守くんのお芝居観に来るのは当たり前じゃん。悪いのは奴らをセーブできないファンクラブの奴ら!」
本世屋くんが吐き捨てるように言うと、突然、仕切られてるはずの隣の個室の襖がいきなりガラリと開いて、僕の背後に人の気配がした。
「誰が私たちのせいですって? 本世屋……?」
えっ、という驚きと同時に僕が振り返ると、開いた先に美人なお姉さま集団が、三人、四人、いやお兄さん方も何人かいる。
みんなそれぞれエレガントにお洒落を意識しているのか、色々なアクセサリーを身につけていた。
髪にメッシュが入っている人もいて、ちょっと怖そうな人もいる。
眩しいくらいの美女イケメン集団だ。この和室には似つかわしくない装い。大衆居酒屋よりも、ホテルのバーとかが似合いそうだ。
「やべっ、四天王第二グループのアゲートの奴らだっ」
本世屋くんは頭を抱えてうずくまった。
「……してん、あげ?」
僕が戸惑っていると、「隆二さんのファンクラブの人達の事ですっ、因みに隆二さんのファンクラブは大きく4つの派閥があって……」
隣の水鳥碧さんが小さな声でそっと教えてくれた。
は、派閥ぅ?!
もう何が何やら意味不明になった。
「やっと居所を突き止めたわよ、本世屋、それに、やっとご本人も捕まえたわ……」
強い口調で話す女性はスーツ姿と言ってもちょっとラメが入っていてお水系な感じの男勝りな感じで、如何にもリーダー的な存在な人だった。
その人が腕を組みながら本世屋くんからこちらに視線を移し、明らかに僕を睨んでいる。
とても目のラインがはっきりしていて、黒目もくっきりしているのでカラーコンタクトをしているのだと思った。
視線が凄くて僕は怯んでいたせいでかなりビビッてしまった。
うわっ怖いっ……。
思わず彼女と目が合って僕はドキリとしてしまった。
と……周りを見ると僕のファンクラブの子も似たようにガクガク震えている!
すっかりみんなヘタレちゃってる……。
うわ~やっぱり僕ら似たもの同士なんだ~!
と、僕は新たに彼らとのヘタレシンパシーに感動って、感動してる場合じゃない!
けれどその恐ろしい女性の視線が背中に突き刺さるように言う。
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