さらりと振るう、白色の風景:お題『さらさら』

 厚手のミトンを装備してオーブンレンジのドアを開ければ、もわりとした熱気が出迎えてくれた。天板を取り出すと甘いチョコレートの匂いが広がる。等間隔に並んだカップケーキのひとつに竹串を刺して中まで焼けたことを確認する。

 ふと思い至って作ったガトーショコラは、ホールの型ではなくマフィンの型で焼いた。小さいサイズの方が食べ切れない分をお裾分けするのに便利だからだ。

 男なのにお菓子作りなんて、と引く知人もいたが、幼稚園からの付き合いである幼馴染みたちのおかげで今でも趣味として続けてこれた。

 きっと今回も喜んでくれるだろう。幼馴染みたちの嬉しそうな顔を想像しながら、ガトーショコラにさらさらと粉砂糖をかけた。

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