閑話:監察者オフィス会話ログNo.1223-01「また地球か」

登録時空:銀河辺境第E-3群

記録開始:惑星地球、観測フレーム再起動時

登場個体:監察主任アグリ=Z(上司)/試験運用員ベルゥ=7(部下)



アグリ=Z「おいベルゥ。これ、なんだ?」


ベルゥ=7「はい、こちら今期任されております惑星E3-7α、通称“地球”のカルマ観測ログになります」


アグリ=Z「……いやそうじゃなくて、**カルマ偏差値がマイナス振り切ってんだが?**なにこれ?どこで間違えた?」


ベルゥ=7「あー、そっすね……ちょっとその辺、放置してたら勝手に化石燃やし始めちゃって、環境ボロボロになって、あっちこっち戦争してて……でもまあ、まだイケるかなって」


アグリ=Z「イケねぇよ!?惑星が“自己燃焼モード”入ってんぞ!もうこれ“寿命の前借り”してんだろ!?」


ベルゥ=7「でもちょっと感動しません? 火とか電気とか宇宙まで行ったんですよ?二足歩行のタンパク質ですよ?カビみたいな脳でインターネット作ったんすよ!?」


アグリ=Z「その結果がこれだよ。火力文明で地球炙り焼き!おいしいねじゃねーよ!で、“第一天訪”以降は何してたの?」


ベルゥ=7「いや~正直、あれ見せたらちょっとは慎ましくなるかと思って……ラーの瞳とか、空から火の蛇とか、いろいろ演出したんすけど、全部神話カテゴリに入れられまして」


アグリ=Z「お前、演出だけ派手で意味わかんねぇ系のイベント屋か!?なんで毎回“意味深なこと言って帰る”スタイルなんだよ。伝わってねぇんだよ!」


ベルゥ=7「……すみません。次はちゃんとユーザーインターフェース整えます」


アグリ=Z「もう整えるな!次は実装(Manifestation)だ!このままだと惑星まるごとゲームオーバーだぞ、ちょっと管理ログ見せろ!」


ベルゥ=7「えっヤダ、エッチ、ログ乱れてますから〜!」


アグリ=Z「なに、この宗教発生イベント、後、産業革命ってこの後ただの金持ちのマネーゲームになってるし。こんなの指示書に無かったよね」


ベルゥ=7「ふらっと現れたヴァカさんが勝手に……ということで、今回こそ本気出します。“試験構造体”を全世界に展開して、カルマ閾値判定を自動運用で――」


アグリ=Z「またアイツか、一応アイツなりのミッションなんだろうけど、見事に失敗してるしな。って待て。人類が勝手に進化しちゃうパターン、想定してるか?」


ベルゥ=7「いやぁそれはないっすよ~、彼ら自己保存本能で動いてるんで、どうせまた内ゲバ……」


アグリ=Z「前回の“火星群”でもそれ言って星ダメにしたろ!?お前の“たぶん大丈夫”はだいたい滅びフラグなんだよ!!」


ベルゥ=7「(小声)いや、だって“選別失敗したら“リセット”ってプロトコルあるじゃないですか……」


アグリ=Z「その“リセット”がお前の担当星で5回目だぞ!お前だけリセットつかうの!!」


(沈黙)


アグリ=Z「……よし。今回のやり方はこうだ。“我々は見ていた”“試練の門を与える”“カルマで審査する”――怖くて荘厳っぽい感じで語れ。それでいて、選ばれる者にだけ希望を見せろ。いけるか?」


ベルゥ=7「もちろん!お任せください!……で、ボイスどうします?やっぱ“脳内直送”がエモいですかね?」


アグリ=Z「そうだな。“全人類が同時に理解した”感出せ。バズるぞ」


ベルゥ=7「あいっす!!!」(謎の敬礼)


【ログ終了】





   

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