第12話 天使の笑顔

キスをしてしまった俺は、

美玲さんの顔を覗き込み様子を

見ると…………



美玲さんは、ほっぺたを少し

膨らませながらも


顔が赤くなっていた。


『もぅ。ひろしくんてば。』



俺は、美玲さんに……

『ゴメン。嫌だった?』


美玲さんは

『別にッ…………。』



照れている割には、少し美玲さんは、ツンデレなのか?


少し強がっていた。

ホントは、美玲さん弱いのに……



『俺は……俺……ゴメン。

ずっと、美玲さんの事を見てきたんだ。

ずっと前から、好きだ。だから。』



美玲さんの方を見ると……

なぜか涙を流していた。


『ごっ……ゴメン。そんなに

嫌だった?美玲さんゴメン。』


美玲さんは、俺の問いに

首を横に振っていた。



俺は……嫌がられてるのか?


急に、自信を無くしてしまった。




俺は……美玲さんから距離を取り

ソファーに座った。




美玲さんの、泣き顔を見たくないからだ。それよりも


《《好きじゃない男からのキス

は……嫌なのか?》》



俺は、どんどんと自己嫌悪に

陥った。





美玲さんが……窓際で空を見上げていた。その時美玲さんは

言った……。



『私……私ね?今のキス。

ホントは、嬉しいのか良く分からなくて。でも……ひろしくんを

傷付けたくない。とは……

思うんだけど。』





美玲さんが……クルリと振り向くと、そこには天使の様な笑顔が

あった。






『私はね?私達は……

阿久津くんと約束してたの。

デビューして、売れ始めて。


そしたら。一緒になろうって。』




『《《私は、阿久津くんの事を

…………。》》』



その一言を、美玲さんから

俺は……聞きたく無かった。



親友の阿久津の事を、、、



まだ大切に思っていたのか?!



そこまでして……。



俺は……頭が鈍器で殴られた

様なショックを受けて、



アパートから外に出ようとした。



と……その時、、、







俺が振り向くと、

美玲さんは…………




『私を…………抱いてみる?』


俺は……その一言に頭に血が

登った。



『美玲さん!!ふざけるな!

俺は……!俺の事を好きじゃない

人は、抱かない!抱けない!』



美玲さんは……意表を突かれた様子で、


クスクスッと笑っていた。




その美玲さんの態度を見て、

俺は……アパートから外へ

出て行った。





目的も無く俺は……走り続けた。




土砂降りの中、俺は悔し涙を

流しながらも



行く宛も無く、



さまよっていたのだった。






《《何だよ?!あんな笑顔

すんじゃねーよ!!》》




雨が滝の様に降る中、

俺は……訳が分からなくなり



とあるカフェテリアに入った。





そこの店には、




偶然にも、阿久津が……




阿久津が座って、お茶を飲んでいた。







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