鮮やかに映える、夏空色の風景:お題『入道雲』

 見上げた空はどこまでも抜けるような青だった。

 強い日射しが背を押すかのように明るく広がる爽やかな青色の中、一際目を惹いたのは凛と切り立つ雲の峰で。その姿は柔らかそうな見た目と裏腹にとても力強い。青空にそびえる積乱雲は、積もりたての雪を思わせるような真っ白を、その堂々たる存在感でもって青天に重ねている。

 むせ返るような暑さの中でふと足を止めれば、不意に葉のそよぐ音が聞こえた。駆け抜けた風が夏の匂いを運んでくる。日に当たる肌がジリジリと焼けるような痛みを訴えていた。

 おもむろに伸ばした手が、目の眩みそうな日射しから目元を守る影を作り出す。

 鮮やかな夏空と眩しい入道雲が、確かな夏の始まりを告げていた。

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