ごくりと飲む、涼色の風景:お題『しゅわしゅわ』

「そうそう。この間、懐かしい物を買ったんだ」

 その言葉とともに冷蔵庫から取り出したある物を、幼馴染み兼友人の二人の前に置く。

 あっ、と同時に声を上げた二人は、それぞれ二人らしいリアクションを見せてくれた。

 昔懐かしいラムネ瓶は、まるで夏を閉じ込めたかのように爽やかな色味の瓶に夏空を思わせる鮮やかな青色のキャップがついている。これを愛飲していたのは小学生ぐらいの頃だろうか。

「早速飲もうか!」

「そうだな」

 いそいそと、自身のラムネ瓶を確保する。

「せーの!」

 三人で同時に栓を押す。

 中のビー玉がカチャンと落ちる、とともに、しゅわしゅわと炭酸が弾ける。中身が溢れる前に勢いよくラムネを飲んだのも、三人同時だった。

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